ナゼ俺はあのとき、パチンコを……
“人を惑わす色”
というのをご存知だろうか?
……いや、新宿や池袋の繁華街を歩いているときに、
「あー^^ そこのシブいおにいさん、寄っていきませんかぁ?^^」
と、独特の色香を振りまいて男を惑わす夜のチョウチョの話ではなく(コロナ禍のさなか、こういう表現もいまや懐かしい)。
それを見た多くの人が、
「うおおおおお!!! だだだ、誰にも渡したくねぇぇえええ!!!><」
と我を失って欲に走ってしまう、魅力的にして危険な色……。
……そう、それはもちろん“金色”だ。
有史以前よりゴールドの輝きは、権力者も平民も分け隔てなく狂わせ、ときには巨万の富を、ときには血で血を洗うような大戦すらもたらしてきた。
そして、いま。
我らが『あつ森』の島にも、人知れずゴールドの輝きに魅せられ、狂わされてしまった、悲しくも哀れな男の物語がある--。
釣り大会の日に
それは、イースターのイベントが佳境を迎えていた4月11日のこと。この日は、ジャスティンが主催する記念すべき“第1回 ルナステラ島釣り大会”の当日だったのだが、
空には相変わらず無遠慮に、プカプカと無数の風船が飛び交っていた。
イースターエッグを集めるためとはいえ、あまりにも頻繁に風船が飛来していやがったので、島民の多くも辟易としていたことだろう。俺もそのひとりだったのだが、風船を見ると条件反射的に、
「いますぐ撃ち落とさないと!!」
というスイッチが入ってしまうため、釣り大会そっちのけでついつい追跡をしてしまっていた。おかげで、撃墜数は相当な数に上ったがパチンコの消耗も激しく、そのときも調子に乗ってパキュンパキュンと礫を放っていたため、ある瞬間に「パッキャン!」と粉々に砕け散ってしまったのだ。
まあでも、パチンコはあくまでも消耗品。壊れたら、DIYで作ればいいだけだ。
いつもだったら間違いなく、すぐさま自宅に戻って新品のパチンコを調達していたであろう。道具がひとつでも欠けていると、何とも言えない不安感に苛まれるからな。
でも……この日は前述の通り、記念すべき釣り大会当日。俺は、
「パチンコは……あとでいいか^^; どうせ飛んでくるの、“そらとぶたまご”ばっかだしw」
そう安易に判断し、大会を主催するジャスティンのもとに向かったのだった。
これが……大いなる間違いの始まりである。
上空の違和感
俺はしばらくのあいだ、釣り大会を堪能した。でも、まもなくそれにも飽き、ふつうに素材集めをするために島の中の散策を始めたのである。
……そう。“パチンコが壊れている”ことをすっかり忘れて。
そして--。
その瞬間は、突然やってきた。
スコップを両手に持って歩いていたとき……上空に、妙な気配を感じたのである。とっさに、
「あ。風船が来たかも」
と、直感的に思う。そこでカメラの角度を俯瞰視点にし、上からの角度で見てみたところ……!!
「え」
確かに、風船がいる。そこそこの風に乗って、右から左にドンブラコッコと浮遊しているのがはっきりと見えた。
し、しかし……((((;゚Д゚)))
問題は、その風船の“色”にあった。
風船は黄色や赤といったビビットなものと、この時期だけに飛んでくる虹色(イースター用)があったのだが……。
でも……((((;゚Д゚)))
いまプカプカと浮いているソレはどちらでもなく、やたらとメタリックで、非常に心を奮わす色をしているではないか……。こここ、これはもしや、噂の……ッ!!!! 俺の口から、悲鳴ともとれる叫びが上がった。
「ききき、金の風船飛んできちゃぁぁあああ!!!!」
言うや、
「ぱぱぱ、パチンコ!!! パチンコに持ち替えて、金の風船をともだちんこ!!!!」
パチンコを取り出そうとしたんだけど……((((;゚Д゚)))
「うわああああああ!!! ななな、ない!!! パチンコがどこにもないぞ!!!! ゆ、行方不明!!! 誰かに盗まれたか!!?!」
なくて当たり前なのだ。だって、壊れたままなんだもの(苦笑)。俺は猛烈な勢いで走り出した。
「金の風船が消えぬうちに自宅でDIYしてパチンコを作って舞い戻って風船を撃墜してッ!!!」
慌てるあまり、ガチャガチャとボタンを連打して走る俺。そんなことをしても、速く走れるわけじゃないのに。
おかげで……。
「ぎゃあ!!! 釣り大会のコアラに話し掛けちまったよ!!! な、なんでそんなところで釣ってんねん!!! こっちは急いでんだよ!!!」
コアラ、とんだとばっちり。
さらに、なんとかパチンコを作って舞い戻ろうとしたときも……((((;゚Д゚)))
ざっくんwww
!!!!!
スコップ持ったまま連打で走ってたら、アサリ掘っちゃったよぉ!!!!>< 何自慢げに見せびらかしてんねん!!!!
「うわああああ!!! お、俺の金風船は!!! 金の風船はどこじゃぁぁああああ!!!!><」
けっきょく……w
風船はとっくに海の向こうに消えてなくなり、それ以来、
いくら空を眺めても、我が島に金の風船は飛来していない……w
合掌……。
大塚角満の『あつ森』おもしろガイドも更新中
大塚角満(おおつか・かどまん)
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。 |
『あつまれ どうぶつの森』公式サイト:
https://www.nintendo.co.jp/switch/acbaa/index.html
※ゲーム画面はNintendo Swicthソフト『あつまれ どうぶつの森』のものです。
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