【#コロコロ500号】42年の歴史を詰め込んだ『コロコロ500号記念大年表』公開 第3弾!!(1987年〜1991年)

1989年 第129号~第140号

■トピック:爆進!カーホビー・ヒーロー
「コロコロ」のカーホビー・ヒーローといえば、“前ちゃん”ことタミヤ社員(当時)の前田靖幸さん。テレビ番組「RCカーグランプリ」のパーソナリティとして活躍し、「ラジコンボーイ」、「ダッシュ!四駆郎」にも登場する「コロコロ」読者にはおなじみのヒーローだ。この年の2月号でも読切「前ちゃんの熱中RCスクール」(おちよしひこ)が掲載されている。
 
そして、第1次ミニ四駆ブーム期には欠かせないヒーローがもうひとり。それは白地のツナギを着用し、「MINI 4WD FIGHTER」と書かれたヘアバンドでキメた、ミニ四ファイター! マンガでは、おちよしひこ先生のミニ四駆作品(「別コロ」などに掲載)でおなじみだったが、本誌4月号より連載開始された「GO!GO!ミニ四ファイター」で本格キャラブレイク。なんと人気声優・横山智佐さんとコラボレーションしてレコードも発売している(1989年3月「DASH!!」)。高橋名人や前ちゃんとは異なり、実名が明かされないキャラクターヒーローというのも新鮮だった。
 
前ちゃんとミニ四ファイターは、“団もの”マンガ「爆走!ダッシュクラブ」(樫本学ヴ)にも登場。第1次ミニ四駆ブームは、この2大ヒーローの並走があっての盛り上がりだった。

▲1989年7月号 表紙
▲1989年4月号 おちよしひこ先生の「GO!GO!ミニ四ファイター」

■主な人気漫画
4月号~ 「GO!GO!ミニ四ファイター」おちよしひこ、「爆走!ダッシュクラブ」樫本学ヴ、「サイキッド謎丸」河合一慶
4月号~ 「ビリ犬なんでも商会」藤子不二雄A
10月号~ 「大長編ドラえもん のび太のアニマル惑星」藤子・F・不二雄
11月号~ 「炎の闘球児 ドッジ弾平」こしたてつひろ、「魔神英雄伝ワタル 魔界突入!雷王丸物語」青木たかお、サンライズ
 
元号は平成となってもミニ四駆人気は変わらず。4月号には「コロコロミニ四駆 ダッシュクラブ特別会員証」が付録され、「ダッシュ!四駆郎」に加えて「GO!GO!ミニ四ファイター」、「爆走!ダッシュクラブ」という新たなミニ四駆マンガも連載開始。ファミコンブーム期同様、“ホビーバトルもの”、“ホビーヒーロー主人公もの”、“団もの”という1つのホビーに3パターンのマンガを揃える盤石態勢が敷かれ、ミニ四駆ブームは完全に「コロコロ」独走状態となった。
 
……と、王道ホビー路線を進めつつ、挑戦心・冒険心を失わないのが「コロコロ」。それを表す作品が「炎の闘球児 ドッジ弾平」だ。マンガの題材として扱われることが極めて珍しいドッジボールという競技をドガッツなスポーツバトルマンガとして描破した「弾平」は、全国ではドッジボールブームを巻き起こし、1991年にはアニメ化されている。
 
異色作とえいば「サイキッド謎丸」。テーマは超能力や超常現象で、当時“超魔術”で人気を博していたMr.マリックもレギュラーキャラとして登場。本作に先駆け、2月号ではマリックを主人公とした読切「Mr.マリック 超魔術」(ヒガヒロシ)も掲載されているが、現在のHIKAKINのように子供人気の高いタレントをすかさずマンガキャラ化するアンテナの高さは、さすが「コロコロ」!!
 
■主なホビー:ドッジボール
ファミコン、おまけシール、ミニ四駆……と、アイテム系ホビーが主流となっていた「コロコロ」(および児童マンガ誌シーン)において久々に登場したスポーツホビーは、なんとドッジボール! 全国小学校でおなじみの“遊び”が熱血スポーツマンガになるとは誰もが想像しなかった。しかし、そこが小学生の日常風景を大事にする「コロコロ」ならでは。ドッジボール(通常は「避球」)を「闘球」という威勢のいいネーミングに変えたうえ、選手はプロテクター着用、「アックスショット」といったカッコいいネーミングの魔球もありあり……という熱い世界観に多くの小学生読者が引き込まれ、全国の校庭は“闘球バトル場”に変わったのだった。
 
この、球技における格闘技性を極限まで引き上げ、ダイナミックに描くという手法は、後の超絶サッカーバトルマンガ「イナズマイレブン」(やぶのてんや)にも引き継がれている。

▲1989年 こしたてつひろ先生の「炎の闘球児 ドッジ弾平」

■1989年の世の中
昭和天皇が崩御。新元号「平成」に
“マンガの神様”手塚治虫死去。「ネオ・ファウスト」、「ルードウィヒ・B」、「グリンゴ」が遺作となる
『平成名物TV 三宅裕司のいかすバンド天国』(通称・イカ天)放送開始。バンドブームが起こる
任天堂より携帯ゲーム機「ゲームボーイ」発売
千代の富士が当時史上最多の通算965勝を達成し、国民栄誉賞受賞
ドイツでベルリンの壁が崩壊
 
■コロコロトリビア:手塚治虫先生への追悼メッセージ
この年の2月9日、”マンガの神様”と謳われた巨匠・手塚治虫先生が逝去。
「コロコロ」での連載作はなかったものの、「藤子不二雄物語 ハムサラダくん」(吉田忠)でハム・サラダの2人(=モデルは藤子不二雄)が憧れるマンガ家として絶大な存在感をもって描かれていることから“藤子先生の師匠”として記憶された「コロコロ」読者は多いだろう。
 
この特集ではF先生が手塚作品の魅力を「心良いリズミカルのテンポ。新鮮な画風。そして、何よりもぼくらをひきつけたのは映画や小説に負けないスケールの大きなドラマ」にあったと振り返り、A先生が「漫画に情熱と意欲を燃やし続けられた手塚先生は、漫画に新しい世界をつくりあげられました」と、師の功績を称えるかたちで追悼の意を表している。
手塚先生から藤子両先生に継がれたマンガへの情熱は、今の「コロコロ」作家にも引き継がれています!!

▲1989年4月号 手塚治虫先生への追悼メッセージ