【劇場版ポケットモンスター ココ】音楽プロデュースを務める岡崎体育さんインタビュー!! 「掟の歌」は○○モチーフ!? 楽曲制作の裏側を聞いた!


ポケモン映画最新作『劇場版ポケットモンスター ココ』絶賛上映中!
 
コロコロオンラインでは、映画の公開を記念してスタッフ・キャストインタビューを実施!!
 
本記事では、音楽プロデュースを務める岡崎体育さんへのインタビューをお届け! 岡崎さんが手掛ける楽曲の制作に関する経緯など、見逃せないお話が盛りだくさんの内容となっているぞ!

プロフィール概要

岡崎体育
 
京都府出身。2016年、アルバム『BASIN TECHNO』でメジャーデビュー。現在、音楽業界の第一線で活躍中のアーティスト。
「劇場版ポケットモンスター ココ」では、自身初となる音楽プロデュースを担当している。

 

コロコロコミックの
特別企画に登場して――

――本日はよろしくお願いいたします!
 
先日、「岡崎体育探検隊」と称した企画を『月刊コロコロコミック』に3号連続(10~12月号)で連載させていただきました。本当にありがとうございました。

岡崎体育さん(以下、岡崎):こちらこそありがとうございました。
 
――「岡崎体育探検隊」の記事を読んでみて、いかがでしたか?
 
岡崎:子どもの頃にコロコロを読んでいて、ああいう記事を楽しみにしていたので、今回自分が載っていて「うわぁ俺、大人になったなー!」と感慨深くなりました。同時に、子どもの気持ちも蘇ってきて、当時と同じようにワクワクしました。
 
ザルードをみんなで捕まえに行く」なんてワクワクしますよね。探検隊の部下のふたり※とはとても良い探検ができました!
 
※「岡崎体育探検隊」では、コロコロ編集部員が隊員として同行したぞ!
 
――お世話になりました(笑)。本当にありがとうございました!

岡崎体育探検隊
コロコロオンラインVer. も要チェック!


 

岡崎「父親って
こういうことなんだ」

――では、本題に入りたいと思います。まずは、テーマソング「ふしぎなふしぎな生きもの」についてお伺いします。この曲は“父親”目線で歌われている楽曲ですが、前回のインタビューでは岡崎さんは父親の心情を理解するために、実際にご友人たちにお話を聞いたと伺いました。 

そこで、ご友人に聞いた際の具体的なエピソードを教えていただきたいです。
 
岡崎:知り合いのミュージシャンからは、「今までは自分主体で考えていたけど、子どもが生まれてからは自分の中で人生の主人公が変わった」という話を聞きました。
 
自分のことよりも、自分の子どもが幸せになってくれるように仕事を頑張ったりとか、一緒にいられる時間をできるだけ長く取ったりだとか、子どもが生まれてからはそういう気持ちに変化したそうです。それがサビ前の歌詞「キミのために生きるようになった」というフレーズにつながってきます。
 
――なるほど。
 
岡崎:それから、映画では使われていない2番の歌詞に、「キミが描いてくれた変な絵。ふしぎなふしぎな宝物」というものがあります。これは、仲良くさせていただいているミュージシャンのひとり、w-inds.の橘慶太さんとのやり取りでインスパイアされたものです。
 
直接インタビューをしたわけではないのですが、彼の音楽制作スタジオにお邪魔したときに、カッコよくてスタイリッシュな機材が並ぶ中、壁にお子さんが描いた絵が貼りついているのが目に留まって。そのスタジオはかなりオシャレで、こだわり抜いて作られている空間だったのですが、「パパ」という文字が入ったお子さんの絵を飾っているのを見たときに、言葉以上に子どもへの愛を理解できました。「父親っていうのはこういうことなのか」と。
 

――私にも子どもがいるのですが、父親になってから感じていたことを歌詞で代弁してくれた気がしていました。特に、「キミのために生きるようになった」というフレーズは非常に刺さりました。
 
岡崎:僕がしつこく「子どもが生まれたときどうだった?」と質問した友人たちも、答えるうえで改めて考えてみたのだと思います。普段だったら照れくさいようなことですが、“子ども”というものに関して、自分で言語化してくれました。
 
――質問は実際に会って聞いたのでしょうか。
 
岡崎:実際に会って聞いた人もいれば、メールの文面でやりとりをした人もいました。メールの文面でやり取りした人に関しては、かなり考える時間を取ってくれて、本当に詳しく回答してくれましたね。おかげで、僕がこの曲づくりをするにあたってすごく重要なものになりました。
 
考えてくれた本人にとっても、“父と子“という関係を考え直す機会になって、それが親子としてプラスに作用してくれたとしたら、質問した身としては幸せです。
 
――たしかに、良いきっかけになりそうですね。今回、楽曲の“父と子”というテーマに沿ってインタビューを行ったと思いますが、普段の楽曲制作においてもそういったことはされるのでしょうか。
 
