【大塚角満のゲームを語る】第7回 東京スカイツリーに、ミッドガルを見に行った!!


 

スカイツリー、魔晄の塔となる

本題に入る前に、ちょっと当コラムの立ち位置について書きたい。
 
この“大塚角満のゲームを語る”というコラムは、“ゲームにまつわるあんな話題やこんな話題について、ざっくばらんに個人的な意見を綴りたい”ってことで開設してもらったものだ。そういう意味では、俺が6年ほど続けていた週刊ファミ通の巻末コラム“大塚角満のゲームを読む”に近いものがあると思う。
 
「近い……っつーか、記事タイトルもほとんど同じじゃねーかwww」
 
と突っ込まれたら、「ハイ、そーですね」と首肯するしかないし、実際に俺も当時(ファミ通で書いていたときね)と同じ心模様で当コラムに向き合っているんだけど。要するに、場所が変わっただけでコラムのスタンスはまったく変わっていないつもりなのだよ。
 
で。
 
この“ゲームを語る”では過去、新作タイトルのレビューのような記事ばかりを書いてきたが、本人的には“レビュー専門コラム”と思われてしまうのは、はなはだ都合が悪い。なぜなら、仲のいいプロデューサーと飲んだときの酔眼トークとか、ほぼ趣味で出掛けたイベントの話だとか……“ゲームの周辺”の事象にこそスポットを当てて、皆さんに紹介したいと思っているから。レビューページと思われてしまうと、そういうことを書きにくくなっちゃうじゃないですか。
 
というわけで長くなったが、今後はレビューだけでなく、ノンセクションなゲームの話題をコラムにしていきますので、皆さんどうぞよろしくお願いいたします。
 

スカイツリー、魔晄の塔となる

そんな、ある日のこと。
 
俺の書くプレイ日記の常連キャラである同僚のスタッフ“たっちー”に、こんなことを言われた。
 
「おい……! 近く、東京スカイツリーに行くことに決めたぞ!!」
 
あまりに想定外のワードに驚いて、素っ頓狂な声で返してしまった。
 
「東京スカイツリー!? 東京に東京に住んでるのに、なんで“ザ・東京の観光名所”ってところに行くんだ??」
 
たっちーが鼻白んだ。「オメーは東京住みじゃなく、埼玉やんけ」。そして、芝居がかった声で続ける。
 
「行かねばならぬのだよ……我々、“アバランチ”はな!! 東京スカイツリーが神羅カンパニーに奪われてしまい、“魔晄(まこう)”に染まってしまったんや!!!><」
 
「たいへんやぁ……!>< たいへんやぁ……!>< 魔晄の塔やぁ……!><」とリフレインを発生させながら叫ぶたっちーの声をぼんやりと聞きながら、俺はすべてを察する。
 
「ナルホド。東京スカイツリーと……『ファイナルファンタジーVII REMAKE』がコラボしたってわけだな!!」
 
ハイ、その通りでした。
 

スカイツリーを救うのだ!

スクウェア・エニックスのプレイステーション4用ソフト『ファイナルファンタジーVII REMAKE』(4月10日発売予定)のリリースに絡め、東京スカイツリーで実施中のこのイベントは、その名も“SKYTREE in MIDGAR FINAL FANTASY VII REMAKE”という。設定は、
 
“東京スカイツリーが、神羅カンパニーに奪われた。彼らの目的は、綺麗な夜景を作り出すマテリア<そらのとう>。スカイツリーを取り戻しマテリアを解放しないと、夜景が消える--。さあ、反神羅組織“アバランチ”と合流し、スカイツリーを奪還しよう! 空の塔を救うのは、キミだ”(パンフレットより)
 
