フォートナイトワールドカップにて活躍し、プレイヤーだけではなくストリーマーも複数かかえるCrazy Raccoon。彼らの躍進の裏には、一人のコーチが常に関わってきました。
彼の名はWidow。Crazy Raccoonを支え続けてきた男です。彼から見たCRメンバーについて迫っていきます。
——前回からの引き続きとなりますが、ソロだとTAKAMURAMM選手が特筆すべき選手であるとWidowコーチは申しましたが、その他のプレイヤーについても教えていただけますか。
Widow:
デュオの場合はScarlet&Bellのペアです。
このペアの連携力はアジアでも随一のクォリティを誇っていますが、特徴的な部分は別にあります。“若さ”が出ているプレイというか、他の海外選手だとあんまり攻めに行かないような場面でも、かなり積極的に攻めにいきます。強気なプレイというのが彼らの持ち味ですね。
闘う形に関しては、基本的にはBellが先行して闘い、Scarletが合わせます。
あと特異な点として、お互いがやりたいことを理解しているからか、他のチームと比べて全然声掛けをしていないんですよ。あまりVCでやり取りせずとも、なぜか連携できてしまうのがベルスカコンビです。
ただ残念ながら、そんな彼らにも悪い面があります。声掛けが少ないからか、例えば片方の武器の弾が少なかったりしても、互いに気付かなかったりします。そういうやり取りは欠けてるかな~と……。
——ソロ部門はTAKAMURAMM選手、デュオ部門はベルスカコンビ。その他の面で特徴的な選手はいらっしゃいますか?
Widow:
自分の目線から見ると、他にも何人かいます。
例えばバニラ選手です。
彼はPUBGというゲームで、当時の世界記録だか日本記録を持っているくらいFPSが得意で、フォートナイトにおいてもそのセンスは健在です。対人能力の高さ、相手のしたいこと、相手がやられて嫌なことを完全に理解しています。FPSやTPSなどの対人戦全般に通じる能力を持っているのだと感じますね。
あとはありさか選手です。
彼は現在ストリーマーに移行しているはずなんですが、選手並みにまだまだ強いです。最早これはセンスとしか言いようがない……練習をしている様子もあまり無いので、驚異的なプレイヤーです。
——あとWidowコーチはヨーロッパ遠征で選手たちと一ヶ月ものあいだ一緒に過ごしていましたが、その中でコーチとしてどのようなことを行っていましたか。また逆に気付かされたことなどもありましたか。
Widow:
色々ですね。スクリム関係の作業はほんの一部です。普段のスケジュール管理や、出かける際の引率、毎日の買い出しなど。保護者みたいな役割の方が多かったかもしれません(笑)。
例えばですよ、単純に「朝起きる」という点でも、皆の生活サイクルが全然違うので、しっかりと先導しなきゃいけません。一人は朝9時に起きるのに、別の一人は昼間にならないと起きない、とかだとまともに練習できないので。
そしてそこから朝飯はどうするのか、昼は何時から何を食べる、生活用品で足りないものは何か、夜はどうするか、消灯はどうするか。
生活の基礎的なところをスケジューリング・管理することが僕の大切な仕事でした。
もちろんスクリムでの仕事もあります。本番想定のスクリムをやらせて、それを全て記録する。順位やキル数、改善点のフィードバックなどは当たり前ですね。
そして練習終わりの反省会は全員でやります。練習を終わってすぐです。平均して30分くらい。1試合ごとに選手たち個人で改善点を見つけてやっているので、それの振り返りです。そして明日からはどうやっていくのかなどを話します。
ヨーロッパ遠征を経験したことで、練習に直結した部分でのサポートと、実生活でのサポートというのは、どちらも欠かせない要素なのだと気付かされましたね。
——ヨーロッパ遠征を経て、Widowコーチが学べた点も多そうですね。
Widow:
他のチームでは到底経験できないようなことを経験させてもらえて、非常にありがたいですし、チームの成長速度に僕も置いてかれないように努力していかなければいけないなと思いましたね。
あと肌感で分かったのですが、アジアとヨーロッパでは環境が大分違うのかなと。
競技人口の違いが根底にはあるのでしょうが、プロとアマチュアの差がかなり激しいという印象を受けました。
キル数がポイントになる今の大会ルールだと、アジアは格下をどれだけ狩れるかというのがポイントになってくるので、本当に強いプレイヤーを決めるというのとはちょっと違うのかと感じましたね。
逆に他のリージョン、特にヨーロッパやアメリカだと、強いプレイヤー同士が戦って強いプレイヤーが勝ち抜いていくという印象がありました。
世界という枠組みの中でアジア地域、ひいては日本が活躍するには、アジア全体での競技人口の増加が不可欠だと思います。僕個人としても、今後アジアや日本でどんどん競技人口を増やしていって、世界上位のプレイヤー達が日本から生まれていくことを願っています。
Widow: ●YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UCytoZOjA1aHIY570_25Mxhw/featured @_WIDOW__ |
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ライター:gappo3 プロゲーミングチーム「Green Leaves」に所属し、ライターを兼任。選手に寄り添うインタビューをモットーに、丁寧に選手の一面を描いていきます。 https://twitter.com/gappo3gappo3 |
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