岡崎:あまりないですね。自分の楽曲のときは自分で考えて、良いと思ったものを形にしていく作業です。今回に関しては映画の中で使用される曲で、今まで自分がつくってきた曲とは、曲づくりの段階からベクトルも、スタイルも全然違ったので、最初は戸惑いもありました。それならテーマに沿った人たちに聞くのが一番良いのではないか、と思った次第です。
 
――この経験は、今後の活動に良い影響があると思いますか。
 
岡崎:それは多大にあると思います。今までもコミックソングをつくることは多かったのですが、こうしたファミリーソングのように、子どもが聴いても、親が聴いても「あったかいな」と思ってもらえる作品づくりが今後もできるのであれば、自分の活動の幅も広がると思います。僕はデビューしてから何かと尖っていた部分が多かったんですけど、率直な歌詞を書くということに関して照れが少なくなっていって、今後はよりいろいろな曲を書いていけるようになる、その第一歩になったと思います。
 
――今後はよりいっそう表現の幅が広がりそうですね!
 
また、同じく前回のインタビューでは、「ふしぎなふしぎな生きもの」は制作初期からトータス松本
(ウルフルズ)さんの声をイメージしてつくられた曲だということもお伺いしました。今回、試写会で実際に聴いて、岡崎さんの「この曲はトータス松本さんの声しか考えられない」という言葉はその通りだったと思います!

 

▲トータス松本さんが歌う「ふしぎなふしぎな生きもの」
 
そこで、映画の完成後にトータス松本さんとは何かお話はされましたか?
 
岡崎:トータス松本さんのラジオで、この曲の初オンエアがあって、そのときにいろいろと今回の楽曲についての思い出を語ってくださっていました。そのラジオの中で、「岡崎くんの言う通りに、満足のいくものを俺も歌いたかった」というようなことをおっしゃってくださっていて。トータス松本さんと比べたら歳も下、キャリアも全然下の僕が音楽プロデュースをして、ディレクションしていることに関して、すごくリスペクトのある仕事をしてくださったんです。ご本人的には「いや、ここはこう歌いたい」という思いがもしかしたらあったのかもしれないですけど、僕のやりたいことを最優先して歌ってくださったので「カッコええなぁ」と感激しました。
 
――それは本当にカッコいいですね……!
 
岡崎:僕が、「もう少し気持ちを抑えた歌い方、淡々とした歌い方で」といったディレクションを恐れ多くもさせていただいたのですが、「オーケー、やってみるわ」という感じでスッとやってくださるし、反対に「今のテイクよかったですね」と言うと「いや、もう一度やらせて!」と、に楽曲に対して熱い気持ちを込めてくださりました。楽曲をより良いものにしようとする思いが伝わってきました。
 
――話を聞けば聞くほど、トータス松本さんの“良い父ちゃん”感が出てきますね。
 
岡崎:そうですね!
 
――素晴らしい関係性でお仕事ができたと。ラジオではほかに何と?
 
岡崎:やっていて楽しかった」とおっしゃっていたのが一番うれしかったですね。もちろんラジオはリアルタイムでお聴きしましたよ!
 
――なるほど。ありがとうございます。
 

楽曲制作の裏側!
「掟の歌」はハカ!?

――ほかの楽曲についても、いくつかピックアップして聞かせていただきたいです!
 
まずは、「掟の歌」に関してです。この曲ができた経緯を教えてください。

 
岡崎:最初の打ち合わせで、「ザルードたちの住んでいるジャングルで歌われる掟の歌をつくってほしい」という発注がありました。歌詞に関しては監督にアイデアがあって、まず監督から歌詞をいただいてから、歌のリズムと打楽器を付けて曲にしました。
 
ザルードたちが自分たちを鼓舞するものということで、僕が意識したのはラグビーニュージーランド代表・オールブラックスハカですね。これはニュージーランドにいる部族のマオリ族が狩りをするときの歌です。メロディがなく、リズムだけ。「自分のボディアンサンブルと声だけで自分を鼓舞する」ところに力強さを感じたので、監督の歌詞をハカに落とし込んでみました。
 

▲力強いリズムと振り付けの「掟の歌」
 
――ハカがモチーフだったのですね! 昨年、ラグビーと共に流行ったのをよく覚えています。
 
岡崎:「掟の歌」にぴったりですよね。実際にマオリ族が歌っているハカも自分たちの掟を歌っていますし、今回のザルードたちのテーマにぴったりだと思います。
 
――次は、「Show Window」について聞かせていただきたいです。岡崎さんが制作された6曲のうち、ご自身で歌われているのがこちらの曲ですよね。この曲に関しては、自分で歌唱することが最初から決まっていたのでしょうか。もしくは、音楽プロデュースを務める立場としてご自身を起用した理由があるのでしょうか。
 
岡崎:実は打ち合わせの段階で、プロデューサーからは「岡崎体育にも一曲歌ってほしい」と言われていまして。正直、「俺でいいのかな?」という気持ちもありました。ただそのプレッシャーの中で、自分が歌うのに適していると思ったのが「Show Window」という曲でした。
 

▲岡崎さんが歌う「Show Window」
 
ココが初めて人間の街に出るシーンで流れる曲で、おもちゃ箱をひっくり返したような明るさで、テンポが良くてノリノリの曲という、僕向きの曲だと思います。この曲に関しては作詞・作曲・編曲・歌唱まで自分ひとりで完結しています。
 
――そういう背景があったのですね。まさに適役だと思います!
 

