『ワニワニパニック』は何キログラムの力にまで耐えられるの? ワニを全部叩くと何が起きる? プロデューサーに聞いてみた!!

企画・文=石川裕二

1989年の誕生以来、子どもから大人まで幅広い年代に愛されてきた『ワニワニパニック』。そんな『ワニワニパニック』が2020年に『ワニワニパニックR』としてリリースされて、好評を博している! 大人が思いっきり叩いても大丈夫な『ワニワニパニックR』! 一体、何キログラムまでの力になら耐えられるの? そして、ワニを全部叩いたら、何かが起きる? プロデューサーの川合潤さんに聞いてみた!!

ハンマーが黄色い理由

▲ワニワニパニックR

――本日は、くだらない趣旨の企画にお付き合いいただき、ありがとうございます! まずは、『ワニワニパニックR』の開発経緯について伺いたいのですが……!

『ワニワニパニック3』のメンテナンス終了を迎え、筐体(きょうたい)をお店から撤去せざるを得ないとなった時に、ゲームセンターを運営する会社の方々から、復活のご要望をいただいたのが、開発のきっかけとなりました。

我々としても、ゲームセンターで誰もが気軽に遊べるようなゲームが少なくなってきている現状を変えたいという思いもあり、その声に応える形で開発がスタートしました。

――誰もが気軽に遊べるゲームが少なくなってきている、というのはどのようなことでしょうか?

現在は景品機やビデオゲームのような、比較的、年齢層が高く、繰り返し遊ぶことを求められるゲームが主流となっています。初めてプレイする方でも楽しめるゲーム機をもっと増やしていきたい、という思いがあります。

――なるほど! でも、誰もが知るゲームのリリースとなると、プレッシャーはありませんでしたか?

自分が生まれたのが、初代ワニワニパニックが誕生した頃とあり、誰もが知るゲームをリリースするのはプレッシャーもありました。ただ、初代ワニワニパニックを立ち上げた当時の方々が社内に多くいたので、いろいろ聞けるのが助かりました。

これはその時に聞いた豆知識なのですが、筐体に書かれているハンマーが赤いのに、実際のハンマーが黄色いのは、ハンマーの赤がワニに色移りして、痛々しくなるからだそうなんです。その辺のこだわりも聞いて、ハンマーの色や形状は初代『ワニワニパニック』を模しています。

▲初代ワニワニパニック

――へーー、それは知りませんでした!! 先代『ワニワニパニック』と『ワニワニパニックR』では、どのような点が変わりましたか?

大きく変わった点としては、得点板が電子モニターになったことです。入手が難しくなりつつある、昔ながらの部材を使わないことで、これから先、長きにわたって遊んでいただけるマシンを目指しています。

――『ワニワニパニックR』の反響はいかがでしたか?

実際にゲームセンターに足を運び、小さい子どもたちが遊んでいるのを見た時は感激しました。『ワニワニパニックR』では、ハンマーを2本にしているので、友人や親子と一緒に楽しそうにプレイしているのを見られて良かったです。Twitter上でも、『ワニワニパニックR』がトレンドに入ったり、もう一度『ワニワニパニック』に興味を持っていただけるきっかけになったのかなと。苦労してつくった甲斐(かい)がありました。

「R」に込めた思いとは……?

――ところで、『ワニワニパニックR』の「R」には、どのような意味が込められているのでしょうか?

「リターン」「リボーン」といった複数の意味が含まれています。稼働開始が、新年号に変わったばかりだったので、「令和」という意味も込めているんですよ。

――なるほど、そうだったんですね! 昔も今も、すごい力でワニを叩く大人がいますが、素材開発などの点で苦労した部分はございますか?

ワニの構造については30年以上にわたる、丈夫につくるノウハウがあったため、スムーズにつくることができました。素材というよりは、ワニの構造部分の工夫ですね。叩いた部分に負荷が掛からないようにしています。

――そのワニは、どのくらいの力まで耐えられるのでしょうか!? それが聞きたくて、本日お伺いしたんです!!

私も立ち会いさせていただいたのですが、某テレビ番組で格闘家の那須川天心さんが思いっきり叩いていましたが、問題なくプレイできていました。

――ええっ、あの那須川天心さんがですか!? それはすごい!! じゃあ、じゃあ、相撲取りが思いっきり叩いても大丈夫ですか?

