By まつがん
ジョー編のラストを締めくくる「マスター・ファイナル・メモリアル・パック」。その中には、極めて興奮度の高いカードが存在していた。
《クイーン・オブ・ネイチャー》。このカードはまるで自分のパワー12000以上のクリーチャーすべてが《竜星バルガライザー》になるような、そんなダイナミックな効果を持っている。
何せ自然のパワー12000以上のクリーチャーを山札上からめくり続ける限り、相手のクリーチャーを「マッハファイター」で潰しながら大型クリーチャーを大連鎖させることが可能なのである。
では、この《クイーン・オブ・ネイチャー》を使ってどんなデッキを組むべきだろうか?
これに関しては、「《クイーン・オブ・ネイチャー》からめくれて嬉しいクリーチャーは何か?」という命題が思考の出発点となる。
そして、《クイーン・オブ・ネイチャー》を連ドラデッキにおける《竜星バルガライザー》のような存在だと定義したならば、この命題の答えは自ずと見えてくるだろう。
その答えとは、すなわち。
踏み倒し能力を持つクリーチャーだ。
《ギガント・テキサリス》や《ストロング・ゴライアス/氷結ハンマー》のように、自身でも踏み倒し能力を持っている自然のパワー12000以上のクリーチャーをたくさん搭載すれば、《クイーン・オブ・ネイチャー》の能力と合わせてネズミ算式にクリーチャーが増えていくことになる。
あとは大量に並んだパワー12000以上のクリーチャーで対戦相手をタコ殴りにしてやればいい。
肝心の《クイーン・オブ・ネイチャー》をどうやって出すのかに関しては、クソデカ《フェアリー・ギフト》こと《ソイルピンプ・キャベッジ》がうってつけだろう。
ただ「《ソイルピンプ・キャベッジ》→《クイーン・オブ・ネイチャー》」という動きには6マナかかるので最速でも4ターン目となってしまうが、2→4→6の動きだと手札を消費しすぎてしまい、この動きを決めるだけで手札が枯渇してしまう。
そこで《ボント・プラントボ》なら、これだけ大量のパワー12000以上のクリーチャーが搭載されていれば3→6の動きで実質《ボルシャック・栄光・ルピア》として機能するはずだ。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『サンプルデッキ』
4 | 《イチゴッチ・タンク/レッツ・ゴイチゴ》 | 4 | 《黒豆だんしゃく/白米男しゃく》 | 4 | 《メガロ・カミキュロス》 | 4 | 《クイーン・オブ・ネイチャー》 | 4 | 《ギガント・テキサリス》 | 4 | 《ストロング・ゴライアス/氷結ハンマー》 | 4 | 《ハイパー・マスティン》 | 4 | 《連鎖類超連鎖目 チェインレックス》 | 4 | 《ボント・プラントボ》 | 4 | 《ソイルピンプ・キャベッジ》 |
回らん。
《ソイルピンプ・キャベッジ》を使った《クイーン・オブ・ネイチャー》の最速着地プラン……大量に搭載したパワー12000以上の連鎖クリーチャーたち……すべての理論は完璧に思われた。だがその実、完璧に破綻していた。
一つ目の問題点は、このデッキの動きが「《ボント・プラントボ》→《ソイルピンプ・キャベッジ》」というラインに依存しきってしまっているという点だ。
どれほど強力な動きであっても、デッキに1種類4枚ずつしか積めないならば再現性がない。カードゲームのデッキ作りにおいて最も大切なことは、一回性と再現性とのバランスをとることだ。
ではそのバランスをどうやってとればいいのかというと、樹形図を想像してもらいたい。樹形図の根元はゲーム開始時で、一本一本の枝はゲームが分岐したその結果だとする。このとき、根元に近ければ近いほど再現性が求められる。逆にゲームが分岐した先は、対戦相手や状況に対応した一回性が求められるというわけだ。
そこにきてこのデッキの場合、「《クイーン・オブ・ネイチャー》を着地させること」まではどんな相手にも等しく狙うべき行動のため、極限まで再現性を高めなければならない。「ボント・Re:プラントボ」とか「ソイルピンプ・キャベッジ GS」とかが存在していてそれぞれ2種8枚積めるならば別論、そうでない以上は《イチゴッチ・タンク/レッツ・ゴイチゴ》や《黒豆だんしゃく/白米男しゃく》くらいでは何の誤魔化しにもならなかったのだ。
また、踏み倒し能力を持つクリーチャーたちも連鎖を開始するためには「マッハファイター」による攻撃を前提としているものがほとんどのため、相手の盤面にクリーチャーが並んでいないとデカブツ棒立ち授業参観が始まるだけになってしまうのもネックだった。
では改めて、《クイーン・オブ・ネイチャー》着地の再現性を高めるにはどうすればいいのだろうか?
