最古参の決断
家も施設も何もなかったこの島に、夢と希望だけを胸にいっしょに移住してきた“戦友”がいる。
ヒノコと。
アーサーだ。
その後、移住者が増えるとともに店や施設が大きくなり、どこに出しても恥ずかしくない立派な“有人島”に成長できたのは……初期の初期から島民代表の俺を支えてくれた、先の2名の“陰の応援”のおかげであることは否定できない。ルナステラ島のどんな場所にも、ヒノコとアーサーとの思い出がある。
そんな功労者のひとりであるアーサーから引っ越しの打診をされたとき、俺は……恥ずかしいほど狼狽した。前回の日記にも書いたけど。
【あつ森】『あつまれ どうぶつの森』プレイ日記 角満島開拓日誌 第89回 どうぶつたちの旅立ち(2) |
「……え!? ななな、何を言ってんだよアーサー!!! オマエ……ルナステラ島に骨を埋めるつもりじゃなかったのかよ!!!」
引っ越しフラグはランダムで発生するので、今回はたまたま、古参のアーサーに当たっただけ--。この島のことが嫌いになったり、ましてや俺のことをウザく感じて出ていく決意をした……というものではなかろう。いや知らんけど、そう思いたいではないか。
「断ろう。アーサーに出ていってもらうわけにはいかない」
打診を受けたとき、言下に俺はそう思った。
ほかのお気に入りのどうぶつ……たとえば子熊のメープルやハムスターのアップルが引っ越すことはあっても、最古参のヒノコとアーサーにだけは最後までそばにいてほしいと考えたのだ。
元気でなーーー!!(涙)
でも……そう思うのと同時に、
「この島以外の場所も見てみたいんだ! ナハッ」
と言って笑うアーサーの笑顔が頭から離れなくなった。
どうぶつたちは一度住みついたら、基本的に島民代表の俺の判断なくては外に出ていくことはできない。ここで俺が断ったら……外に出てみたいというアーサーの希望は封印されてしまうことになる。
知らず知らずのうちに、俺は『あつ森』を始めて以来取り溜めている数千枚のスクリーンショットを漁っていた。
『あつ森』の発売日である3月20日、いっしょに移住してきたアーサーに初めて話し掛けたときのひとコマ。いかつい顔だけど、このときから柔和に笑っていたんだよなw
島の名前が“ルナステラ島”に決まり、みんなで乾杯したあとのやり取り。すっかりアニキぶってて笑ったw
アーサーには、いろんなものをもらったなーw ……ま、その3倍くらいモノをあげてるんだけどw
いつも、「キンニクキンニクッ!」言っててウザかったっけww
住民の誕生日では、率先して盛り上げ役を買って出ていたw こういう格好、めっちゃ似あうww
古参の3人で、くだらない話をすることも多かったw 切っても切れない仲とはこのことw
そして、アーサーとの写真で、もっともお気に入りなのが↓これ。
『あつ森』のスクショは本気で数千枚に上るけど、その中でも屈指のベストショットだと思う。まだ家も施設も少なかった発展途上の島で、ふと並んでベンチに腰掛けて、何も話さずにずっと夕涼みをしていたんだよなぁ……。
涙で曇る目をこすりながらスクショを閉じた俺は、アーサーの打診に……こう答えた。
「がんばってね!!><」
引き留めたかったけど……「外の世界を見てみたい」という、アーサーの夢を後押ししてあげよう。寂しくなるのは間違いないが……これが、島民代表の辛ぇところよ!!!(涙)
その日の夕方--。
アーサーはひとり、島の広場で“お別れの歌”を歌っていた。
俺は彼が歌い終わるまでずっと、心からの拍手を贈り続けた。
……またな、アーサー!!!
いつかまた会える日を楽しみにしているぞ!! ナハッ!!!><
おしまい。
大塚角満の『あつ森』おもしろガイドも更新中
大塚角満(おおつか・かどまん)
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。 |
『あつまれ どうぶつの森』公式サイト:
https://www.nintendo.co.jp/switch/acbaa/index.html
※ゲーム画面はNintendo Swicthソフト『あつまれ どうぶつの森』のものです。
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