さわやかな日に
1年でもっともさわやかで過ごしやすい5月の末--。
その日も、曇りがちではあったけど、澄んだ空気を祝福するような陽光が射し込むステキな日で、俺は珍しくスマホのカメラを起動して屋外で記念写真を撮ったりしていた。
島のアチコチに、
「オマエは島の平和を守る警備員だからな」
と命じて配置しているカミツキガメが写り込んでいるけどww
咲き誇るチューリップやヒヤシンス。春には満開の桜が花開く広葉樹。そして、ほどよい雲--。
「なんか、いいことがありそうだなぁ~^^」
ステキな予感に背中を押されながらの島内散歩は……思いもよらない出来事で、180度ひっくり返ることになるのであった。
別れの予感
夕方--。
「化石があと1個見つからないんだよなぁ~w どこにあんのかなぁ~……」
なんてブツブツ言いながら散歩をしていると、“ある住人”がしかめっ面でフキダシを出しているのが遠くに見えた。
俺、それを見て「ぷっwww」と噴き出す。フキダシだけに。
「あいつ、また何か悩んでるw どうせ……「口癖をなんとかしたいんだけど、どう思う? ナハッ」とか言うんだぜwww」
ニヤニヤ笑いながら、俺はその住人に声を掛けた。
「おーい、どうしたんだー?www」
長い付き合いのどうぶつなので、接し方は究極的にフランク。もちろんそれは、相手も同じだ。
俺の声掛けに、赤毛のどうぶつが立ち止まる。毎度思うけど……コイツの迫力は間違いなく、ルナステラ島でナンバーワンなんだよなwww
すると……。
話し掛けられたどうぶつは、いつもとはちょっと違う態度で俺に返事をしたではないか。
そのどうぶつとは、俺といっしょにこの島に移住してきた最古参メンバーのひとり、アーサーだった。ふだん、気合と筋肉のことしか考えていない“元気系”のどうぶつで、ルナステラ島の開拓初日から良くも悪くもムードメーカーとして移住生活を盛り上げてくれた“功労者”のひとりである。
アーサーが着ている服は、以前俺がプレゼントした手術服だ。メチャクチャ気に入ってくれたらしく、以来毎日のようにこれを着て散歩している姿を見かけている。
それにしても……ちょっといつもと様子が違うぞアーサーwww ただでさえ怖い獅子面を、より恐ろしくしてどうするwww それじゃどっからどう見ても人喰いライオンだぞwww
なんて軽薄なことを考えながら、俺はアーサーに話の先を促した。
そしたら。
「……え?」
な、何を言い始めたんだこの獅子面は。いつもみたいに、
「“ナハッ”ってどう思う? ナハッ!w」
とか言うんじゃなかったの?? 内容自体はアレだけど……そこはかとない深刻ムードが漂っているんですが……。
「え??w なになにwww どうしたのさ、アーサー?w」
イヤな予感を必死に押さえこみながら、あえて軽口を叩く俺。そんな俺に向かって……アーサーは、いちばん聞きたくなかったセリフを、耳まで裂けた大口でのたまったではないか!!
「う、ウソだろ……」
さわやかでまぶしい、いい予感に満ちていた五月晴れのこの日に--。
最古参で、いい兄貴分で、顔は怖いけど心根の優しいアーサーに……引っ越ししたいと相談されてしまったよぉぉぉおおおお!!!
あまりにも意外な住民からもたらされた、引っ越しの打診。
俺が下した選択は……?
長くなりそうなので、続きは次回!
大塚角満の『あつ森』おもしろガイドも更新中
大塚角満(おおつか・かどまん)
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。 |
『あつまれ どうぶつの森』公式サイト:
https://www.nintendo.co.jp/switch/acbaa/index.html
※ゲーム画面はNintendo Swicthソフト『あつまれ どうぶつの森』のものです。
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