By ドブフクロウ
みなさんこんにちは。MtGライターのドブフクロウです。
先週末にはミシックチャンピオンシップ・バルセロナ2019が開催されました。世界各国から狭き門を通り抜けてきたプロプレイヤーたちが「世界最強」の座を懸けて争った本大会は、『モダンホライゾン』を使用したリミテッド+モダン構築戦で行われました。
本連載の中では何度かご紹介してきましたが、今回は改めてモダンというフォーマットについてご紹介していきましょう。MTGアリーナでマジックを始めたという方にとっては馴染みのないフォーマットかもしれませんが、モダンとは……
- 『第8版』(2003年7月)以降に発売された基本セットと通常エキスパンションのカードを使用してデッキを構築する。
- 『統率者』などの特殊セットのカードは使用できない。ただし今年6月に発売された『モダンホライゾン』のカードのみ使用可能。
- 一部、デッキに入れることのできない禁止カードがある。
上記のルールに従ってデッキを組むフォーマットです。非常に大雑把に説明すると、「新枠のカードだけを使って遊ぶフォーマット」ですね。
スタンダードが最大で2年分のカードプールでプレイされる(秋の『エルドレインの王権』発売後は『イクサラン』〜『基本セット2019』が使用不可能になる)のに対して、モダンは現時点で16年分のカードプールを擁しており、そして今後も使用可能なカードの種類が増え続けていくという違いがあります。
ローテーションがないので、一度組んだデッキはずっと使い続けることができるというのはモダンの最大の魅力の一つと言えるでしょう。
さて。今回は、そんなモダンで争われたミシックチャンピオンシップ・バルセロナ2019の様子を見ていこうと思います。特に6月に発売された『モダンホライゾン』は環境に大きな変化を与えたようで……?
ミシックチャンピオンシップ・バルセロナ2019
『モダンホライゾン』ではマジックの過去の主人公や超重要人物がカード化されたことも記憶に新しいですね。
『ウルザズ・サーガ』ブロックの主人公級キャラクターの1人だったプレインズウォーカー《セラ》や、悪の次元「ファイレクシア」の王である《ヨーグモス》の若き日の姿などなど……
ストーリー好きにとっても大満足のセットとなりましたが、なんと言ってもマジックの歴史を代表する狂気の発明家、《ウルザ》がカード化されたことはファンたちの間で非常に衝撃的でした。
そう、あの《ウルザの激怒》のウルザです。
《ウルザの激怒》といえば『インベイジョン』のトップレアであり、漫画『デュエルマスターズ』で邪藩牛次郎を葬ったカード(厳密には《蝕み》かもしれないけど、スタック順的にはトドメを指したのは《ウルザの激怒》)でもあるので、名前だけは聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか?
この《ウルザ》がまた主人公サイドのキャラクターでありながらかなりのお騒がせ人物というか悪行の限りを尽くしてきたキャラクターで、大陸一つを焦土に変えたり、人の命や世界を平気で捨て駒にしたり、最後には敵サイドに寝返ったりとやりたい放題だったのですが……それは別の話ですね。ファンの間では印象深いキャラクターです。
ウルザの話だけで記事が一本書けてしまうのですが、ここは一旦デッキに目を向けましょう。ミシックチャンピオンシップで活躍していた《最高工匠卿、ウルザ》をデッキを見ていきましょう!
ウルザ・ソプターコンボ(使用者:マニュエル・レンズ選手) | |
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枚数 | カード名(メインボード) |
6 | 《冠雪の島》 |
1 | 《冠雪の沼》 |
1 | 《冠雪の山》 |
1 | 《湿った墓》 |
1 | 《蒸気孔》 |
1 | 《神聖なる泉》 |
4 | 《汚染された三角州》 |
4 | 《沸騰する小湖》 |
1 | 《宝石の洞窟》 |
3 | 《ゴブリンの技師》 |
4 | 《最高工匠卿、ウルザ》 |
4 | 《ミシュラのガラクタ》 |
4 | 《オパールのモックス》 |
4 | 《アーカムの天測儀》 |
2 | 《虚無の呪文爆弾》 |
1 | 《感電破》 |
1 | 《墓掘りの檻》 |
1 | 《真髄の針》 |
1 | 《黄鉄の呪文爆弾》 |
3 | 《飛行機械の鋳造所》 |
2 | 《精神石》 |
1 | 《胆液の水源》 |
1 | 《罠の橋》 |
1 | 《イシュ・サーの背骨》 |
3 | 《発明品の唸り》 |
2 | 《弱者の剣》 |
2 | 《時を解す者、テフェリー》 |
枚数 | カード名(サイドボード) |
1 | 《練達飛行機械職人、サイ》 |
3 | 《致命的な一押し》 |
3 | 《思考囲い》 |
2 | 《儀礼的拒否》 |
1 | 《古えの遺恨》 |
1 | 《真冬》 |
2 | 《虚空の力線》 |
1 | 《時を解す者、テフェリー》 |
1 | 《ボーラスの工作員、テゼレット》 |
《最高工匠卿、ウルザ》の能力はアーティファクトと強力なシナジーを生みます。特にアーティファクトをタップするだけで青1マナを得る能力は非常に強力で、《ウルザ》さえ着地してしまえばその後は凄まじい勢いでアーティファクトを展開することが可能になり、圧倒的な物量とマナの差でゲームを決めることができるようになります。
そして、《ウルザ》と組み合わせることで一瞬でゲームを決めることのできるコンボとして、《弱者の剣》+《飛行機械の鋳造所》、通称「ソプター・コンボ」も採用されています。このコンボはたった2枚を揃えるだけでよいので非常に決まりやすく、かつこのコンボをバックアップするカードとして《ゴブリンの技師》も採用されています。
このコンボの手順について説明すると……
- 《弱者の剣》を戦場もしくは墓地に置いておく(《ゴブリンの技師》で達成可能)。
- 《飛行機械の鋳造所》を戦場に出す。
- 《飛行機械の鋳造所》でトークンを出す(ライフ+1)。《弱者の剣》の能力が誘発して戦場に戻ってくる。
- 《弱者の剣》を生け贄に捧げてトークンを出す(ライフ+1)。《弱者の剣》の能力が誘発して戦場に戻ってくる。
- 《弱者の剣》を生け贄に捧げてトークンを出す(ライフ+1)。《弱者の剣》の能力が誘発して戦場に戻ってくる。
- 《弱者の剣》を生け贄に捧げてトークンを出す(ライフ+1)。《弱者の剣》の能力が誘発して戦場に戻ってくる。
……以下マナの続く限り無限。ちなみに《最高工匠卿、ウルザ》が戦場に出ていれば、《飛行機械の鋳造所》によって出てくるトークンと《弱者の剣》をタップすることで2マナを得ることができるので青の無限マナ+無限ライフ(あと無限トークン)も達成可能。それに《最高工匠卿、ウルザ》の3つ目の能力を無限に起動することでライブラリーの呪文を全て唱えきることもできるというハチャメチャなコンボです。
《弱者の剣》の性質上、墓地利用を封じられていたりするとコンボが成立しなくなってしまうのですが、サイドボードには《練達飛行機械職人、サイ》のような墓地を経由しない勝ち手段も用意されており、なかなかトリッキーなデッキです。こういうガチャガチャしたデッキが好きという方にとってはたまらないでしょう。
これからモダンへの参入を考えている方なら、こういうスタンダードではなかなか実現しにくい「一風変わったデッキ」を組んでみるのもおもしろいかもしれませんね。
ライター:ドブフクロウ
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。
MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。
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