By ドブフクロウ
みなさんこんにちは。MtGライターのドブフクロウです。
さて、先週末には2020プレイヤーズツアー・オンライン2が開催されました(※リンク先は外部サイト)。新型コロナウイルス感染症の影響で、今年のテーブルトップの大型トーナメント(プレイヤーズツアー含む)は中止になりましたが、この2020プレイヤーズツアー・オンラインはその代替のイベントです。
世界各国のプレイヤーたちがオンライン上で一堂に会して決戦を繰り広げた本イベント。見事に優勝を成し遂げたのは、なんと日本人プレイヤーの村栄 龍司選手でした。
Congratulations to Ryuji Murae (@era0405), the champion of #PTArena2!
“It feels great!” he said. “But this is not only my win – this was a deck made with my team, Kusemono. I’m feeling very lucky and very happy right now!” pic.twitter.com/N0WZObHS3F
— Magic Esports (@MagicEsports) June 15, 2020
大手カードショップである「BIGMAGIC」で広告塔として働いている村栄選手。”イジられキャラ”としてコミュニティで人気のプレイヤーですが、マジックでの実績も目を見張るものがあり、特にここ3年ほどの間はプロツアーやグランプリでもたびたび上位に入賞していました。今回は初となるタイトルの獲得、本当におめでとうございます。
そして、今週末もまたプレイヤーズ・ツアーオンライン3が開催されます。これまでに中止になったマジックフェストやプレイヤーズツアーを取り戻すかのごとく、毎週のように怒涛の勢いで大規模トーナメントが開催されており、マジックが再び盛り上がってくれそうですね。しかも今回は日本語での実況・解説付きの生放送も予定されているので、ぜひチェックしたいところです。
さて、それでは今回は2020プレイヤーズツアー・オンライン2のデッキを見ていきましょう!
2020プレイヤーズツアー・オンライン2
優勝した村栄選手の使用デッキは、日本人プロプレイヤー集団「曲者」の面々が調整したという「ティムール再生」でした。
「ティムール再生」は今大会のトップメタデッキで、2日目のメタゲーム・ブレイクダウンでは脅威の使用率38.66%を記録していました(ソースはこちら/リンク先は外部の英語サイト)。この使用率がどのくらいすごいのかは、過去の記事でもまとめているのでチェックしてみてください。
そんなマジックの歴史に爪痕を残そうとしているこのデッキを取り上げないわけにはいかないでしょう(これとかこれみたいにもう取り上げられなくなるかもしれないし)。さて、さっそくデッキリストを見ていきます。
ティムール再生(使用者:村栄 龍司選手) | |
---|---|
枚数 | カード名(メインボード) |
2 | 《爆発域》 |
4 | 《繁殖池》 |
2 | 《ヴァントレス城》 |
4 | 《寓話の小道》 |
2 | 《森》 |
2 | 《島》 |
4 | 《ケトリアのトライオーム》 |
1 | 《山》 |
4 | 《蒸気孔》 |
3 | 《踏み鳴らされる地》 |
1 | 《神秘の神殿》 |
1 | 《厚かましい借り手》 |
3 | 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 |
1 | 《霊気の疾風》 |
4 | 《発展+発破》 |
1 | 《炎の一掃》 |
4 | 《成長のらせん》 |
3 | 《神秘の論争》 |
2 | 《否認》 |
2 | 《中和》 |
3 | 《焦熱の竜火》 |
3 | 《サメ台風》 |
4 | 《荒野の再生》 |
枚数 | カード名(サイドボード) |
1 | 《厚かましい借り手》 |
1 | 《霊気の疾風》 |
1 | 《炎の一掃》 |
1 | 《神秘の論争》 |
2 | 《否認》 |
1 | 《サメ台風》 |
2 | 《砕骨の巨人 |
2 | 《終局の始まり》 |
3 | 《夜群れの伏兵》 |
1 | 《萎れ》 |
さて、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらのデッキを取り上げるのは実は初めてではありません。今からおよそ半年前のvol.38、そして1年3ヶ月前のvol.5でも取り上げたことがあります。つまり、この《荒野の再生》というカードは『ラヴニカの献身』でリリースされて以来(フード系デッキ全盛期を除き)常にスタンダードのメタゲーム上に存在していたデッキなのです。
ターン終了時に土地をアンタップするという能力は、カウンターとドロー呪文を利用する青系のコントロールデッキにとってはまさに喉から手が出るほど欲しかったカード。《荒野の再生》さえ戦場に出ていれば、自分のターンに《自然の怒りのタイタン、ウーロ》のようなクリーチャーを展開→相手ターンはカウンターで妨害という動きが取りやすくなります。
また、フィニッシャーである《発展+発破》も《荒野の再生》と非常に相性のいいカードです。自分のターンの終了時にアンタップ状態の土地からマナを出す→《荒野の再生》の能力解決後にさらにもう一度マナを出す、というプレイングにより、一時的に2倍のマナを利用することができるようになります。あとはコストの(X)に大量のマナをつぎ込み、対戦相手のライフを大幅に削りながら自身は大量にドローを得ることができるようになります。
そしてこのデッキの安定性を高めている呪文に《成長のらせん》の存在があります。インスタントになっただけの《探検》、というと弱そうに見えますが、2ターン目に《成長のらせん》→3ターン目に《荒野の再生》という動きは現行スタンダードにおける最強の動きです。また、たとえ《荒野の再生》を設置できなくとも、このデッキは遅かれ早かれ《発展+発破》プレイのために大量のマナを必要とする瞬間がやってくるため、土地を伸ばすことのできる《成長のらせん》は非常に重要な働きをしてくれます。
この他にも《サメ台風》や《厚かましい借り手》といった、やはり現行スタンダード最強の呪文を多数採用することができ、攻防において死角がありません。特に『イコリア:巨獣の棲処』で追加された《サメ台風》は本当に強力なカードで、《発展+発破》と比べると打ち消されることがなく、盤面に脅威となるクリーチャーを展開することができるので、ミラーマッチでも重要なカードです。
来週の2020プレイヤーズツアー・オンライン3でも、この「ティムール再生」は台風の目となることでしょう。この最強のデッキを打ち倒すデッキが出てくるのか、あるいは快進撃を続けることになるのか。今から期待が高まります。
ライター:ドブフクロウ
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。
MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。
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