トッププレイヤー イカすガチ対談マッチ!!
【あとばる×ちょこぺろ 第1回】
Xパワーの歴代最高記録保持者で「ガチマッチの帝王」とも呼ばれる、ちょこぺろ選手が対談に初登場!
世界で最もガチマッチが上手いプレーヤーと言っても過言ではないちょこぺろ選手に、ガチマッチで勝つための考え方についてたっぷりと聞いていくぞ!
あとばる
驚異的なエイム力を持つカリスマプレーヤー。「第2回スプラトゥーン甲子園」では、不利な状況から相手を次々と倒す神がかり的なプレーを連発し、優勝に大きく貢献。H3リールガンの名手としても知られ、彼の影響でH3リールガンを使い始めたプレーヤーも多いとか。おもな実績は「第2回スプラトゥーン甲子園」優勝、「第4回スプラトゥ-ン甲子園オンライン代表決定トーナメント」優勝など。チーム・よしもとゲーミング カラマリ所属。
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OPENREC.tv:https://www.openrec.tv/user/atobaru_ikaちょこぺろ
エリア・ヤグラ・ホコ・アサリの4ルールすべてでXパワーの歴代最高記録(2021年11月時点)を持ち、「ガチマッチの帝王」との異名をとるカリスマプレーヤー。数多くのトッププレーヤーがいる中で、Xパワーの歴代最高記録を4ルール独占しているのは驚異的というほかなく、その実力はまさに異次元レベル。また、ブキもボトルガイザーフォイルや.52ガロンベッチュー、N-ZAP85、チャージャーと幅広く使いこなすなど万能。2021年の11月には自身の持つ歴代最高記録を更新するXパワー3113.8をマークするなど、その実力はいまなお進化中。まさに『スプラトゥーン2』史上最高のプレーヤーといえる存在だ。
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世界ナンバーワンプレーヤーが語る”ガチマッチがうまくなるための考え方”
――ふたりはもちろんお互いに知っていると思うんですが、これまで個人的に話したりしたことはあります?
あとばる:こうやってじっくり腰を据えてなにか話すみたいなのはないですね。
ちょこぺろ:そういえば、同じチームでやったこともないですよね。
あとばる:そうだね。ガチマッチで当たって味方になったとかはあるかもしれないけど、チームを組んで練習してみたいな感じで出たことはないね。
――がっつり話すのは今回がほぼ初めてなんですね。さっそくですけど、ちょこぺろ選手は全ルールで歴代最高のXパワー記録を持っていますが、うまくなるきっかけのようなものはあったんですか?
ちょこぺろ:きっかけというか、ひたすらガチマッチをやり続けてきたことが大きかったのかなとは思います。みんなけっこう他のゲームもやってたりすると思うんですけど、僕の場合はここ数年で時間をガッツリかけたゲームって『スプラトゥーン』しかなくて、みんなが別のゲームをしている時間を全部『スプラトゥーン』につぎ込んだみたいな。
ただ、やり続けるといっても毎日何時間もやるとかじゃなくて、1日1試合でもいいからコツコツと継続して続けていた感じで、その積み重ねが上達につながったのかなとは思いますね。
――やり続けることが大事なんですね。
ちょこぺろ:そうですね。やっぱり、やり続ければうまくなるし、実力も出せるようになっていきますね。
――それでどんどんうまくなっていったのがすごいですね。ある意味、本気でやり始めたというか、ウデマエをあげようと意識してプレーしていったところもあったんですか?
ちょこぺろ:そうですね。最初は『スプラトゥーン』が好きで、普通に楽しむ感じでやっていたんですけど、Xが実装されたあと1度ランキングに載ったんですよ。それで「これはもっと上に行けるかも」と思って、そこからけっこう意識してプレーするようにはなりました。
――ちょこぺろ選手のYouTubeチャンネルの中に「上達するにはまず土台の立ち回りを考えて、それを軸に小さなことを積み重ねるのが大事」という話をされている動画がありますけど、これに関して具体的にはどのような考え方をしていけばいいのでしょうか?
