今のコロコロ読者に向かって描く「アレスの天秤」
――おおば先生が「イナズマイレブン アレスの天秤」を新しい世代の読者に向けて描いていくにあたって、意識していることはありますか?
おおば:旧作キャラクターの描き方は苦労しましたね。アニメ「アレスの天秤」には過去のキャラクターもガッツリ出てくるので、10年前から「イナズマイレブン」のファンだっていう方々に向けた作品でもある。でも、僕は「イナズマイレブン」をまったくを知らない、今のコロコロ読者に向けて描かなきゃいけないんです。
――10年経って、コロコロの読者は入れ替わっていますからね。
おおば:はい。僕自身も当時からイナズマイレブンが好きだった一人なので…。僕がイナズマ好きの立場で旧キャラの姿を描くと、そのキャラを初めて見る読者の子には、どんなキャラなのか伝わらないと思うんです。それこそ円堂や豪炎寺、鬼道も全くの初見だっていう世代が相手なので「円堂ってスゴいやつだけど、当然知ってるよね?」っていう描き方ができないんです。自分の視点を一回忘れて、リセットするというのは、難しかったですね。今でも苦労してます。
やぶの:帝国戦とか、まさに今おっしゃってたことが現れてますね。
おおば:はい。ものすごく揺れたところです…! 帝国学園の複雑な事情やキャラの魅力はわかってるんだけど、帝国を完全なヒール(悪役)にしないと、物語が1話でまとまらない。コロコロで描く上でわかりやすい悪役像に徹してもらうことでなんとか収まった形です。
やぶの:僕も当時、コロコロの読者向けに、アニメよりも分かりやすい悪役像を描いてましたね。おおば先生のイナズマ愛が深いことは知っているので…。帝国戦は断腸の思いで割り切って描かれたんだろうなあと。
おおば:そう言って頂けると救われます…。帝国戦は、単行本で加筆するか悩んだけど、やっぱり描けなかったシーンがあって…。
やぶの:というと?
おおば:明日人が不動達に、「お前達がラフプレーをやってたのは、勝ちたい思いの表れだよな。サッカーが大好きじゃなきゃ、そんなに上手くなれないよな!」みたいなことを伝えるシーンでした。尺の都合と、これを入れるとヒール感が薄まっちゃうのもあって、入れられず…。
――強烈な敵だった帝国学園を、さらに灰崎が圧倒する…という、その後の展開にも繋がっていますからね。
おおば:ただ…これは個人的な考えかもしれませんが、サイン会や次世代WHFで、実際何百人ってコロコロ読者と接する時に「好きなキャラは?」って聞くとほとんどの子が「明日人」「灰崎」って言うんです。それは本当に嬉しくて。
おおば:シリーズの新作をやる以上、やっぱり新しいキャラに活躍してほしい。旧キャラ達が主役として活躍する作品は、すでにあるものを観ればいいわけですからね。永く愛されるコンテンツってシリーズ毎に「〇〇世代」ってファンがいて、ファンが循環することで新しい魅力や発見を経て、大きくなっていくと思うんです。僕は「イナズマイレブン」が好きだからこそ、この先を見据えた時に、新規のファンがついてくることが一番大切なんじゃないかなと思いながら、「初めまして」の子供達に全力で魅力を伝えていきます。
「イナペン」3巻は、鬼道の変化に注目!? 「アレスの天秤」3巻も星章祭り!!!!
――絶賛発売中の「イナペン」3巻ですが、やぶの先生が考える見どころを教えて下さい!
やぶの:実は3巻の裏テーマには鬼道の気持ちの変遷もあるんです。サッカー以外にクールだった鬼道が、星章という一つのチームのあり方を見る。それが最終話の帝国との距離感につながっていく…。そこも感じていただけたら嬉しいです。
↑「イナペン」最終話「故郷」の巻(3巻収録) このシーンから続く鬼道の表情を、ぜひ漫画本編でチェックしよう。
――灰崎と同じように、鬼道も星章から影響を受けていたんですね。
やぶの:はい。もちろん鬼道は円堂からの影響を受けているんですが。鬼道は水神矢を見て、そういうキャプテンのあり方もあるんだ、と感じたんじゃないかと。だから、ちょいちょい鬼道の表情を意識して読んでみてください。鬼道は無表情が多いですが(笑)。
――ちなみに、3巻の描き下ろしページは…?
やぶの:パッツンパッツンのページ数ですが、星章イレブンが全員登場するので、楽しみにしてください!
――「アレスの天秤」3巻も、3月末に発売されます。こちらの見どころも教えて下さい。
おおば:こちらも、3巻はずーっと星章が出てますね!(笑)
やぶの:いいですね、星章祭り!
おおば:僕、熱量を込めると線を描きすぎて画面が真っ黒になっちゃうんですが…。星章戦は、これでもか!これ以上熱くしたら担当さんに「画面黒すぎ!」って怒られる!(笑)ってくらい熱く描きましたので。明日人と灰崎の戦いが、どんな決着を迎えるか。ぜひ楽しんでください!
――ちなみに、TVアニメが放送中の「オリオンの刻印」では、日本代表に新たな選手が追加される展開もあると言われていますが…ぜひ「イナズマジャパンにこの人を!」と思っているキャラクターはいますか?
やぶの:僕は水神矢が来てほしいなと期待してます。星章学園を象徴するキャラなので。
おおば:僕はやっぱり雷門中から…小僧丸ですかね。あとは…まさかの球太とか!?(笑)
――最後に、読者に向けて一言お願いします!
やぶの:サンデーうぇぶりに「イナペン」の感想をお寄せいただけたら嬉しいです。イナペンを読んだことのない方は、サンデーうぇぶりでは無料分がチラっと読めますので! また、コロコロに戻って来るために連載を準備中なので、今後もよろしくお願いします!
おおば:漫画版「アレスの天秤」はフットボールフロンティア全国大会に突入して、戦術の皇帝・野坂も登場しました。そして、“あの人”もいよいよ出ます! 漫画オリジナルの着地点がどうなるか、見届けて頂けたら嬉しいです!
――本日はありがとうございました!
⇒ここで嬉しいニュース!!! 対談はまだ続く!? 入りきらなかったこぼれ話&秘蔵資料を、おまけ記事として2月23日(土)に公開予定! お楽しみに!!!
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おおばあつし 先生
岐阜県出身。12月19日生まれ。代表作は『妖怪ウォッチバスターズ』。『月刊コロコロコミック』で『イナズマイレブン アレスの天秤』を連載中で、コミックス1~2巻も絶賛発売中。3巻は2019年3月28日ごろ発売予定。
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やぶのてんや 先生
東京都出身。8月19日生まれ。『イナズマイレブン』で第34回講談社漫画賞児童部門、第57回小学館漫画賞児童部門を受賞。その他の代表作は『イナズマイレブンGO』、『ボッチ わいわい岬へ』。『イナズマイレブン〜ペンギンを継ぐ者〜』全3巻が完結。
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