では、EDテーマである「ただいまとおかえり」に関して伺いたいのですが、こちらの楽曲を木村カエラさんに依頼した理由をお聞きしたいです。また、こちらの曲は女性が歌う、母性を感じるような曲になっていると思います。メインテーマとあわせて聴いたときに一段とグッとくるものがあるのですが、やはり狙いがあったのでしょうか。
 
岡崎:そうですね。メインテーマである「ふしぎなふしぎな生きもの」がかかることで、観てくれた人の気持ちを暖かくできたのであれば、EDテーマでも畳み掛けたいという気持ちがありました。父親目線の「ふしぎなふしぎな生きもの」に対して、母の愛を感じられる楽曲をつくろうと思ったときに、イメージに合致したのが木村カエラさんでした。
 
――なるほど!
 
岡崎:僕の中で木村カエラさんには、言うなれば“ママ”でもあり、“お母さん”でもあり、“母ちゃん”でもあり、“オカア”でもあり……といろいろな“マザー”としての側面を持っている方だというイメージがありました。かっこいいところもあれば、子どもに対してすごくひょうきんなところもあって、子どもと同じ目線で歩んでいけそうな人だなという僕の勝手な印象です。
 
――実際にオファーをしてみて、いかがでしたか。
 
岡崎:レコーディングを終えて、「間違っていなかったな」と実感しましたね。いろいろな母としての側面を、歌声や表現力で表してくださったので、むちゃくちゃ良い仕上がりになりました。
 
――たしかに最高でした!
 

岡崎「ポケモン映画の
名に恥じない楽曲を!」

――今回、音楽プロデュースを務めるにあたって、原作方面でポケモンの音楽に携わっている方々とはミーティングする機会はあったのでしょうか?
 
岡崎:原作・ゲームフリークの方々とは制作段階ではお話する機会はありませんでしたが、試写のあとに株式会社ポケモンの社長から、音楽に関して「すごくよかった」と言っていただけたのがすごくうれしかったですね。
 
――なるほど。音楽制作の際には、過去の劇場版の音楽をチェックされたのでしょうか。
 
岡崎:今回の制作にあたって、そこまで意識的にチェックをした記憶はないですね。ただ、小林幸子さんの「風といっしょに※」などの印象的な楽曲が、子どもの頃に観ていたときから頭の中に残っていたので、その流れや伝統は崩さずに引き継ぎたいなという気持ちはありました。
 
※ポケモン映画第一作「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」(1998年公開)のエンディングテーマ。
 
――名曲ですよね!
 
岡崎:はい。音楽のこととか、制作の裏側のことを考えずに、ただポケモン映画を観に行っていた年頃だったのですが、映画が終わって最後にその曲が流れているときに、すごくふしぎな気持ちになった覚えがあります。小林幸子さんの歌声もそうですけど、メロディもすごく幻想的で、それを聴いたときに「ああ、ポケモン映画を観たな」という気持ちにさせてくれる。その当時にそこまで考えていたかはわからないですけど、楽曲を聴くことでその作品を思い出すことはあると思います。「風といっしょに」を聴いたときに、「ミュウツーの逆襲」のシーンを思い出しますからね。
 
――すごくわかります。
 

岡崎:楽曲というのは、思い出とか記憶に関してすごく重要だと感じているので、今回の自分の作品が、観た人にとって印象的なものになればいいなと。だから今回の音楽プロデュースはプレッシャーもあったのですが、なにより自分がポケモン映画に携われたことの喜びの方が大きかったので、良いバトンをつなげればいいなという一心で取り組みました。「自分も次の映画につなげたい」という気持ちがありますし、今回の映画が過去史上最高傑作と言われたらそれはうれしいですし、いろいろな思いがあります。
 
とにかく、「ポケモン映画の名に恥じない楽曲をつくろう」という気持ちを強くもちました!
 
――今回の楽曲、本当に最高でした!! ありがとうございました!
 


 
テーマソング「ふしぎなふしぎな生きもの」を聴いて号泣した記者も納得! こだわり抜かれた岡崎体育さんの楽曲は、映画と共に思い出に残ること間違いナシだ!!
 
ポケモン映画最新作「劇場版ポケットモンスター ココ」は絶賛上映中! ココとザルード、ちょっと変わった親子の物語をぜひ劇場で!!
 
※映画館に足を運ぶ際は、新型コロナウイルスをはじめとする感染症の予防と拡散防止のため、マスクを着用し、アルコール消毒を忘れないようにしよう!!

作品概要
劇場版ポケットモンスター ココ
■公式サイトはこちら

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