By まつがん
さて、前回は皆さんにカードの能力を予想してもらったわけだが、まずは正解を発表することとしよう。
それが、こちらのカードだ!
場に残るジェニーだと……?
《特攻人形ジェニー》と違って任意ハンデスとはいえ、画期的なスペックの持ち主であることは間違いない。
さて、6月に発売予定のアビス・レボリューション第2弾「忍邪乱武」に収録される新カード、《麗迭人形ジェニー》。このカードを使ってどのようなデッキを組むべきか。
それを考えるにあたっては、「バトルゾーンにクリーチャーが残る」ということをどのように活用できるかについて検討する必要がある。
まず考えられるのは「アタッカーとして活用する」ことだろう。クリーチャーの価値はまずもって「相手のシールドをブレイクできる」という部分にあるので、盤面に残るクリーチャーなら攻撃に向かわせない手はないからだ。
ただ《麗迭人形ジェニー》の場合、シールドブレイクとはすなわち相手に手札を与えてしまうことと同義なので、せっかくの手札破壊が無意味になってしまう。
ならばどうするか?
《奇術王エンドレス・パペット》の進化元にすればいいのでは???🤔🤔🤔
《奇術王エンドレス・パペット》は手札破壊がすべて《ブレイン・タッチ》になるという強力な効果を持っているが、2ターン目に出せてバトルゾーンに残りながら手札破壊できる進化元デスパペットが、これまでは《ジェニーの黒像》とかろうじて《夜更人形ジェニコ》しかいなかったのが悩みの種だった。
だがそこに《麗迭人形ジェニー》が登場したことで、《奇術王エンドレス・パペット》を引いた場合に2ターン目から手札を攻めつつ3ターン目に進化させられる再現性が大幅に向上したのだ。
また、「バトルゾーンにクリーチャーが残る」ことの利点は「打点」「進化元」だけではない。《人形の裏技ペット・パペット》の「G・ゼロ条件」を満たすのにも、《麗迭人形ジェニー》が最適なことは言うまでもない。
ただ《奇術王エンドレス・パペット》はデッキに4枚しか積めないところ、《蒼狼の大王 イザナギテラス》はハンデスで不足しがちな防御役になりつつ《奇術王エンドレス・パペット》を探せる上に状況に応じて《ブレイン・タッチ》も唱えられるので、フィニッシャーへの中継ぎとしてとても優秀だ。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『テストデッキ1』
4 | 《麗迭人形ジェニー》 | 4 | 《虹彩奪取 マイレイン》 | 4 | 《奇術王エンドレス・パペット》 | 4 | 《蒼狼の大王 イザナギテラス》 | 4 | 《龍装艦 チェンジザ/六奇怪の四 ~土を割る逆瀧~》 | 4 | 《CRYMAX ジャオウガ》 | 4 | 《人形の裏技ペット・パペット》 | 4 | 《ブレイン・タッチ》 | 4 | 《九番目の旧王》 | 4 | 《ジェニーの黒像》 |
マナカーブがガバガバすぎでは???🤔🤔🤔
デッキを作る際には、「マナチャージだけしてターン終了」というターンを1ターン目以外で極力作らないよう、2ターン目のアクション→3ターン目のアクション→4ターン目のアクションという理想ムーブとそれを補う代替ムーブを想定してスロットを埋めるものだ。そしてその場合、引いている総枚数が少ないために要求値が最も高い2ターン目のアクションは厚くとり、それ以降は徐々に薄くしていくという「マナカーブ」を描くのが通例となる。
だが上記のデッキの場合、5マナ域が《九番目の旧王》で能動的なアクションとしては弱い上に、《龍装艦 チェンジザ/六奇怪の四 ~土を割る逆瀧~》もただハンデスするだけで6マナ域としての機能を十分果たすとは言えず、結果として《CRYMAX ジャオウガ》につなげるまでの5マナと6マナにぽっかりと大穴が空いた状態になってしまっているのだ。
マナカーブが歪なデッキとはすなわち穴が開いた服を着てCS会場に行くのと同義であることからすると、このデッキは穴がガバガバに開きすぎていてもはや全裸と言っても過言ではない。全裸でCSに出てしまうと普通に通報案件なので、なんとかして穴を塞がなくてはならない。
そこで私は考えた。
そう、穴は塞ぐものではなくジャンプして回避すればいいのだ。
《悪魔妖精ベラドンナ》はマナ加速で《CRYMAX ジャオウガ》までのマナカーブの穴を埋めてくれるし、《奇術王エンドレス・パペット》がいる場合など状況に応じて手札破壊を選択することもできる器用なカードだ。
