時間効率をどう極めていくかが重要なゲーム
――槇さんはナワバリバトルで勝つための肝はどの辺りにあると考えていますか?
槇:うーん、難しいですね。
――『スプラトゥーン2』の5つのルールの中でもナワバリは、かなり難しいルールかなとは思うのですが。
槇:難しいです。たぶん一番難しくて、一番楽しいルールがナワバリなんですね。他のガチルールってのは守るべきオブジェクトってのが明確なので、ステージで使わない部分、重要じゃない部分ってのがけっこうあるんですね。けど、ナワバリはステージのすべてが使われるルールであるので、結局は効率なんですね。
僕はスプラトゥーンの『1』の頃からこればかり言っているんですけど、『スプラトゥーン』は時間資源をいかに効率よくさばいていくかというゲームだと思っているので。
――3分間という試合時間をどれだけ有効に活用していけるか。
槇:これはブキ編成から関わってくるんですが、NPBでハイパービーム(横浜DeNAベイスターズ代表)が勝っていったのは、まずはブキ編成の2-1-1の前衛、中衛、後衛のバランスが非常にいいという点。編成のバランスがいいってことは、それだけ効率もいいってことですから。
あとは、ナワバリのルールが他のガチルールと違う点は、試合終了に近づけば近づくほどひとつのプレー、ひとつの塗り、敵を倒した、倒された。そういった動きひとつひとつの価値が上がっていくんですね。かといって、試合開始直後はおろそかにしていいというわけでもない。初動からしっかりとどのようなプランで戦っていくのか。これも結局は効率。自分たちの得意なところで攻めていくための効率的な動き。それに尽きるんじゃないかなと思います。
▲絶対王者GGBOYZを倒し、日本一の栄冠に輝いたハイパービーム(横浜DeNAベイスターズ代表)。パブロとスロッシャーの前衛2枚に、中衛のスピナー、後衛のチャージャーという非常にバランスの取れた編成で、安定感のある試合運びを見せた。
(NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2 本大会2日目5:52:20より引用)
――なるほど。
槇:ですから、たとえば初心者の方へのアドバイスというのであれば、思った通りに自分が動けるかどうかだと思うんですね。自分が思ったプレーがしっかりとできるかどうか。敵を倒すというのもあるんですけど、まずは自分の思った通りに塗れるか。自分の思った位置に行けるか。これが大切だと思うんですよ。
――それをしっかりできるようになることが大事。
槇:大事です。それさえしっかりしていれば、あとはいまは配信とかで上手い人のプレーが簡単に見られるようになっているので、そこで知識を身に着ければ、あとは自分の動きたいように動けるようになっているはずなので、それをコピーするだけですね。
▲(NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2 本大会2日目5:27:25より引用)
――「これからチームを組んでナワバリバトルに参加したい」という場合、ブキ編成や役割分担はどういったことを軸にして考えていくとよいのでしょうか?
槇:いろんな軸があると思いますが、自分たち4人のチームがあったときに、まずはお互いに「あなたはこういう特徴があるよね」という話し合いが大事かなと思います。自分の立ち回りとか長所、短所を理解するというのがまずひとつだと思うんですね。
それに合わせて自分たちが一番得意な分野、たとえば敵を倒すのが得意な4人であるならば、敵を倒すことによって試合を動かすような組み立て方、編成をしていく。そうではなくて、敵を倒すのはどちらかというと苦手なんだけど、ポジションどりがすごく得意だったり、わかりやすい例でいえばバッテラストリートの橋上だとか、チョウザメ造船の回転する床の上だとか、そういうポジション取りが得意。そこにいる敵をどかすのが得意だとか、そこに立つのが得意という人たちならばGGBOYZのように盤面をとっていくような編成にしたら有利を取りやすいだろうし。
あとは、敵を倒せないし、ポジションもよくわからない、敵の位置もよくわからないんだけど、とにかく塗り効率だけはめちゃめちゃ得意というチームは、ちょこまかと逃げ回りながらとにかく倒されないことを重視して塗りまくるようなチーム編成にするとか。とにかく自分たちが得意なものを軸にしていくのが一番だと思いますね。
――その辺りがチームとしてしっかりしているほど、勝率も安定しやすくなる。
槇:そうですね。前にチームのバランスが大事だと言いましたけど、バランスを取りながらもやはりチームの特色、強みってものを持った方がいいので。バランスを保った上で、コンセプトをその上に乗せていくという組み立てが一番いいと思います。
――最後に改めて今回のNPB主催の「eスポーツシリーズ スプラトゥーン2」大会を振り返っての感想をお願いします。
槇:数々の熱い試合、ドラマを拝見させてもらって非常に感動しております。また、解説という立場でこの大会に関われて、とても光栄です。本当にありがとうございました。
あとばる:『スプラトゥーン』はもう4年くらい続いているタイトルですけど、初めての試みにこのように選手という形で参加させてもらいまして、解説の槇さんとか、見てくれた視聴者の方に「すごく楽しかった」と言ってもらえたのはプレーヤーとして本望と言いますか、一番言われて嬉しい言葉です。この盛り上りが、第2回の「eスポーツシリーズ スプラトゥーン2」開催に繋がったらより一層嬉しいですし、見てくださった皆様と大会を運営してくださったNPBの関係者さんには本当に感謝しております。ありがとうございました!
▲(NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2 本大会2日目5:27:57より引用)
・『スプラトゥーン』は時間資源をいかに効率よくさばいていくかというゲーム
・ナワバリバトルは試合終了に近づくほど、ひとつのプレーの価値が大きくなる!
・自分たちの得意なものを軸にしてチームの編成を組み立てるべし!
次回は新たなプレーヤーが対談に登場! 誰が来てくれるのかお楽しみに!
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