子どもの良心を信じた「ビックリマン憲章」
——福島さんが編集長の頃は、ビックリマンブームもありましたね。
「ビックリマン」ね。会議の時に、編集部員が新聞の切り抜きを見せて「ビックリマンというのがあります!」と言うんだ。だから、会議を抜けて買いに行ってもらってね。実物を見てみると、シールのキャラクターがかわいい。そして、チョコがおいしいんだよ(笑)。
——当時、どのシールが出たかは覚えていますか?
うーん、さすがにそこまでは覚えていないけど、ヘッド(=キラキラしたシール!)が出たのは記憶に残っている。ヘッドのキャラはかっこいいんだ。だから、ヘッドが出ると、大人ながらに「おぉ」と思ったよ。
「ビックリマン」を誌面で紹介すると、瞬く間に人気が出てね。「じゃあ、漫画をやろう」と始めたら、それも大人気。表紙のセンターを飾りましたから。ただ、「ビックリマン」の歴史を振り返ると必ずと言っていいほど語られることだけど、子どもたちがシールだけを取って、チョコを捨ててしまうと言う出来事があったんだ。
「これは良くないぞ」と思って、「ビックリマン憲章」というものをつくった。「私はチョコをおいしく食べながらシールを集めることを誓います」など、いくつか誓いを立ててね。これが功を奏したのかはわからないけど、子どもたちがチョコを捨てることはなくなったと聞いているよ。
——ブーム当時、小学生だった福島さんの息子さんは、コロコロで紹介される1年ほど前から「ビックリマン」を買っていたそうですね。
そうなんだよ! 知っていたなら教えてくれよと思ったけれど、「チョコを買っているのがバレたら怒られると思った」なんて言うんだ(笑)。チョコのおいしさもさることながら、テキストに散りばめられた世界観、デフォルメされたキャラクターが子どもの心をつかまえたんだな。
少し脱線するけど、二頭身のキャラクターといえば『Dr.スランプ アラレちゃん』(作:鳥山明/集英社)に、ニコチャン大王っているでしょう。あれは一頭身なのかな。おれ、あのキャラクターが気に入ってるんだよね。鳥山明、これは傑作だなと思った。ニコチャン大王が出てくる回は、どれもおもしろいしね。今読んでもおもしろいよ。
——鳥山明さんの話題が出たので、当時の『週刊少年ジャンプ』へのライバル意識について教えていただけますか?
ジャンプは読んでいたし、そういう意味ではボンボン(=コミックボンボン/講談社から発行されていた児童漫画雑誌)も読んでいた。でも、他誌は関係ないと思っていたよ。よそはよそ、うちはうち。
ボンボンは「機動戦士ガンダム」を独占していたけど、それを言うなら、コロコロには「ウルトラマン」と「ドラえもん」があったから。……ボンボンにも頑張ってほしかったな。80-90年代当時は、ボンボンがあるからコロコロもある、みたいなところがあったからね。