【大塚角満のゲームを語る】第37回 「こういうのでいいんだよ!」な『Fall Guys(フォールガイズ)』に夢中


 
 もう、あらゆるゲームメディアで書かれまくっているし、俺もいくつか持っている連載で語り尽くした感はあるんだけど……コロコロオンライン読者にもこのゲームに対する“たぎる想い”を知ってもらいたいので、改めて綴らせていただく!
 
 いま、俺は6~7本のゲームを同時進行で遊ぶという地獄の所業を展開しているのだが、その中でも1、2を争うほど楽しく、夢中になり、たびたび、
 
 「現役最強のビデオゲームって……絶対にコレだよな!!!」
 
 と確信してしまうタイトルが存在する。それこそが……!!
 
 イギリスのインディーパブリッシャー・Devolver Digitalから8月4日にリリースされたプレイステーション4、PC用オンラインアクションゲーム『Fall Guys(フォールガイズ)』なのです!! いやあ、まさかまさか……これほどシンプルでわかりやすく、感動的なまでに楽しいゲームに出会えるとは!!!
 

 
 『Fall Guys』は、60人ほどのプレイヤーがひとつのフィールドに集い、誰にでも遊べる簡単なミニゲームに一斉に挑んでゴールを目指す(もしくは他人を蹴落とす)多人数参加型オンラインアクションゲームである。
 

 

 
 ゲームごとに参加者はふるいにかけられ、最初は60人いたものが2回戦では45人に、3回戦では30人に……って具合に徐々に精鋭に絞られていって、4~5ゲームをこなしたのちに最後まで生き残っていたプレイヤーに優勝の栄誉が与えられる……という仕組みになっている。
 

 

 
 こう書くと、よくあるバトルロワイヤル系ゲームの殺伐とした風景を思い浮かべてしまうかもしれないけど、『Fall Guys』に至っては1ミリも、血生臭い空気も険悪な雰囲気もまとっていない。
 
 “生き残りを懸けた戦い”というテーマ自体は同じなのだが、シューティング系のバトロワゲームのキーワードが“生と死、血、暴力、険悪”というものだとしたら、この『Fall Guys』は間違いなく、
 
 “汗と笑い、涙、スリル、和気あいあい”
 
 こんな感じになる。かわいらしいキャラクターが、ワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャワチャ……って感じで先を急ぐ姿を見ているだけで、心から幸せな気分になれる唯一無二のゲームなのだよ!!
 

 
 たとえば、“シーソー”というゲームでは、コース上に大小複数のシーソーが設置されていて、そこをうまい具合に駆け抜けてゴールする必要がある。先着順でつぎのステージに進めるかどうかが決まるので、1秒でも早く先に進みたいんだけど……例のワチャワチャ軍団(他のプレイヤーのことねw)といい感じに協力しないと、スムーズに進行できないのが歯がゆくも楽しいポイントである。
 

 
 どういうことかと言うと、シーソーってのは片側に重い物体が載ると反対側がハネ上がる仕組みになっているので、うまくバランスさせるには両側に同じくらいの重量を載せるしかない。『Fall Guys』におけるシーソーも同じ原理なので、スイスイと駆け抜けるには両端でバランスを取りたいところなんだけど……みんな先に進みたくて仕方がないので、意味なく左右にドタバタと走り回りやがるのである!w そのせいでシーソーはバッタンバッタンと跳ね、思うように進めない。そのうち、傾きがすぎて奈落の底に落とされ、手前のポイントまで戻されてしまう……なんてことがしょっちゅう起こるのだ。その瞬間、口から飛び出るのは「くっそ!! ふざけんな!!!」なんていう怒りのコメントではなく、
 
 「ぎゃははははは!!!www お、落ちた!!!w みんなやめろ!!www 協力して先に進むんだよ!!!www」
 
 という、爆笑混じりの幸せなもの。
 

 
 他人と競い合うオンラインのアクションゲームで、まさかこんな気分になれるとは夢にも思っていなかったわ……w
 
 『Fall Guys』は、ミニゲームのすべてが簡単ルールで、チュートリアルも説明も不要なほどわかりやすい造りになっている。つまり、世界とつながっているオンラインゲームでありながら言語に悩むことがなく、それどころか他人とのコミュニケーションすら必要ないってんだからすばらしい。一斉にフィールドに降り立ったら先を競ってワチャワチャし、ただ笑って順位を見て一喜一憂……いや、“一喜一喜”すればいいだけ。ホントにこれだけの要素で、ここまでおもしろいゲームが作れてしまうのだ!
 

 
 聞くところによると、開発者は日本の伝説的なバラエティ番組『風雲!たけし城』や、少年時に遊んだ遊びにインスパイアされ、それを『Fall Guys』に反映させているとのこと。言われてみれば確かに、たくさんの人々がワチャワチャワチャワチャと先を競って入り回っている姿は『たけし城』そのものだなあwww
 
 『Fall Guys』は完全に、俺の中の定番ゲームのひとつになってしまった。こういうのを“大穴”って言うんだろうな。『Fall Guys』だけにw
 
 ……さ、1戦やってこよっとw

大塚(おおつか) 角満(かどまん)
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。

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