取材・文=石川裕二
みんなーーー! RYTHEM(リズム)っていうシンガーソングライターユニットを知っているか!? 2003年、YUIさん(=写真左)、YUKAさん(=写真右)の2人が高校生の時にシングル「ハルモニア」でデビューして、いきなりのスマッシュヒットを記録! 我らが小学館の名作漫画『焼きたて!!ジャぱん』のテーマ曲「ホウキ雲」を知っている人も少なくないはず!! 惜しまれつつも11年に解散した2人。それぞれがソロ活動を続けていくなかで、21年に再始動を発表した! 美しい歌声のハーモニーの復活に、音楽ファンは歓喜しているんだ!! 来年は結成20周年! 今からでも遅くない! コロコロ読者のみんなも、RYTHEMのすばらしい音楽を知ってくれ!!
▲まずは、この曲を聴いてくれ! アニメ『焼きたて!!ジャぱん』のテーマ曲「ホウキ雲」のPVだ!!
「変わっていないね」と思わず抱きしめ合った
――コロナ禍で暗いニュースが続くなか、RYTHEMの再始動の知らせに音楽シーンが湧きました! まずは、再始動することになった経緯を教えてください!!
YUI:RYTHEMを解散してからの10年は、お互いソロ活動に力を注いでいました。音楽業界的にはCDがこれまでのように売れなくなってきて、音楽をつくるだけでなく、音楽の届け方についても模索する10年だったとも言えます。そんななか、ソロ活動10年という節目を迎えることで、自分の音楽の原点に立ち戻ったような思いがあり、YUKAと一緒に歌いたいと思えるような曲ができあがったんです。
――お2人は高校の部活の休み時間にRYTHEMを結成したんですよね! その時のような気持ちに戻ったと!!
YUI:ソロ活動をしている間も、YUKAはデビュー日の5月21日になると、必ず「RYTHEMがデビュー10何周年を迎えました」というツイートをしているのですが、それに対して、昔からのファンの方が「今も2人の曲を聴いているよ」というリプライをしてくださるのですが、それも後押しになった気持ちでいます。RYTHEMのテーマって、「楽しさを運ぶ幸せのリズム便」なんです。コロナ禍で音楽業界にも暗いニュースが続くなかで、この時代だからこそ、私たち2人でやることに意味があるのかもしれない、と思いました。そこで、YUKAに「もう一度、一緒に歌わない?」と言ったんです。
YUKA:前触れもなく、YUIから「お家行っていい?」と連絡が来て、何かあるぞと思いました(笑)。でも、私はまた2人でRYTHEMとして歌えることを待っていたので、「待ってたよ」と伝えて。
――か…かっこいい……! イケメンワード過ぎる!!
YUKA:YUIが言っていた、「一緒に歌いたいと思った曲」もその時に聴かせてもらって。いつか、また2人で歌えたらいいなと思いながらソロ活動を続けていたので、また、こうして道が交わったことにうれしい気持ちでいっぱいです。
――そんなお2人は、現在、YouTubeやTikTokを中心に歌声を披露していますが、活動の場にYouTubeを選んだ理由はどうしてなのでしょうか!?
YUI:私、普段からYouTubeをすごく見るんです。音楽を聴いたり、バラエティチャンネルを見ることが日常になっていて、テレビよりYouTubeを見ている時間のほうが長いくらいで。今、本当に2人で活動しているなかで、できることから始めようとなった時に、まず公式YouTubeチャンネルをつくりたいね、という話になったんです。生の歌声を届けるという部分で、私たちのことを身近に感じていただけるかな、と思いました。
――そういえば、YUIさんは、ソロのNeat’s(※ニーツ=苗字の新津に由来)時代から、「Neat’s TV」というチャンネルも持っていましたね。再始動後、初めて2人で音を合わせた瞬間って、どのような心境でしたか!?
YUKA:デビュー日の5月21日に、YouTubeの生配信でRYTHEMの再始動を発表して、そこで解散以来、初めて「ホウキ雲」を歌うことになり、そのリハーサルで10年ぶりに一緒に歌ったんです。2人の声の重なりや、声を重ねた時の超音波のような音の響きが変わらずに聞こえて、思わず抱きしめ合いました。「変わってないね」って。
YUI:「これだーーー!」みたいな感じだったよね。
YUKA:ソロ活動をする10年間のなかで、いろいろな人とハモって来ましたけど、YUIとのそれは、やっぱり何か別物というか。宝物を見つけた、みたいな気持ちになりました。
――お2人はよく、RYTHEMのハモりのことを「超音波」と表現していますが、それって、どんな感じなのでしょうか!?
