【ゲームレビュー】うんこで武器をつくるゲーム! じゃなくて、「移動」を「運ぶ」ゲームにした『DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUT』 PS5で極上のゲーム体験を再び!

いやぁ、楽しい! すこぶる楽しい! 仕事という理由を盾に遊びまくり、仕事を忘れて遊びまくった! 本レビューは、コジプロ(コジマプロダクション)ファンのライターによる、『DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUT』(デスストランディング ディレクターズカット/略称「デススト」)(2021年9月24日発売)のレビュー記事である! ゲーム本編と新要素の魅力を紹介するから、ぜひ読んでくれよな!!

うんこでグレネードをつくって戦え!

コロコロオンラインの偉い人から一通のメールが届いたのは、9月上旬のことだった。

偉い人「石川さん。ゲームレビューの記事をお願いできませんか? タイトルは『DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUT』です」

おれ「『DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUT』ですって!?  『DEATH STRANDING』は2019年11月のオリジナル版発売当時にめちゃくちゃハマりましたよ!! ……というか、僕、コジプロ大好きなんです!」

偉い人「それはちょうど良かったです」

おれ「『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』のためにPS3を買い、『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』のためにPS4を買った男ですよ、僕は」

▲筆者私物のメタルギア4の限定版PS3

偉い人「そうなんですね」

おれ「ついでに言うなら、『DEATH STRANDING』の主役・サム役を務めるノーマン・リーダスも大好きなんです。海外ドラマ『ウォーキング・デッド』のダリル(※ノーマンの務める役名)がカッコ良くて……。当時、おれ、オリジナル版のデスストをプレイしながら思いましたもん。こんなに好きな要素が詰まったゲームがあるのに、仕事として紹介する機会がないなんて、おれはダメなライターだって」

偉い人「それなら、もう、ぜひ。石川さんにお願いして良かったですよ」

おれ「ちょ、ちょっと待ってください、僕はまだ依頼を引き受けていませんよ!!」

偉い人「え、そうなんですか?」

おれ「僕、PS5を……」

偉い人「え?」

おれ「PS5を持ってないんです!!!!」

偉い人「……」

おれ「…………」

偉い人「それなら安心してください。SIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)さんがPS5を貸してくださるそうです」

おれ「な、な、な、なんだってーーーーー!! 太っ腹すぎる!!!!」

偉い人「書いていただけますよね?」

おれ「書かせていただきます!!!!!」

▲PS5が届いたよーーーーー!!!!

……と、いうわけで、デスストのレビューを書かせていただくことになったのだが、コジプロの小島秀夫監督はゲーム業界のみならず、さまざまなメディアから愛されている。デスストは、彼がコナミから独立して初のタイトルとあって、オリジナル版の際に、非常に多くのメディアがレビュー記事を作成しているのだ。

「砂漠(すでにあるレビュー記事群)に砂粒(新たなレビュー記事)を一つ投げて、何の意味があるのだろう」とも思った。しかし、コロコロオンラインにとっては初のデスストのレビューであり、コロコロオンラインだからこそ、その記事を読んでくれるだろう層もいるはずだ。まずは、真っ当なレビューを書こう。

しかしながら、コロコロオンラインならではの独自性も求められるはずだ。ここが肝である。「うんこちんちん総選挙」の企画を考え、「コロコロおバカネタ捜索隊」で数々のうんこネタを取り扱ってきたおれは思った。

「そうだ、コロコロにはうんこがあるじゃないか。そして、デスストにもうんこがある!!!」

▲トイレ(大)の文字が……
▲用を足す主人公のサム

デスストの主人公のサムは特殊体質の持ち主で、ゲームの進行を邪魔してくるBTというオバケのような存在に対する抗体のようなものを持っている。そこで、彼の排泄物をもとに、対BT用のグレネード「ExグレネードNo.2」を開発することが可能なのだ!

▲ExグレネードNo.2。茶色いカラーに遊び心を感じずにはいられない

こんな設定、他では聞いたことがない。コジプロのうんこ愛が伝わってくる。サイコー!!!!

……待て、待て、待て。

コジプロファンのおれは、「うんこ爆弾サイコー!!!!」と言いたくて、このレビューの仕事を引き受けたわけではない。違う、デスストは、デスストはもっといろんなところがサイコーなんだヨォ! それを今から書かせてくれい!

って、えっ! ここまでで約1500文字書いてる……!? 導入が長くてごめん! でも、おれのコジプロ愛の大きさだと思ってくれ!!!!

うんこだけじゃない! 本作の魅力を紹介!

『DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUT』の舞台は、未来のアメリカ。「デスストランディング」という未曾有の超大規模な事故が起きて以来、アメリカは分断され、滅亡の危機にさらされている。大陸には「時雨(ときう/タイムフォール)」という、触れたものの時間を奪う雨が降り、人々はシェルター生活を余儀なくされているんだ。

しかし、人々の生活には食糧や薬が必要だ。そこで、頼まれた配送物を届けるのが、主人公であり「配達人(ポーター)」である、サムというわけだ。配送物はさまざまで、食糧や薬のほかにも、タブレット端末や写真集、フィギュアなどもある。人々の生活のなかに、暗にエンターテインメントが欠かせないと示されているのが、エンタメ業界に関わる人間としてはうれしかった。

▲ゲーム冒頭。雨が降っている。各施設での依頼以外にも、フィールドには落とし物が落ちており、それを届けることで「いいね」を得ることができ、キャラクタースキルの成長にもつながる
▲目的地は移動中やマップ上に「★」マークで表示されるので、移動がわかりやすい
▲人々に荷物を届けると感謝される。これがうれしいのだ