ちょこぺろ:まず土台については、『スプラトゥーン』のルールってみんな知ってはいても本当の意味で理解していないことが多いと思うんですよ。たとえばガチヤグラは、ヤグラを進めている判定のチーム全員がスペシャルゲージが自然に増加していくので、別に前に出られなくてもヤグラさえ進んでいればずっと自分たちが有利な状況になる。
あと、ヤグラってゆっくり進むじゃないですか。ゆっくり進むし、ゆっくり戻るから、たとえば中央で戦って相手を全員キルしましたというときに、もちろん前に上がる動きがいいんですけど、さっき言ったようにヤグラは攻めが続いていれば自分たちに有利な状況になるので、そこまで無理する必要はないんですね。無理に前に出て、仮にそこでもう1回キルが入ったとしても、ヤグラ自体はゆっくり動いているのでそれほどカウントは進んでいなくて、リスクのわりにリターンが少ないんです。
なので、ヤグラの場合はある程度ゆっくり攻めて、絶対に行けるときだけ押すみたいな立ち回りが土台になってくるわけです。もちろん、これはこれはあくまで土台(基礎)なので、例外も多くあるということは忘れないで欲しいです。
――なるほど。
ちょこぺろ:それにプラスしてブキの特徴を考えた動きが大事で、たとえばN-ZAP85なら塗りは強いけど、火力が低くてジャンプ撃ちも弱いので、入り組んだ地形だとノヴァブラスターとかスプラシューターといった前線ブキに対して不利になるわけです。
そこがわかっていれば、立ち位置もある程度は固まってきますよね。その上でN-ZAP85はサブがキューバンボム、スペシャルがインクアーマーだから、ガツガツは前には出なくてサポート寄りに動くんだけど、機動力があるので状況によっては裏取りといった思い切った動きもできる。
ただ、ヤグラはホコとかに比べてゲームスピードが遅くて、自分たちの攻めが続けばいいので、そこまで無理する必要はないみたいな。こういう感じで、僕の中ではルールとブキが合わさったものを大きく「土台の立ち回り」と言っています。
――その土台から「小さなことを積み重ねる」というのは具体的にはどんなことになるんですか?
ちょこぺろ:たとえば自分がN-ZAP85で、相手がホットブラスターを持っていたとして、ある程度障害物があったときに挑むか挑まないかみたいなことですね。こういう場所ではホットブラスターに勝てないとか、逆にこういう場面だったら勝てるとか。
さらに細かいことで言うと、N-ZAP85は塗りが強いから塗りを固めることが大事なんですけど、どこから塗るかとか、どこら辺をどれだけ塗るかとか。あるいは塗らないで敵を倒しにいった方がいいとか、土台の立ち回りがあった上で、そういう小さなことをきちんと積み重ねていくことが大事になります。
――まず土台があって、その上でそういう細かい判断の積み重ねが大事になると。
ちょこぺろ:そうですね。ただ、なにか失敗してそれがダメなことだと気づいたあと、似たような場面になったときって「気をつけよう」となると思うんですけど、気をつけながらやってできる段階はまだ完成じゃないんですよ。なにも考えなくてもそれができるという状態になって始めて完成なんです。
――意識してやっているうちはまだまだなんですね。
ちょこぺろ:はい。実際、小さな判断のミスとか反省点って、やっていけばいくほど見つかるじゃないですか。それを毎場面で全部「気をつけよう」となっていたらキリがなくて、無意識でもできるところまで体と脳に馴染ませた状態にしないと、本当の意味で実力がついたことにならないんですよ。
別のことにたとえると、数学の勉強をしたとして、いざテストを受けた際に、問題を見た瞬間になにをすればいいのかがパッとわかって、そのまま無意識ですらすら解けるみたいな。そういう状態ですね。
ちょこぺろ:これは土台も同じで、土台はあくまでブキを持ち替えたりとか、なんで負けているんだろうとなったときに、ちょっと思い直すくらいで、基本的に試合中はそういうことは考えずに、自然と土台に沿った動きができるようにする。
結局、ガチマッチの勝率って土台と小さな立ち回りをどれくらい知っていて、さらにそれを理解して、どれくらいの頻度で出せるかというところと、エイムとキャラコンの練度がポイントで、このふたつはお互いを補完し合うような関係なんですね。たとえば、確実にやられるという場面で、あと数秒早く引いていたら間に合っていたなとなったら、それって立ち回りをミスっているわけじゃないですか。
つまり、引く判断が遅かった。でも、そうなったときでもエイムとキャラコンがあればワンチャンそのミスをカバーできたりとか、逆にエイムが調子悪いときでも立ち位置がしっかりしていれば自分がキルをしなくても、ある程度はチームに貢献できて勝率も安定してくるんです。
――単純に「ヤグラを進めれば勝つ」ということだけじゃなく、もっと細かい部分も理解して立ち回りを組み立てることが大事なんですね。
ちょこぺろ:そうですね。極端な話、どれだけエイムがよくて、こういう相手のブキは勝てるとか、そういう小さいことがわかっていたとしても、土台の部分でひとつなにかわかっていなかったら勝率ってけっこう落ちちゃうので。
――ちょこぺろ選手自身はXパワーでランキングを目指そうとなったときに、この辺りを意識して考え始めた感じなんですか?