YUI:レコーディングなどのマイクを通す時は聞こえなくなる時があるんですけど、空気が振動している感じです。2人で歌っているのに、何人もの声の重なりに聞こえるんです。
YUKA:YouTubeでは、それを届けたくて、マイクを通さずに生の声で録音しているんだよね。
――なるほどなぁ! なんとなく、わかるような気がします。ところで、お互いの10年間のソロ活動は、今のRYTHEMの活動に、どのように生きていますか?
YUKA:RYTHEMの時は、幸いにもプロフェッショナルなスタッフさんが周りにたくさんいて。でも、ソロになってからは異なる環境になり、セルフプロデュースを1から10までやっています。そこじゃないでしょうか。実は私たち、今、2人の名刺を持っていて、YUIの名刺には「妄想家」、私の名刺には「実現家」とそれぞれ肩書きをつけているんです(笑)。
YUI:「何をどういう風に表現しよう」というセルフプロデュースを、お互い10年間やってきたので、妄想を実現する力がついたと思うんです。それが今、うまく噛み合っているよね。
「ハルモニア」と「ホウキ雲」は100テイク録った
――21年の再始動以来、過去に発表した75曲をすべて、今の2人の歌声でハモり直して動画をアップしましたよね。新曲ではなく、まず過去の曲を歌おうとなったのは、どうしてなのでしょうか!?
YUI:空白の10年の間、私たちの曲をファンの方がそれぞれ育ててくれていた、という思いがあって。それを、今の自分たちの歌声で届けたいという気持ちがありました。もう一度、RYTHEMの世界に集合してほしい、というか。
YUKA:それを、小さなキーボード1本と2人の歌声だけでやり遂げました。アニメを見て私たちの曲を知ってくれた当時の子どもが、YouTubeでRYTHEMの後期の曲を大人になって聴いてくださったのですが、「今聴くと染みる」みたいなコメントをしてくださって。今、改めて過去の楽曲を歌うことの意味って、そういうところにもあるのかなと思うんです。大人になってから聴くことで、全然違う風に届くというか。
――おお〜! まず、このページを見て初めてRYTHEMを知った読者の方に見てもらいたい動画はありますか!?
YUI:「ハルモニア」と「ホウキ雲」は100本ノックだったよね(笑)。
▲デビュー曲の「ハルモニア」
――えぇ!? 一発録りを100テイクですか!? アーティストが納得するものづくりをするのって、大変なことなんだなぁ……。YUKAさんはどうでしょうか。
YUKA:ASMRマイクを用いたバイノーラル録音(※左右から異なる音が聞こえる)の動画でしょうか。「この曲って、どっちが主メロでどっちがコーラスを歌っているの?」という質問がよくあるのですが、それがわかりやすく表現できていると思います。ハモりの複雑さを逆手に取った、RYTHEMならではの遊び心ある動画になっています。
――カバー曲も歌っていますよね! セレクトする基準は何かありますか!?
YUI:リクエストを募っているので、コメントからピックアップさせてもらっているよね。私たちも、まだ、チャンネルの運用の仕方を模索している部分があるので、どんな年齢層の方が見ているのかなどを研究しつつ、昔からある名曲や最近話題の新曲をカバーさせていただいています。
YUKA:私たちにハモれないものはありません、と言っているので!
――おぉ〜、かっこいい……! そもそも、お2人にとって、ハモることの魅力はどういうところに感じているのでしょうか!?
YUKA:初めてハモったのは、中学生の時だよね。2人とも学級委員で、校内イベントの司会を2人でやったんです。それで、楽しんでくださいという意味を込めて、RYTHEMではおなじみのフレーズ「エンジョイ・ユア・タイム♪」をハモったのが初めてだと思います。そのイベントの時に、友人や先生など、いろいろな人から司会ぶりを褒めてもらって、2人で何かすることが、どんどん楽しくなっていったんだよね。カラオケなんて、毎日行っていましたもん。それが今も続いていることが、すごく幸せでうれしいです。全世界に私たちのハモりを聴いてほしいっ!
