ウデムシの秘密
海女さんになっての素潜り漁を実況している途中だが……ちょっとそれは後回しだ。
にわかには信じられないことなのだが、昆虫図鑑のコンプリートを間近に控え、“ルナステラ島の虫博士”と呼ばれるこの俺が……なんと、春先にいくらでも捕まえることができたのにまんまとそれを逃し、あまつさえ再取得が可能になった11月になっても、それについて1ミリも触れていない虫が存在するというのだ……!!
その話を聞いたとき、俺はのっけから信じようとはしなかった。
「またまたあwww 俺、こう見えても、虫に関してはパーフェクトですよ?w だって図鑑も、あと2枠を残すのみですしwww」
それはウソではない。
↓ホラ。
さらに、俺はヘラヘラと言う。
「残りの2枠はおそらく、冬にしか現れない虫なんですよw たとえば……“カマキリのたまご”とか“カブトムシの幼虫”とか。成虫になる前の姿で捕獲できるのかもしれませんねw ホラ、夏に“セミのぬけがら”が取れたでしょ? アレと同じ感じでねw うひw」
俺、ますます調子に乗ってウンチクを垂れる。
「でも、厳しい北半球の冬といっても、まったく虫の成虫がいないわけではないのです! たとえば、よく網戸とか庭木とかにくっついている“ツマグロオオヨコバイ”とか、メジャーどころですよね!(どこが) あ!! もしかしたら俺が一時期ドハマりしていた世界三大奇虫のひとつ、“ウデムシ”なんかがラインナップされているのかも!!?」
そーだそーだ、そうに違いない!!!
「ウデムシだウデムシ!!! きっと島に出るんだッ!!」
そんな、ありもしないことをわめき散らす俺に、旧知のゲーム仲間のメールの主は↓こんなことを言ったのだ。
「そんなマニアックな虫が入ってるわけないでしょ!! この11月から再出場しているのは“オケラ”です♪ 角満さんの図鑑のスクショを見ると、まだ捕まえていないみたいなので教えてあげました!」
お、オケラだとぉ……??
確かに……俺の図鑑に、その3文字は記載されていない。
俺、とたんにシュンとうな垂れた。
「う、ウデムシじゃないのかよ……。なーんだ……」
ちなみに、興味本位でウデムシを検索すると、見た瞬間に絶対に、
「はうぁ!!!!!!!」
と言ったきり地蔵と化してしまうと思うので、安易に調べないほうがいいかと思います^^;
なぜ見逃していたのか
いやしかし。
オケラとは……まったくもって、ノーマークもいいところだったわ。
俺のような、昭和の田舎町で育った人間からするとオケラ(つまり“ケラ”)は特段珍しくもない、わりとそこらにいる虫であった。
しかし、まるでSFの世界から抜け出てきたようなビルドアップされた前脚とヨロイを髣髴とさせる上半身は特別な存在感を放ち、しかもそれを使ってジェットモグラのように「ズバババババババッ!!」と地面に穴を掘って生活している生態は、夢見がちな少年たちにある種の憧れを持ってみられていた。先ほど“特段珍しくもない”と書いたけど、夏場のカブトムシやクワガタ連中と比べたら圧倒的にレアではあったので、オケラを見つけて捕獲したとなれば虫好き仲間からは羨望のまなざしを送られたものだ。現代ソシャゲ風に言ったら、
「おーちゃん(俺のことね)が、SSRを出したらしいぜ!!!」
こんな感じになろうか。
そんなオケラが、我がルナステラ島にも出現するという。
でも……ここまできても、やっぱり信じられぬ。
だって、何度も言うように俺は虫に関してはかなり本格的に捕獲作業を行っていて、だからこそ、残り2枠までこぎ着けているのである。それなのに……情報をくれた人の言によれば、
「春のあいだは、1日中チャンスがありましたよ♪」
とのことなのだ!!
そ、そんなバカな……。
それほどチョロい虫を、俺が見逃してきたというのか!?
オケラを捕まえろ!
そこで、俺は考えた。
捕まえていないという事実から考えられるのは、
“オケラは特殊な捕まえ方を要求する虫”
ということであろう。となれば……!
「あらゆる方法を、試してみるしかねえな!!」
ルナステラ島に“オケラ捜索隊”が誕生した瞬間であるw
まずは、ひたすら島を走り回ってオケラっぽい物体を探す。
タッタッタッタww
タッタッタッタッタッwww
ひとしきりマラソンし、俺はぜぇぜぇとあえいだ。
「う、うーーーん、いないな」
走ってるだけで見つかるわけねーだろ(苦笑)。
オケラは前述の通り、地面に穴を掘って生活する虫だ。その特徴は前脚が発達したフォルムと、俺の田舎では、
「キリキリッピーン!」
と鳴くと言われていた。
子どものころは近所のおっさんらに、
「あの“キリキリッピーン!”っての、ミミズの鳴き声だからな。覚えておけよ」
なんてウソを吹き込まれたものだが、この特徴的な鳴き声こそオケラのものだったのである。
「ってことは……!!」
地面を手あたり次第に掘りながら、俺はヒントを探した。
その成果は……次回で報告できるかな!?w
大塚 角満
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。
『あつまれ どうぶつの森』公式サイト:
https://www.nintendo.co.jp/switch/acbaa/index.html
※ゲーム画面はNintendo Swicthソフト『あつまれ どうぶつの森』のものです。
© 2020 Nintendo
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