ちょこぺろ:考え始めたのは去年くらいで、土台という存在を知ってから「ガチマッチをやり続けてたらXパワーが200も下がった」みたいなことがなくなったんですよ。エイムとキャラコンが調子悪かったりとか、いい立ち回りができなくても、土台の立ち回りさえできていればある程度の勝率は稼げるということに気づいて。
それ以前は、とりあえず試合でダメなところを見つけたら「次は直そう」という感じでやっていて、そのときは別にルールをそこまで言語化できるような理解はしていなくて、なんとなく感覚で理解している感じだったんですけど、ある程度口で説明できるようになってからはいろんなことを考えやすくなったし、勝率もぐんと上がったというのがあります。
――あとばる選手はここまでのお話を聞いていかがですか?
あとばる:まったくもってその通りという内容なんですけど、ちょこぺろくんに限らず、上位プレーヤーってたぶんこれを自然とやっていて、『スプラトゥーン』ってゲームスピードが速くて考えている暇がないゲームなので、結局「上手くなるためにはどうしたらいいですか」と言われたら、「とりあえずやって覚えてください」としか言えないんですよ。
なぜかというと、「ここミスっちゃったな」となったときに、次の試合で塗り状況とかスペシャルとかも含めて、まったく同じになることってまずないんですね。さっきの数学のたとえで言うと、とりあえず公式を覚えておいて、ずっとその類題をやっているみたいなことなので、結論から言えば「問題を解きまくったやつが一番強い」となる。
だから、ちょこぺろくんが最初に「できる限り空いている時間でプレーした」というのを聞いて、「だからこれだけ上手いんだろうな」というのを思ったんですけど。
あとばる:あと、来年は『3』も出るというので、初心者向きの動画を撮ろうと思ったんですけど、けっこうテクニック面とかじゃなくて、知識面でいろんなことを知らない人がすごく多いんだなと思って。
アサリが自然に湧く条件とか、ダメージを食らっているとマップに映るとか、そういう意識して見ていないとわからないし、気づいたあとで自分で調べないとわからないことを知らないプレーヤーってめちゃめちゃいて、その辺で差ができているんだろうなってのは思いましたね。
こういうことって、みんな当然だと思って言わないんですよ。上手い人たちのコーチングだとか解説動画とかってその辺が前提として説明しないことが多くて。それを今度まとめて動画にしようと思っているんですけど、それがたぶん土台とかって話につながってくるのかなとは思いましたね。
――ちゃんとゲームの仕様を確認して、その上でどう動くと有利なのかをわかった上でやるのとやらないのでは全然違うという。
あとばる:そうですね。ヤグラの話でも攻め側がスペシャルが溜まるって矛盾している気がするじゃないですか。でもやっぱりゲームサイドとしては防衛側が強いという認識なんですね。
だからこそ、「強い場所をどう突破するの?」という話になってくると、やっぱりスペシャルみたいな効果的なものを使って突破しなけりゃいけなくて、だからこそ溜まりやすいことになっているよ、と。
そんな感じで、ロジカルに組み立てられると自ずと攻め方がわかってくるというか、ゲームへの理解も深まってより自分の中に落とし込めていけるのかなというイメージですね。
――なるほど。そこまでしっかり知識を入れた上で、あのエイムとキャラコンがあってちょこぺろ選手ができている。
あとばる:そうですね。立ち回りも偉いし、「なんでそこキル取れるの?」みたいなエイムもある。さっきのエイムと立ち回りの話もそうですけど、難しいんですよね。変な話、無理やりでも倒しちゃえば正当化できちゃうので。
だから、「立ち回りなんか知らねえ。エイムだけでゴリ押すぜ」というのも半分あっていると言えばあっているんですけど、結局エイムで倒せるが故の立ち回りであったりとか、この立ち回りがあるからエイムも要らずに倒せるというようないろんな要素が絡んでいて、どっちも疎かにしてはいけないというのはありますね。
・ルールとブキの性能に応じた土台の立ち回りを考えることが、安定して勝つための第一歩!
・「気を付けたからできた」ではなく、無意識でもできるようになって一人前!
・1日1試合でもいいので、継続してやり続けることが大事!
次回も引き続きふたりの対談をお届け。ちょこぺろ選手にさらにいろいろと聞いていくぞ。次回もお楽しみに!