ドブフクロウのMtGブレイキングアカデミー vol.19 〜「王者のデッキ」の代名詞〜

By ドブフクロウ
 
みなさんこんにちは、MtGライターのドブフクロウです。
 
いやはや、ついに7月の禁止制限告知が発表されました。やはりというかなんというか、モダンの「ホガークヴァイン」が粛清される形で《黄泉からの橋》が禁止されましたね。

▲黄泉からの橋

個人的には、今回の改定はなかなか良い変更だったのではないかと思っています。「ブリッジヴァイン」は確実に弱体化しますが、アーキタイプ自体が消滅するというほどでもなく、他のデッキへの影響も軽微で絶妙なバランスですね。
 
『モダンホライゾン』では実に様々なカードがモダン環境に追加されたので、これからは《甦る死滅都市、ホガーク》以外のカードを見かける機会も増えそうです。そこで、今回は個人的に現在注目しているモダンのデッキをご紹介したいと思います。
 

Red Bull UNTAPPED ベルギー予選

世界的な飲料メーカーであるRed Bull社が協賛している世界規模の大型大会、「Red Bull UNTAPPED」の予選が開始されました。そのベルギー予選ではモダンを象徴するとあるデッキが優勝していたようです。
 
その名も「ジャンド」。黒と赤と緑の3色の組み合わせを意味するマジックの固有名詞ですが、いつの時代も一貫した戦略を武器に「強いデッキの代名詞」のように使われる名前です。
 
このデッキもまた、『モダンホライゾン』の影響でさらに強化されています。早速デッキリストを見ていきましょう。
 

ジャンド(使用者:アントン・デ・スメット選手)
枚数 カード名(メインボード)
1 《森》
1 《山》
2 《沼》
3 《血染めのぬかるみ》
1 《樹木茂る山麓》
4 《新緑の地下墓地》
1 《育成泥炭地》
1 《怒り狂う山峡》
3 《黒割れの崖》
1 《花盛りの湿地》
2 《草むした墓》
1 《踏み鳴らされる地》
1 《血の墓所》
1 《幽霊街》
2 《呪詛呑み》
2 《血編み髪のエルフ》
2 《歴戦の紅蓮術士》
4 《タルモゴイフ》
3 《闇の腹心》
2 《漁る軟泥》
1 《疫病を仕組むもの》
3 《ヴェールのリリアナ》
3 《レンと六番》
3 《思考囲い》
3 《コジレックの審問》
2 《致命的な一押し》
3 《稲妻》
2 《暗殺者の戦利品》
1 《突然の衰微》
1 《虚無の呪文爆弾》
枚数 カード名(サイドボード)
1 《夢を引き裂く者、アショク》
2 《大爆発の魔道士》
1 《疫病を仕組むもの》
3 《虚空の力線》
1 《反逆の先導者、チャンドラ》
2 《溜め込み屋のアウフ》
1 《嵐の乗り切り》
1 《外科的摘出》
1 《神々の憤怒》
1 《古えの遺恨》
1 《滅び》

 
そもそもジャンドデッキは、赤と黒の擁する強力な単体除去と手札破壊で対戦相手のリソース(資源)を着実に消耗させ、緑の強力なクリーチャーでトドメを刺すというコンセプトのデッキです。大まかに「グッドスタッフ」というアーキタイプに分類され、それぞれの色の一級品のカードが多数採用されています。
 
特にこのデッキの注目カードと言えばなんといっても《レンと六番》と《呪詛呑み》の2つでしょう。

▲レンと六番
▲呪詛呑み

ジャンドはその性質上、ゲームを消耗戦に持ち込む過程で自分自身のリソースも失っていくことになるため、どこかでカードアドバンテージを得る必要があります。これまでは《闇の腹心》がその役割を担っていましたが、どうしてもクリーチャーということもあって除去には弱く、かつライフルーズも痛い場面があるため、万能なカードとは決して言い難いカードでした。

▲闇の腹心

しかし、今回『モダンホライゾン』で追加された《レンと六番》は《闇の腹心》と同じマナ域ながら継続的なアドバンテージを得られる能力を持ち、なおかつ自身がフィニッシャーにもなるという強力な性能を誇っています。
 
また、《呪詛呑み》は殆どの場合「プロテクション(インスタント)」持ちのクリーチャーとして運用されますが、これだけでも《流刑の道》や《稲妻》、《致命的な一押し》といったモダンのポピュラーな除去に耐性を持っており、もしも「レベル8」以上まで育てることができればあの《大祖始》と同等の能力を持ったスーパークリーチャーへと変貌します。
 
Red Bull UNTAPPEDの決勝戦の最終ゲームでは、この2枚が特に活躍していました。動画にも残っているので、白青コントロールをぶちのめす《レンと六番》と《呪詛呑み》を、ぜひ実際に確かめてみてください。

ちなみに余談ですが、本動画では解説役としてラファエル・レヴィ(フランス人の伝説的なプレイヤー)が出演しています。日本語字幕版が観たい……! 誰か……!
 

 

ライター:ドブフクロウ

青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。
MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。

次回は7/17(水)更新!!
ドブフクロウのMtGブレイキングアカデミー バックナンバー

vol.1 ~マジックを始めるなら今がチャンス!?~

vol.2 〜世界を制した青単テンポ〜

vol.3 〜モダン坂をのぼりはじめよう〜

vol.4 〜パウパーという名の沼〜

vol.5 〜スタンダード環境についておさらいしよう〜

vol.6〜マジックフェスト・京都2019〜

vol.7〜ミシックインビテーショナル〜

vol.8 〜神保町エゴイスティック〜

vol.9 〜友達をなくす銀の弾丸〜

vol.10 〜《硬化した鱗》親和の恐怖!〜

vol.11 〜『灯争大戦』勃発!〜

vol.12 〜若き王者が帰ってきたッ どこへ行っていたンだッ チャンピオンッッ〜

vol.13 〜生きろ。そなたは美しい〜

『モダンホライゾン』先行カードプレビュー! 〜《捧げ物の魔道士》〜

▲vol.14〜プレインズウォーカーの灯のバーゲンセール〜

▲vol.15〜大きい=強い=かっこいい!〜

▲vol.16 〜モダン界の新たな〜

▲vol.17 〜ずっと俺のターン!!〜

▲ドブフクロウのMtGブレイキグアカデミーvol.18