【大塚角満のゲームを語る】第32回 またノーマークだった……! 『原神』に期待大!


 

βテストをやっていたなんて

 
 前回のコラムで、マーベラスから11月12日に発売予定のNintendo Switch用ソフト『天穂(てんすい)のサクナヒメ』を紹介した。
 

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 これは7月20日に放送された任天堂の動画番組“Nintendo Direct mini ソフトメーカーラインナップ 2020.7”で詳しく紹介されたアクションRPGで、その映像も、キャラクターも、アクションシーンも、そして雰囲気も、
 
 「いかにも、俺好みじゃん!!!」
 
 というタイトルで目からウロコ。しかし何より驚いたのは、放送を見るまでこの作品をまったく知らなかったことで、俺はおずおずとマーベラスのオフィスがある南南東の空を眺めながら、
 
 「ゲームエッセイストを標榜しているくせに……1ミリも存じ上げなくて、スミマセンでしたッ!!><」
 
 と、深く深く恥じ入ったのであった。そして同時に、俺は鋭く誓ったのである。
 
 「こういう恥ずかしい事件は、もう二度と起こさんぞ。ニュース記者だった当時のことを思い出して、ゲーム業界の情報はすべてチェックしてやるッ!!」
 
 その目は、かつてファミ通の巻頭ページを毎週書いていた記者時代のように、ギラギラと貪欲に輝いていたと思う。こうなった俺の監視網からは、どんな小さなリリースも逃れられない。大手からインディーズまですべてのメーカーに目を光らせて、情報をチェックしてやるぞ!!
 
 「ふんっ!!w すり抜けられるなら、すり抜けてみろってんだww ふふん!w」
 
 会社のオフィスで鼻の穴を広げながらアイスコーヒーを嗜んでいると、同僚のたっちーが「なあなあ、これ知ってる?」と言って、自分のPCの画面を俺に向けてきた。「ん?」と言いつつ、ソーシャルディスタンスを守りながら画面をのぞき込むと……。
 

 
 「こ、これは……?」
 
 見た瞬間から、脂汗が止まらなくなった。こ、こいつは……見たところ……たまらなく、俺の琴線に触れるゲームなんですけど……。
 
 こともなげに、たっちーが答える。
 
 「7月にファイナルクローズドβテストが行われた、『原神』っていうオープンワールドのアクションRPGや。マルチプレイにも対応しているらしい。年内にPC、スマホ版のリリースが予定されていて、プレイステーション4とNintendo Switchへの対応も発表済み。7月のファイナルβはPS4でもやっていたらしいので、期待しちゃ……」
 
 ダラダラと流れ出る脂汗は、いまや足元で小さな水たまりを作っていた。その様子をいぶかしげに眺めつつ、たっちーが言う。
 
 「……もしかして、いま初めて知ったんけ?」
 
 俺は「ひぃ!」と小さくうめいたのち、脂汗の水たまりに頭をこすりつけた。
 
 「ひぃぃぃ!!!>< さっそくやっちまいました!!>< 『原神』って……いま初めて知ったよぉぉぉおおお!!!><」
 
 いきなりガバガバに情報にすり抜けられつつ、「いいい、いまから取り戻してやる!!><」ってんで、いろいろと調べてみました^^;
 

また遊ぶゲームが増えました

 
 『原神(げんしん)』はmiHoYoというメーカーが開発するマルチプレイ対応のオープンワールドアクションRPGで、前述の通り、2020年内にPCとスマホでのサービスインが予定されている。PS4とNintendo Switchでも開発されているようなので、大きな画面でじっくりと……と思っている人も期待してよさそうだ。
 

 
 このゲームは、パッと見た瞬間に「『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』に雰囲気が似ているな」と感じたのだがその通り、開発者が『ゼルダ』に多大な影響を受けて開発に着手したものだという。もうこの瞬間に、「注目せざるを得ないな」と思ったのは俺だけじゃないはずだ。
 

 
 残念ながら、俺はまだこのゲームに触れていないので(最近知ったくらいだからな)PVやスクリーンショットを見ての感想になってしまうのだが、ゲームの舞台となっているオープンワールドは果てしなく広く、ところどころにギミックが満載で、ただ歩いているだけでもワクワクが止まらなくなるような、そんな作りになっているようだ。
 

 
 そんな中で、いかにも日本ウケしそうなかわいらしいキャラクターを駆使しつつ、アクション性の高いバトルで敵と対峙する。見たところ、魔法にまつわる元素(属性か)の要素が強いらしく、たとえば草原で火の魔法を使うと延焼したり、雨が降っているときは氷や雷が強力になる……といった、戦略性の高い立ち回りが楽しめそうだ。
 

 
 既存の良作をリスペクトし、研究しつくしたうえで、オリジナルの要素を満載にゲームファンに提示する--。
 
 『原神』には、作り手の確かな矜持を感じる。PVやスクショで見た通りのクオリティーを本サービスでぶつけることができれば……今年の後半で“化ける”タイトルになり得るのではなかろうか。今後は逐一、情報を追いかけようと思いました!

大塚(おおつか) 角満(かどまん)
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。

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