また、《幻緑の双月/母なる星域》はクリーチャー側と呪文側のどちらでも《CRYMAX ジャオウガ》の着地が1ターン早まるし、《奇術王エンドレス・パペット》を引けない場合にバトルゾーンに所在なさげにポツンと残った《麗迭人形ジェニー》を有効活用する手段として、《母なる星域》は申し分ない。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『テストデッキ2』
4 | 《麗迭人形ジェニー》 | 4 | 《悪魔妖精ベラドンナ》 | 4 | 《若き大長老 アプル》 | 4 | 《幻緑の双月/母なる星域》 | 4 | 《奇術王エンドレス・パペット》 | 4 | 《レアカードハンター ウサギ団/ラビットハンド》 | 4 | 《悪灯 トーチ=トートロット》 | 4 | 《CRYMAX ジャオウガ》 | 4 | 《人形の裏技ペット・パペット》 | 4 | 《ジェニーの黒像》 |
もう《天災 デドダム》入れた方が早くね???🤔🤔🤔
マナカーブの穴があるデッキというのは大抵、無理矢理《天災 デドダム》を入れることで解決するものなのである。
そして《天災 デドダム》を入れてしまった場合、自然単と水単のカードも入れたくなってくるので、必然的に闇単のカードが多すぎてバランスが悪くなり、やがては《奇術王エンドレス・パペット》が抜けていってしまうことは想像に難くない。
というか、そもそも《CRYMAX ジャオウガ》で勝つなら《奇術王エンドレス・パペット》は要らないというのが身も蓋もない結論なのであった。
逆に言えば、《奇術王エンドレス・パペット》を使うならそのデッキのフィニッシャーは《CRYMAX ジャオウガ》であってはならないということだ。
冷静に考えてみると、手札破壊というのは《CRYMAX ジャオウガ》のようなパワー頼みのコンセプトではなく、「対戦相手もこの泥沼に引きずり込んでやろう」というもっとジリジリとした怨念と妄執の化身のようなデッキだ。
ゆえに《奇術王エンドレス・パペット》を使ったデッキのフィニッシャーというのは、フィニッシャー然とした派手なカードは似つかわしくない。
むしろ毎ターン相手を真綿のように締めつけるような、陰キャの塊のようなカードが相応しいのではないか。
つまり、そう。
《霊刑連結 ジゴク・パルテノン》を使えばいいのでは???🤔🤔🤔
これなら5マナと《CRYMAX ジャオウガ》と比べて2マナも軽いので、マナカーブに穴を作らずに運用することができる。
また、シールドブレイク→ターンエンドに《霊刑連結 ジゴク・パルテノン》で手札破壊という流れで相手の手札がなくても手札破壊が可能となるので、相手の手札がなくて《奇術王エンドレス・パペット》がすぐバニラになって困るようなことも起こらないはずだ。
手札破壊デッキの弱点としては《Disジルコン》や《絶望と反魂と滅殺の決断》が天敵なのと、スピードアタッカーをトップデッキされ続けると普通に貫通しかねないという点が挙げられるが、《凶鬼98号 ガシャゴン/堕呪 ブラッドゥ》は呪文側が手札を減らさない墓地対策になる上に、クリーチャー側もサイズの大きいブロッカー・スレイヤーなので、相手のトップデッキの受けをかなり狭めてくれる。
また、シールドに埋まっているかわからないS・トリガーを半端に採用するよりは、「S・バック」で手札に来さえすれば大体打てる上に手打ちも容易な《秩序の意志》を入れることで、逆転しやすいというだけでなく相手の手札を枯らしてゲームの主導権を握った場合にも速やかに詰めにいけそうだ。
というわけで、できあがったのがこちらの「パペット・ハンデス」だ!
『パペット・ハンデス』
4 | 《麗迭人形ジェニー》 | 4 | 《奇術王エンドレス・パペット》 | 4 | 《凶鬼98号 ガシャゴン/堕呪 ブラッドゥ》 | 4 | 《蒼狼の大王 イザナギテラス》 | 2 | 《ゲオルグ・バーボシュタイン/ゴースト・タッチ》 | 1 | 《アクアン》 | 4 | 《霊刑連結 ジゴク・パルテノン》 | 4 | 《人形の裏技ペット・パペット》 | 1 | 《ブレイン・タッチ》 | 4 | 《秩序の意志》 | 4 | 《B.F.F. モーメント》 | 4 | 《ジェニーの黒像》 |
このデッキが実際にどんな動きをするのか気になる方は、以下の動画で確かめてみて欲しい。
さて、いかがだっただろうか。
《麗迭人形ジェニー》が収録されているアビス・レボリューション第2弾「忍邪乱武」は、6月に発売予定だ。
また、コロコロコミック6月号ではデュエル・マスターズの原作コミックが読めるほか、デュエマに関する激アツな最新情報も色々と掲載されているので、ぜひとも手に取ってみていただきたい。
ではまた次回!
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。