今年はホラーな夏だった
お盆の期間に合わせて展開された“7夜連続!コロコロオンライン真夏のホラーゲーム徹底特集”だが、ありがたいことにたいへんな好評を博して、関係者一同ホッと胸を撫でおろしている。
とくに、『SIREN』の外山さんと『呪巣』のムゥさんのインタビューは、他のメディアの人間が読んだら、
「やられた!! おもしろすぎる!!>< 企画で負けた!!><」
と歯噛みすること請け合いの、飛び抜けてすばらしい内容だった。俺も、もしもファミ通時代にコレをやられていたら絶対に、
「うわあああああ!!! なんでコロコロオンラインにコレが載ってて、ウチはやってないんだ!!!」
と愕然として、つぎの夏までトラウマになっていたと思う。外山さん、ムゥさん、本当にありがとうございました。
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おふたりの話があまりにも印象的だったので、いま俺は『呪巣』シリーズを1作目から再プレイしている。
『呪巣』の1~3までを遊んで、最新作の『呪巣 -学校の怪談-』のiOS版が配信されたら速攻でそれに取り憑こう……じゃなかった、取り付こう。
その後は、『SIREN』シリーズに。今年の夏は、ホラーゲームづくしだなあw
幽霊ビルの話
さてここから、オカルト好きの俺が実際に体験した“ゲームの現場”でのちょっとだけ怖い話を書きたい。というのも、読者層的にそういった心霊系の話が好きな世代(小中学生とか)も多くいると判断し、
「夏休みの思い出に、ひとつ小話を……」
という気になったのだ。まあここは、ゲームにちょっとでも絡んだ話だったら基本的に何を書いても許される“ゲームエッセイの場”なので、たまにはいいでしょう^^
それは……いまから7、8年も前のことだったか(いきなりスタート)。
ゲームに関する生放送や動画番組が広く認知されつつあった黎明期のこと。俺は一応、そこそこエラソーな立場でゲームエッセイを発信していたこともあってか、さまざまなメーカーの番組に呼ばれてはアレコレとしゃべったり、下手なゲームプレイを披露したりしていた。
そんな、夏のある日。
「深夜23時スタートの8時間番組に出演のオファーが来ているんですけど、どうですか?」
広告関連の部署の人間が、そんな話を持ってきた。聞けば、クライアントは個人的にも仲のいいメーカーさんで、ゲームの紹介うんぬんよりも、業界のおもしろおかしい話を酒を飲みながら語りませんか……という非常にユルい内容であった。もちろん俺に否はなく、「いいねいいね! 出る出る!!」とふたつ返事を返し、当日の21時ごろに都内某所のスタジオに入ったのであった。
そのスタジオは、都心の一等地に立つ地上10階建てくらいのビルに入っていて、地下の2フロアーが打ち合わせ用の会議室になっていた。そのうちの1部屋が俺を含めたゲスト数名の控室で、ビルに着くやスタッフにそこまで案内されたのである。
でも……。
真っ暗なビルに入った瞬間から、俺はちょっとイヤな感じを覚えた。うまく言葉にできないんだけど、物陰から誰かにじっとりと見られているような違和感……。
(なんか……気味の悪いビルだな……)
そう思いはしたもののさすがに口に出すわけにはいかず、俺は無言で地下2階まで案内されたのであった。
エレベーターを降りて薄暗い廊下に出ると、いきなり俺の目に妙なものが飛び込んできた。廊下の壁のあちこちに……明らかに場違いなお札がペタペタと貼り付けられているのである。と言っても、耳なし芳一ばりにベタベタとお札だらけになっているわけではなく、会議室1の入り口に1枚、突き当りの壁に3枚、自動販売機の脇に2枚……と言った具合に、規則性のない枚数で貼られていたのだ。
これは……さすがに気になった。俺はオカルト好きではあるけど、「この世でもっとも怖いものは?」と質問をされたら0コンマ1秒の逡巡もなく、
「オバケ!!!!」
と即答できるほどの怖がりなのだ。震え声で、俺は目の前を歩く女性スタッフさんに声を掛けようとした。彼女はふだんからこのビルのスタジオで働いている人なので、お札のことも知っていると思って。
「あ、あの……」
俺が口の端に言葉を乗せた瞬間、女性スタッフが振り返ってこんなことを言った。
「お札……ですよね。気づきますよね、ふつう」
やっぱり彼女も、俺が気にするであろうことを予見していたのだ。俺は頷きながら、「これだけあると、ねえ……」と言った。すると、女性スタッフは俺の顔をチラリと見たのちに会議室の扉を開け、「控室、こちらになります」と言いながらその部屋の天井付近に目をやった。釣られて見ると……なんとその会議室には、5枚もお札が貼られているではないか!
「あ、あれは!!?」
恐慌を来す俺に驚いたのか、女性スタッフがようやく説明してくれた。
「じつは……このビル、やたらと幽霊の目撃談が多いんです。とくに地下の2フロアーがヒドくて、“幽霊が出た!”と報告があった場所にお寺でいただいてきたお札を貼るようになりました」
なるほど……。このビルに入ったときに感じた違和感は、それに由来するのか。
そこで俺は、さらに気になってしまったことを女性スタッフに尋ねた。
「それはわかりました。しかし……他の場所に比べて、この控室はやたらとたくさんお札が貼られているような……。パッと見ただけで、5枚も……」
すると彼女は、その日初めての笑みを見せた。
「いえ、5枚じゃないです」
そう言うや、会議室に設えられていた大型テレビをギギギ……と動かす女性スタッフ。
「え……?」
といぶかしみながらテレビの裏を見ると、なんと……。
ベタベタベタベタベタベタベタベタ!!!!
「うわあああああ!!! おおお、お札!!! こ、これ、20枚くらいあるじゃん!!!!」
腰を抜かす俺に、女性スタッフは抑揚のない声で言った。
「この会議室での目撃談がいちばん多くて、社内の人間はまったく使わなくなってしまいました。でも、本日は長時間の放送で機材が多く、この部屋しか空いていないため、申し訳ないのですが大塚さんはこちらに……」
「いやぁぁああああ!!!>< わし、機材部屋でいいからそっちにしてぇぇぇええ!!!><」
というわけで、ほうほうの体でオバケ部屋を脱したのだが、その後も腹が立つほど気味の悪い現象が続出して……。
でも、このへんで誌面が尽きてしまったようだ。
続きは……また来年の夏にでも^^;
大塚 角満
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。
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