恐らく大丈夫です。

――ええーーーーっ!! す、すげえ、すげえよ、『ワニワニパニック』……!

ちなみに、ワニを叩いた時の「いてっ」という声は、渡辺久美子さんという声優の方にご担当していただいています。

――あとは、ワニって全部叩けるような難易度設定になっているのでしょうか?

はい、可能です。両手や2人プレイだと、比較的簡単にできるのではないでしょうか。片手でも、大人が本気を出せば可能です。

――ワニを全部叩くと、何が起きるのでしょうか?

全部叩くことで何かが起きるということはないのですが、早く叩くことでワニが出る数が増え、ハイスコアを狙うことができます。片手ですと115点くらい、両手ですと140点ほどがプロ級の超高得点です。

――ああ、なるほど。プレイヤーのスキルによって、難易度が変わるんですね。それはすごい。知りませんでした!

そうなんです。ライトに楽しむこともできますし、極みを目指すこともできるんです。

川合さんが手掛ける『ドタバタスタジアム』の魅力

▲ドタバタスタジアム

――そんな川合さんが新しく手掛けたアーケード筐体が、4月から本格稼働するそうですね。詳細を教えていただけますか?

「ドタバタスタジアム」と言います。ワニワニパニックの話にも通じますが、ゲームセンターで誰もが気軽に楽しめるゲームを増やしたいという思いがありました。なかでも、体を動かすような遊びは近年少なくなっていたということもあり、子どもたちに人気のエアー遊具と体感ゲームを組み合わせた製品を開発することになったのです。

――それが「ドタバタスタジアム」なんですね!

はい。コロナ禍の密を避ける慣習が定着してきたこともあり、1人用で周りを気にせずに思いっきりドタバタできる、デジタルエアー遊具という新しいジャンルの製品となり、今の時代に求められる製品になったと自負しています。

――でも、どうしてエアー遊具だったのでしょうか?

子どもなら、誰しもソファーやベッドの上で飛び跳ねたりして注意された経験があると思います。それが、エアーで囲まれた貸し切り空間で周りを気にせずに、思いっきりドタバタできるのが、このゲームの最大の魅力だと思っています。ぜひ、大暴れして、ハイスコアと「ドタバタレジェンド」という称号を目指して、ゲームを楽しんでいただければと思います。

――『ワニワニパニックR』での経験が生きた部分はありますか?

5段階の評価制度もそうですが、親も一緒に参加できるところでしょうか。ゲーム自体は1人用なのですが、外から親が「次、赤だよ!」という風にセコンドのように参加することができるのです。

――そういう関係性が生まれるのは魅力ですね! アミューズメント施設でのゲームを通じて、子どもたちにどんな感情を持ってもらいたいですか?

ゲームセンターの体感ゲームでは、家庭用ゲームとは異なり、自分の体を使ったダイナミックな楽しさやおもしろさが体感できると考えています。日々の生活とは異なるゲームセンターという環境で、家族や友人と遊んだゲームが、子どもたちの楽しかった記憶として残り、より子どもたちの人生が豊かになれば、とてもうれしく思います。

――おお〜、いい話だなあ(涙)。そんな川合さんの、ゲームセンターの原体験って何かございますか?

小さい頃から親にゲームセンターに連れて行ってもらっていました。それこそ『ワニワニパニック』も遊びましたし、弊社の『ファイナルハロン』も遊んでいました。ゲームを通じて体を動かす遊びに魅力を感じていたのだと思います。

――川合さんのようなゲームクリエイターを目指す子どもも少なくありません。何かアドバイスはありますか?

どんなゲームをつくる時も、自分が遊んでいたゲームを思い出すものです。なので、おもしろい遊びやゲームをたくさん経験しておくのがいいでしょうね。一人で遊ぶのもいいですし、複数人で遊ぶのもいい。とにかく、思う存分、ゲームもホビーも遊んでいくのがいいのかなと思います。

■「コロコロおバカネタ捜索隊」のバックナンバーはコチラをクリック!!

©Bandai Namco Entertainment Inc.
©Bandai Namco Amusement Inc.