このようになっていて、『FF VII』の超マニアであるたっちーがまんまと目にし、
 
「そうか!!>< いますぐわしが!! スカイツリーを救うんや!!!><」
 
ってんで、冒頭のように俺をミッドガル(スカイツリー)に道連れにしようとしたというわけだ。
 
とは言え俺も『FF VII』は大好きな作品だし、この『REMAKE』の発売を心待ちにしていたひとり。となれば当然、
 
「おし!! 行こう!! 神羅カンパニーから、スカイツリーを救うんだ!!!」
 
ってことになって、勇躍乗り込むことにしたのである。
 

魔晄スカイツリーは、美しかった

 
そして2月某日。俺とたっちーのふたりの姿は、神羅カンパニーに奪われた東京スカイツリーの足元にあった。平日の夕暮れどきだったが、さすが東京随一の観光スポット。かなり多くの旅行客で賑わっている。果たしてこの中にどれだけ、じつはいま東京スカイツリーは神羅カンパニーに乗っ取られてしまっている……という事実を知る人がいるだろう。もしかすると……ワイワイキャアキャアと観光するだけで、危機的状況に気付かぬまま帰る人も多いのでは……!
 
「うーむ……。それはじつに由々しきことだぞ……!」
 
人混みを歩きながら、深刻な表情でつぶやく。
 
「何を眉間に皺を寄せてんねん。あー、早く魔晄のスカイツリーが見たいわあ!!><」
 
たっちーが顔を輝かせながら応じた。どうやらすでに、神羅カンパニーに取り込まれてしまったようだ。
 
今回のコラボイベントはじつに多彩なコンテンツが用意されていて、行かれた方はきっと驚くと思う。スカイツリーが魔晄カラーにライトアップされるのはもちろん、天望デッキの“SKYTREE ROUND THEATER”において、『FF VII』シリーズの魅力を楽しめるオリジナル映像作品“FINAL FANTASY VII PREMIUM ROUND THEATER”が上映されたり、回廊部の壁面に『FF VII』の歴史を振り返ることができる詳細な年表や資料が掲示されていたりする。
 
実際、俺も驚いた。「こんなにブ厚くコラボしているのか!!」と。その一部を写真に撮ってきたので、現地に行けないという方はぜひともじっくり見ていただきたい。
 
まずは……なんといっても、魔晄に染まったスカイツリーから! めちゃくちゃ幻想的で美しかったんだよコレが……!
 

 
じつはこのライトアップ、2月6日、2月8日~12日までの期間限定だったので、当コラムが公開されるころには終わっているかもしれない。
 
続いてはこちら。
 

 
オリジナル映像作品“FINAL FANTASY VII PREMIUM ROUND THEATER”は、こんな感じで超絶美しい夜景をバックに上映されている。まさしく、ミッドガルを眼下に見下ろしながら『FF VII REMAKE』の映像を観ている感じがして、ファンは全身に鳥肌が立つこと請け合い。いっしょにいたたっちーは映像を堪能したあと、
 
「正直……ちょっと泣きそうだった」
 
と語っていたので、多くの人に刺さるのではないだろうか。
 
また“空の塔解放作戦”と題し、スカイツリーの445階~450階は『FF VII』のさまざまなコンテンツで彩られている。
 

 
シリーズの歴史を振り返ることができる展示に……。
 

 
実物大のバスターソード!!
 

 
パネルや貴重な資料も公開されている。加えて、340階にある“HEAVEN CAFE”では、『FF VII』のキャラクターをモチーフにしたコラボメニューを楽しむことができるので、脳や目だけじゃなく、胃でも『FF VII』を感じたい人は足を運ぶといいかもしれない。
 
こんな感じで駆け足だったが、東京スカイツリーと『ファイナルファンタジーVII REMAKE』のコラボイベントを楽しんできた。じつは現地に行くまで、
 
「緑色にライトアップされたスカイツリーを見るだけだよな……。それだったら、事務所からも見えるんだよね……」
 
とそれほど乗り気じゃなかったんだけど……やっぱり、足を運んでよかったわ。開発陣の熱意と、会場にいた『FF VII』ファンが発していた「本当に待ってた!!」という熱気を肌で感じることができたので、俺もますますソフトの発売が楽しみになったから。
 
こういったイベント、今後も積極的に訪れて、当コラムで紹介していきたいと思う。
 
あー楽しかった^^
 
※ちなみに、コラボイベントは4月22日まで実施されております! 詳細は公式サイトで!
http://www.tokyo-skytree.jp/event/special/ff7r/
 

大塚角満(おおつか・かどまん)

1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。