人々が送るシェルター生活のそれはコロナ禍の現実世界とも被るが、オリジナル版の発売は新型コロナウイルスの流行前だったのだから、小島監督は人類の危機下をリアルに想像した上で作品を創造していることがわかる。このリアリティこそが、作品に没入できる重要な要素なのだ。作中で、人々は分断されているが、サムが大切な荷物を運ぶことで、人々の心を動かし、つながりが復活していく様から、キミは何を感じるだろう。これこそがゲームを通じて、キミが得られる体験だ。

謎が謎を呼ぶ展開もいい。初めて耳にする単語。初めて目にする、不思議な現象。それらの謎が、解き明かされる瞬間の快感。ゲームとしての単純かつ明快な心地よさが備わっている。

▲人が空に昇っていく。これは一体……
▲サムの腹には十字の傷跡が。一体、何の傷跡なのだろうか
▲人影のように見えるのが、サムの往く手を阻むBT

ゲームシステムがいい。キャラクターが悪路を移動する際に掛けた梯子やロープは、インターネット上でつながっている他のプレイヤーと共有することができる。自分がアイテムを持っていない時に、人が掛けた梯子などに遭遇すると、神に救われたような気持ちにさえなる。自分のプレイも他のプレイヤーに何らかの影響を与えていることがわかると(プレイ中に「あなたの発電機を●●が使用しました」という具合に表示される)、人の役に立てたというよろこびにもなる。

▲悪路を往くのに梯子やロープが不可欠なアイテムとなる
▲川も厄介な存在だ。青色は平坦な流れのところなのだが、黄色・赤色で表示されているところは流れが早く、体制を崩して荷物が流される危険がある
▲大きい橋を掛けることもできる。移動が一気にラクになるぞ
▲ゲームを進めると使えるようになるバイクやトラックの存在も、移動をラクにする存在の一つ。乗り心地がまた爽快!
▲道中には温泉があり、スタミナを回復することができる。いい湯だな〜!

盛り沢山の新要素を遊び尽くせ!

『DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUT』では、オリジナル版にはなかった新要素がいくつもある。それらを紹介していこう!

▲敵を気絶させるメーザー銃は序盤から使用可能。ちなみに、画面は同じく新要素の「訓練場」で、さまざまなアイテムを試用できるほかにも、敵を倒すタイムアタックなどを楽しむことができる

サポートスケルトンという、重い荷物を持った際の負荷を軽減する、序盤から使えるアクティブスケルトンの種類も増えた。

「廃工場」という、深部まで進められるフィールドも追加された。デスストらしい謎が謎を呼ぶ展開が待っていそうだ。

▲廃工場の入り口。ミュール(敵集団)が管理しているようだが……

BBポッドのカスタマイズもうれしい。よりファッショナブルに、デスストの世界を歩くことができるぞ。

▲シックな配色にしてみた

カイラル橋という移動手段も増えた。橋が建てられないような狭い地形や高低差のある段差などで気軽に建てることができる。

▲奥にある細い水色の橋がカイラル橋

新要素の目玉の一つと言えるのが、レース場だろう。素材を集める苦労はあるが、復旧させた時のよろこびはひとしおだ。

▲ミュールから奪った資源で復旧
▲おおおおお、かっけえ!!
▲自分のゴーストに遅れをとってしまった。燃えるぜ!!!!

そして、エピソード5の終わりまで進めると使えるようになる「荷物カタパルト」。荷物を積んだポッドを射出することが可能で、離れた場所に荷物を放つことができる。武器としても使えるようだ。

▲荷物カタパルト。デザインがいちいちかっこいいんだよなあ!

ここまで遊んでみた感想を一言。

「PS5、返却したくないよう!!!!!」
(買えよ)

まだまだ遊んでいたい。約2年前に遊んだばかりとは思えない没入感は、よりリアルになったグラフィックの賜物であり、練りこまれたゲームシステムのお陰だろう。サムが荷物の重さによろけそうになれば、コントローラーを握る手に力が入るし、なんなら自分も一緒に「おっとっと」と傾いたりもする。

サムのCVを務める津田健二郎氏の声もとにかくいい。かっこいい。男が惚れる男、サムをしっかり演じ切っている。長い悪路を踏破し、目的地が見えた時の安堵感と達成感は、他のゲームでは味わえない。ああ、小島秀夫監督と制作スタッフのみなさん、こんなにもおもしろいゲームをつくってくれてありがとう。これは提灯記事ではない。長年のコジプロへの愛と感謝をもって書いた、そして自信を持ってゲームをオススメしたい真のレビュー記事だ。うんこのくだりを消そうかどうか、散々悩んだが、それもまだ見ぬプレイヤーへのアプローチの一つとして、許してほしい。

みんな、『DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUT』やろうぜ!!!!


作品概要
『DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUT』
■スタンダードエディション(¥6,490)
■デジタルデラックスエディション(¥7,590)

PlayStation 4用ソフトウェア『DEATH STRANDING』
■Value Selection(\5,390)
■デジタルデラックスエディション(¥6,490)
※PS4の『DEATH STRANDING』、『DEATH STRANDING Value Selection』、『DEATH STRANDING デジタルデラックスエディション』を持っている場合は、別途PS5『DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUTデジタルデラックスエディション』にアップグレードできる権利を1,100円(税込)で購入することができる

https://store.playstation.com/ja-jp/product/JP9000-PPSA01970_00-DEATHSTRANDINGJA/