By ドブフクロウ
みなさんこんにちは。MtGライターのドブフクロウです。
先週11月25日から今週にかけて、Magic Online上にて狂気の8連続パイオニアPTQが開催されました(スケジュールはこちら・リンク先は外部サイト)。こうしてイベントが連続していると自然とメタゲームの様相もラディカルに変動していきますね~。
また、こうした大会の結果を受けて新たな禁止カードも出ました。今週の犠牲者は《密輸人の回転翼機》と《むかしむかし》、《死者の原野》の3枚です。
【お知らせ】 2019年12月2日発表の、認定イベントの「パイオニア」フォーマットにおける禁止カードの追加、および判断と見解について、翻訳をお届けいたします。パイオニアに関する次回告知は12月9日午後(米国時間)です。 https://t.co/Is9gZDKypr #mtgjp
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) December 3, 2019
いずれもスタンダードで禁止になった、あるいは禁止されているカード。現行の環境でも猛威を奮っていたので、妥当といえば妥当なところでしょうか。徐々に環境が整備されつつありますね。年内は毎週禁止カードリストが更新される予定なので、今後の動向にも注目したいところです。パイオニアに関しては、まつがん先生による新連載も始まったので、そちらも御覧ください。
そしてスタンダードでは、今週末にミシックチャンピオンシップⅦが開催されます。
《王冠泥棒、オーコ》一強だった環境から抜け出し、通常であれば環境末期といえるこの12月の時点である意味新環境を迎えることとなりましたが、どのようなデッキが勝ち上がることになるのか楽しみですね。
さて、それでは今回もスタンダードのデッキリストを見ていきましょう!
Twitch Rivals
大手動画ストリーミングサービス「Twitch」が主催するTwitch Rivals(※リンク先は外部サイト)というトーナメントでは、MPLプレイヤーをはじめ有名動画配信社たちがリーグ戦を行っています。
ここで優秀な成績を納めていたデッキの一つ、「ジャンドサクリファイス」は、先週ご紹介した「ジェスカイファイアーズ」に並んで現在のスタンダード環境で最強のアーキタイプの一つと言われています。vol.37でもご紹介した「スゥルタイサクリファイス」の亜種ではありますが、フード系デッキの中核をなしていた《王冠泥棒、オーコ》がなくなった今、色もスゥルタイ(青緑黒)からジャンド(赤黒緑)の3色に変化し、環境に残存しているようです。
ジャンドサクリファイス(使用者:Matheus Yanagiura選手) | |
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枚数 | カード名(メインボード) |
4 | 《血の墓所》 |
1 | 《ロークスワイン城》 |
3 | 《寓話の小道》 |
5 | 《森》 |
1 | 《山》 |
4 | 《草むした墓》 |
4 | 《踏み鳴らされる地》 |
2 | 《沼》 |
4 | 《大釜の使い魔》 |
4 | 《金のガチョウ》 |
4 | 《楽園のドルイド》 |
4 | 《波乱の悪魔》 |
3 | 《残忍な騎士》 |
1 | 《意地悪な狼》 |
3 | 《虐殺少女》 |
2 | 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》 |
1 | 《戦慄衆の将軍、リリアナ》 |
2 | 《暗殺者の戦利品》 |
4 | 《魔女のかまど》 |
4 | 《パンくずの道標》 |
枚数 | カード名(サイドボード) |
3 | 《強迫》 |
4 | 《燃えがら蔦》 |
1 | 《害悪な掌握》 |
4 | 《恋煩いの野獣》 |
2 | 《探索する獣》 |
1 | 《人知を超えるもの、ウギン》 |
デッキの大筋はvol.37でもお伝えした通り、《大釜の使い魔》と《魔女のかまど》によるシナジーに《パンくずの道標》のアドバンテージエンジンが搭載されたデッキですが、ジャンドカラーになることで《波乱の悪魔》が採用されているのが最も大きな特徴です。
このクリーチャーの存在により、《大釜の使い魔》と《魔女のかまど》のシナジーがより強固になり、ボードアドバンテージやライフアドバンテージを得やすくなっています。
デッキの赤い要素はこの《波乱の悪魔》がほとんど全てですが、逆に言えばデッキの完成度が高く、サクリファイス・エンジンを活かす構築になっていれば、他にデッキを歪ませる必要がないのです。
このデッキは墓地利用系のデッキに大別されますが、現環境ではあまり強力な墓地対策カードがないため、無限に蘇る《魔女の使い魔》を止める手立てがありません。また、《魔女のかまど》と《魔女の使い魔》が揃ってしまえば地上のクロックはトランプルや回避能力がない限りはシャットアウトされてしまうため、アグレッシブな戦略も通用しにくいです。
マジックにおいては「どのデッキに勝てるデッキはどのデッキにも負ける」というのが定説でしたが、それも最近では揺らいできており、近代のスタンダードではこのような構造上弱点が少ないデッキが優位に立ちやすいです。
ともすれば、ジェスカイファイアーズのように軸をずらして戦うか、あるいは弱いと分かりつつもこのデッキの弱点を突くカードを多数採用したデッキを使用するしかありません。デッキ選択の時点で理不尽を押し付けることができるというのもこのデッキの強みでしょう。
果たして今週末のミシックチャンピオンシップでは、メタゲームの上位を独占する「ジェスカイファイアーズ」と「ジャンドサクリファイス」の牙城を崩すデッキが出てくるのか? 注目して見届けたいところです。
ライター:ドブフクロウ
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。
MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。
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