YUI:私たちにとっては、ハモることって日常的すぎて当たり前だったんだよね。再始動できたからこそ、実はそれって、とても貴重なことだったんだと思えましたし、私たちにしかできない魔法なんだと思えています。今、心から楽しんで活動しています。私たちのテーマは「楽しさを運ぶ幸せのリズム便」なので、日常の通勤やおやすみの前など、ちょっとした日常に私たちの歌が寄り添えていればいいな、と感じています。
YUKA:「寝る前に聴いています」ってコメントあるよね。すごくうれしい!
――お2人が楽しんで活動していることが、心の底から伝わってきます! ハモり便の歌を聴いていて思ったのですが、CD音源より、ハモりが増えていませんか?
YUI:増えました。ハモることの尊さに改めて気がついて、同時に自分たちの大きな武器であると再認識できたことによって、「よりハモりたい」という気持ちになって、増量しました!
YUKA:さっき、「ハルモニア」と「ホウキ雲」を100本ノックで歌ったとYUIが言っていましたけど、当時とは違うハモりの発見みたいなものがあって、「まだ行ける!」「もっとすごいものになる!」という気持ちで撮っていたら、100本ノックになっていたっていう(笑)。
YUI:毎回、ワクワクしながら動画を撮っているよね。でも、頑張りすぎて楽しさが伝わらないかも、みたいなテイクになることもあって、そういう時は、また違う感じで歌ってみたり。本当に小さな変化なんですけど、何テイクも撮っていると、魔法みたいな輝きを感じる時があるんだよね。
YouTubeは温かい場所でありたい
――来年はデビュー20周年でベストアルバムが発売し、有観客ライブも開催しますね。意気込みを教えてください。
YUI:再始動するにあたって、お世話になった方々にごあいさつをしに行ったところ、みなさん「応援するよ」とよろこんでくださって、心強い味方だと思っています。私たちが実現したいことに対して、当時からお世話になっているプロフェッショナルの方たちが力を貸してくださることにもなって。本当にありがたいです。
――今後、ハモり動画以外にもチャレンジしてみたいことはありますか!?
YUKA:今は20年の軌跡を辿る音楽チャンネルになっていますが、まだ言えないんですけど、いろいろやろうか、とはYUIと話しています!
YUI:YouTubeって自由な世界だからね。私たち、いつも2人でいると喋り続けているんですけど、そういう素の部分を届ける勇気がまだ出なくて……(笑)。
YUKA:隠している部分があるよね(笑)。やりたいことは、いっぱいあります。
YUI:うん、私たちの人となりが表せられればと思いつつ、勇気が出ません。でも、ハモリの伝道師として、そこに特化した遊びをするのも楽しいかなと思っています。
――ファンのみなさんも期待しているところだと思います(笑)。最後に、お2人にとって、YouTubeってどんな存在になっていますか?
YUKA:全然見えていなかった層のファンの方ともつながれる場所、だと思っています。英語のコメントがあったり、世界中で聴いてもらっているんだなと。あとは、ライブに行ったことはないけど、CDは買っていました、という方も。こんなにもRYTHEMの音楽が届いていたんだと実感できて、感謝の気持ちでいっぱいです。ある意味、救われた気持ちになったというか。YouTubeは自由にスピーディに思いついたことができる場所なので、これからも思いついたことをどんどんやっていきたいです。
YUI:私たちのホームだよね。RYTHEMはラジオで成長させてもらったユニットでもあるので、それに似た感覚というか。目の前にいるあなたへ届けたい、という気持ちで動画を撮っています。コメントという形でファンの方の声も直接届く場所なので、自分たちが家に戻るような感覚でこれからもハモり便を続けていきたいですし、ファンの方たちとコミュニケーションを取れる、温かい場所でありたいと思っています。
▲「A Flower」も超名曲なので聴いてくれよな!
■RYTHEMからのお知らせだ!!!
<お知らせ①ホールツアー決定!!>
RYTHEM x 新津由衣 x yucat
Triangle Tour 2022
「光と闇が生まれる場所」
12/18(日) 名古屋 今池ガスホール
12/24(土) 大阪 弥生の風ホール
12/25(日) 東京イイノホール
【チケットURL】https://www.yui-yuka2022.com/ticket/
<お知らせ②「RYTHEM デビュー20周年記念ベストアルバム」来春リリース決定!!>
<お知らせ③「RYTHEM デビュー20周年記念ライブ」開催決定!!>
日程: 2023年5月21日(日)
会場: Zepp DiverCity(TOKYO)
■各種リンク
YouTube
https://www.youtube.com/channel/UC9I_sHLBPHRK77f0Xir7V-g
Twitter
https://twitter.com/rythem_official
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