ドブフクロウのMtGブレイキングアカデミー vol.64 ~《夢の巣のルールス》の新たな巣、モダン~

By ドブフクロウ
みなさんこんにちは。MtGライターのドブフクロウです。
 
最近、マジック界では大きなニュースが続いていますね。まずは新セット『ダブルマスターズ』の発表!
 

▲《倍増の季節》

「レアが2倍にフォイルも2倍、強さも2倍!」と銘打たれた最新の”マスターズ”セットです。「ダブル/Double」の名が表すとおり(?)看板レアはみんな大好き《倍増の季節》のようです。カードプレビュー開始は7月中旬ごろが予定されているそうで、今から収録カードが楽しみですね。

また、本日禁止制限告知に関する新たなアナウンスがありました。先週お伝えした内容では、レガシーとヴィンテージで新たな禁止カードが発表されましたが、今回の範囲はスタンダードヒストリック(MTGアリーナ専用フォーマット/2020年5月27日時点)だそうです。

また、ツイートにもある通り「相棒」メカニズムにも何らかのテコ入れがあるようです。「相棒」はマジックの根幹を揺るがすメカニズムであり、スタンダードのみならず各フォーマットで暴れているため、ユーザーからの反応も賛否両論でした。統率者戦っぽいメカニズムでデッキを考えるのも楽しいし、個人的には嫌いじゃなかったんですが……どのような対応が行われるのか気になるところですね。
 
さて、今回はこれらの禁止制限改定告知の影響をほとんど受けていないほぼ唯一の競技フォーマットであるモダンフォーマットのデッキを見ていきます。
 

MODERN CHALLENGE on May 24, 2020

さて、こちらは今週開催されたModern Challengeです。パソコンでプレイするオンライン対戦アプリ、Magic Online上のイベントで、本連載でも何度か取り上げてきた恒例のトーナメントですね。一時期はスタンダード以上に勢いがあったかもしれない(?)モダン人気は現在でも健在で、毎週多くのプレイヤーがこのイベントを楽しんでいます。
 
また、上述の通りモダンでも「相棒」は活躍中です。《空を放浪するもの、ヨーリオン》や《夢の巣のルールス》などの構築制限がゆるい奴らは特に人気で、「相棒」デッキを見かけない日はないと言えるほど環境に定着しています。
 
今回はそんな中でも特にレガシーやヴィンテージでも禁止カードに指定された1枚、《ルールス》を使用したデッキを見ていきます。
 

ラクドス果敢(使用者:Patxi選手)
枚数 カード名(メインボード)
4 《黒割れの崖》
2 《血の墓所》
4 《血染めのぬかるみ》
2 《冠雪の山》
1 《冠雪の沼》
3 《灼陽大峡谷》
3 《樹木茂る山麓》
4 《ケラル砦の修道院長》
2 《窯の悪鬼》
4 《僧院の速槍》
4 《損魂魔道士》
2 《コジレックの審問》
2 《思考囲い》
4 《塵へのしがみつき》
2 《致命的な一押し》
1 《コラガンの命令》
2 《溶岩の投げ矢》
4 《稲妻》
4 《魔力変》
4 《ミシュラのガラクタ》
2 《炎の印章》
枚数 カード名(サイドボード)
1 《夢の巣のルールス》
2 《致命的な一押し》
1 《コラガンの命令》
2 《思考囲い》
3 《集団的蛮行》
1 《仕組まれた爆薬》
2 《虚無の呪文爆弾》
2 《粉々》
1 《発掘》

 
こちらはラクドス(赤黒)カラーで組まれたアグロデッキです。デッキ名の通りに果敢という能力を利用したデッキで、《僧院の速槍》や《窯の悪鬼》をはじめとした果敢ないしそれに類する持ちのウィニークリーチャーでダメージを稼ぎ、火力で焼き切るという由緒正しきバーン系のデッキと言えます。

▲《僧院の速槍》
▲《窯の悪鬼》

こうしたアグロデッキの弱点として、除去で盤面を捌かれてしまったあと、体勢を立て直すのが困難というものがあります。通常アグロデッキに採用されるカードは1~3マナのカードが主で、カードアドバンテージを獲得できる手段も限られるため手札消費も激しく、手札を全て使い切る前に勝負を決めなくてはなりません。これはいわばアーキタイプそのものが抱える弱点と言えるでしょう。
 
しかし、そんな弱点を補ってくれるのが《夢の巣のルールス》です。除去された後のクリーチャーを再利用することで継戦能力を高めることができ、自身も3マナと軽いためプレイしやすく、いざというときは3マナ3/2の戦力として対戦相手を攻める助けとなります。これにより、爆発力と粘り強さの両方を獲得することに成功しています。

▲《夢の巣のルールス》

レガシーやヴィンテージでも禁止されたその強さは、モダンでも健在といったところでしょうか。もちろん、大抵の場合は《ルールス》に頼らずとも勝てるデッキになっていますが、こうして負け筋を補強する”保険”として採用できることも「相棒」というメカニズム自体の強みです。
 
また、デッキに入っているカードは土地こそ少々入手困難なカードが含まれていますが、その他のカードはモダン環境の中では比較的手に入りやすく、初心者でも少し頑張れば組めそうなデッキです。「気になっていたけどなかなかモダンを始められずにいた」という方は、新型コロナウイルスが収束したときに向けて、このデッキを組んでみるのもいいかもしれませんね。
 

 

ライター:ドブフクロウ
 
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。
MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。

 

次回更新は6/3(水)更新!!

 

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