インタビューもクライマックス!『ゾイドワイルド』開発秘話第7弾
レジェンド開発者の徳山さんも認める、若手エース開発者・片山さんデザインのゾイドに迫る!!
前回は片山さん自慢のナックルコングを見せてもらったが、今回もこの傑作について伺っていきたいと思う!
——徳山さん太鼓判のナックルコングですが、最初に見たときの感想はいかがでしたか?
徳山:
すごく若手ならではのデザインになったなと思いましたね。これぞゴリラといった感じで。これだけのものが1つ出来ると、次の題材に取り組む時の自信になったと思いますね。
片山:
実は今回こんなモノを持ってきました。
徳山さんのデザインのものをどう動かすとか、どういうボリューム感かとかを確認するために、発泡スチロールで試作モデルを作るんですよ。
——すごいですねコレ!!
徳山:
これが結構重要で、3Dとか平面では実際のおもちゃになった時のサイズ感など、ちょっと分からない部分があるんですよ。
——そうなんですね。
徳山:
初期のデザインはメカ寄りだったんですが、ゾイドのデザインって生物感を出し過ぎちゃうとちょっとグロっぽくなっちゃうんですよ。そういった面では、ゴリラもカメと同様に分かりやすい題材なんで、ボーンの状態の凄みとアーマー的な部分、そこのメリハリを上手く出せたんじゃないかと。
このナックルコングは良い意味で片山デザインになったんじゃないのって感じですね。
——片山さんの中でも結構特別な感じですか?
片山:
そうですね、特別かもしれないですね。
徳山:
上がったデザインを見て“ああ、出来たな”って思いましたよ(笑)。
片山:
ゴリラの骨もなかなか見ることがないと思うんですよね。リアルなゴリラを再現したので、子供にもそういう所を見てもらえたらなと思いますね。
徳山:
ゴリラの難しいところは、やり過ぎると結構人間ぽくなり過ぎちゃうのでさじ加減が大事なんですね。そういった面ではゴリラっぽさはかなり出ているかなと。
——確かにゴリラっぽさ、すごく出てますね。
徳山:
ゴリラは、アイアンコングをはじめハンマーロックとか、傑作があるので。そういった面では今回のゴリラは『ゾイドワイルド』らしい野性的な部分が表現出来たかなと。
片山:
過去のものとの差別化といいますか、そこはプレッシャーがありましたね。
——旧作との比較とかありますもんね。
片山:
はい。今回は1つ、今までのゾイドになかったかもなって思っている所があって、これアーマーが移動するんですよ。これもちょっとチャレンジだったんですよ。
——アーマーがナックルガードになるんですね。
片山:
このマッシブな感じを肩から胸にかけて四足歩行の時は出しつつ、そこから拳が肥大化するという所に注目がいく様、ワイルドブラストで自分の意志でナックルを強化してるっていうのがポイントです。
徳山:
その辺は彼のこだわりとかアイデアっていうのがあって、ドラミングだけだとどうしても闘う前の威嚇の意味だけになっちゃうんですよね。“相手をやっつけるぞー!”みたいなメインのアクションの中で、ワイルドブラストをどう取り入れるかっていうのを考えたのは、すごいこだわりかなと。そこ捨てちゃったらね、ただドラミングするだけだからね。シンバル叩くような感じの(笑)。
——動きとしてもかなり複雑ですよね、ワイルドブラスト。
片山:
機構的には単純なんですけど、そこはメカニズムとか考えるのが難しかったですね。
徳山:
ゴリラらしさが本当に良く出ていますね。なおかつワイルドブラストの仕掛けもすごい盛りだくさんなんだけど、しっかりまとまった感じでこれはすごいと思いましたね。
——なるほど。これって背中に人が乗っているんですね。
片山:
これも一応ストーリーがあって、ワイルドブラストしてパンチする時に補助となるジェットブースターがあるんですが、その上に座っています。ブーストしてる所に乗っていてちょっと熱いかもしれないですけどね(笑)。
(一同笑)
徳山:
結構難しいのが、いわゆるライダーの位置で。早めの段階で設定しておかないと、後々に考えてる時間が無くなってくるんですよ、今回の新しいゾイドの肝ってその辺でもあって、だから片山は最初の発想をする時に自分が乗る位置を考えておかないと後で大変になってくるんですよ。
——最後にくっ付けると…。
徳山:
それから地獄になっちゃうかも知れない(笑)。
——なるほど(笑)。
片山:
あともう1つ、徳山さんがデザインを起こしたものを用意してきた時に、今まで見せてなかったんですけど、部品をどう割ってどういう風に組み立てたらと自分の中で考えまして。
デザイン含めて結構整理しまして、こんな感じで。
——全く何がどうなっているのか分からない(笑)。
片山:
この後いろいろ調整はあるんですけど。
——頭の中である程度組み立ててここに落とし込むと。
片山:
そうですね。
——いや~、これは大変ですよね(笑)。
片山:
超大変ですね(笑)。
徳山:
結構昔と違って時間的にスピードを求められちゃってるから。アニメーションとかあったりして。昔の場合は時間的にはまだ余裕があって、例えばさっき言ったようにデザインを起こして発泡モデルを作ったりだとか、結構検証する時間っていうのはあったんですよ。こういった作業をエンジニアとかと片山がある程度フォーマットを作らなきゃいけないのは、かなり大変なことなんですよね。
——なるほど。しかし超マル秘資料がいっぱいですね(笑)。
(一同笑)
片山さんの「ナックルコング」へのこだわりを存分に聞けた所で、今回は以上!
次回はついにラスト! 2人から『ゾイドワイルド』についての貴重な話を余すことなく伺っていくぞ!!
第8回に続く
徳山 光俊(とくやま みつとし)
『ゾイド』立ち上げに携わったスタッフのひとり。『ゾイドワイルド』ではゾイドの
デザイン原案を担当。溢れんばかりの『ゾイド』愛を若い世代に伝えるべく奮闘中。片山 周(かたやま しゅう)
『ゾイドワイルド』から開発に携わる若手の第3世代。これまでになかった新世代のゾイドの数々をデザインしている。サソリなどの不気味なモチーフのデザインが得意だとか。