ここで私は、これまで触れてこなかった《クイーン・オブ・ネイチャー》のもう一つの能力、「シンパシー」に着目した。
《クイーン・オブ・ネイチャー》は確かに何もない盤面で召喚するなら8マナだが、あらかじめクリーチャーを並べておけば7マナや6マナにまでコストダウンさせることができる。つまり、「2コストで場に残りつつマナ加速できるクリーチャー」から「4コストで場に残りつつマナ加速できるクリーチャー」へとつなげれば、2→4→6 (+2) で《クイーン・オブ・ネイチャー》が着地するのではないか。
そう、すなわち。
《タバタフリャ》《雪精 X-girls》を使えばいいのでは???🤔🤔🤔
4コストで2ブーストできるカードは、《リトルアイズ・グロース》と《フェアリー・ソング》くらいなのではと思われていた。だが、パワー12000以上の7マナ域につなげる分には、他にも候補が存在したのだ。
これならば2種8枚のブーストで再現性高く《クイーン・オブ・ネイチャー》につなげることが可能となる。
とはいえ、《クイーン・オブ・ネイチャー》につなげたいだけならたとえば2ターン目《桜風妖精ステップル》→3ターン目《青銅の鎧》でも4ターン目に6マナと「シンパシー」2コスト軽減で出せるため、わざわざ《タバタフリャ》《雪精 X-girls》を使ってコストを2つも軽減する必要は別にないのでは?とも思える。
だが、再現性が問われるのは《クイーン・オブ・ネイチャー》自身も同じだ。つまり再現性を高めたければ、《クイーン・オブ・ネイチャー》の5~8枚目も必要になってくるのである。
そこにきて《バードリアント》ならば《タバタフリャ》《雪精 X-girls》を絡めた2→4→7で綺麗につながる。しかも《ボント・プラントボ》経由だったならば「NEO進化」のための進化元が存在せずクソデカ仁王立ち金剛力士像になってしまっていたはずのところ、《クイーン・オブ・ネイチャー》の「シンパシー」のために前もってマナ加速クリーチャーを出すことが進化元を用意することにもつながるので、今回の構造とかみ合っている。
ただ2→4とどちらもクリーチャーを盤面に残しながらブーストするのがコンセプトのため、「2コストで盤面にクリーチャーを残しながらマナ加速できるカード」が必要となってくる。そこで条件を満たすカードとしては《桜風妖精ステップル》《極楽鳥》《天体妖精エスメル/「お茶はいかがですか?」》が思い浮かぶところだが、ほかにもパワー12000以上のクリーチャーで溢れたこのデッキならではのカードとして《タルタホル》が使えるのが強みだ。
多色の《天体妖精エスメル/「お茶はいかがですか?」》はなるべく避けたいため、残りの3種12枚を採用すれば12枚の2コスト→8枚の4コスト→8枚の《クイーン・オブ・ネイチャー》《バードリアント》で再現性はバッチリだろう。
残るは「《クイーン・オブ・ネイチャー》から何を踏み倒すか?」という最初の命題だけだが、2コスト帯や4コスト帯にここまでハズレが多いと「山札上からパワー12000以上のクリーチャーを連鎖させ続ける」という構造には無理がある。
つまり、必要なのは「めくれたら勝ち」と言えるパワー12000以上の強力な1枚だ。
そのような条件を満たすものとして私がたどり着いたのが、《零獄接続王 ロマノグリラ0世》と《大樹王 ギガンディダノス》だった。どちらも強力な攻撃封じの効果を持っており、S・トリガーが薄くなりがちなこのデッキの防御力を補う意味でも最適だ。
何より、《クイーン・オブ・ネイチャー》から2種の王につながるというのはなかなかシャレが利いているのではないだろうか?
というわけで、できあがったのがこちらの「キング・アンド・クイーン」だ!
『キング・アンド・クイーン』
4 | 《桜風妖精ステップル》 | 4 | 《極楽鳥》 | 4 | 《タルタホル》 | 4 | 《タバタフリャ》 | 4 | 《雪精 X-girls》 | 4 | 《ナ・チュラルゴ・デンジャー/ナチュラル・トラップ》 | 4 | 《バードリアント》 | 4 | 《クイーン・オブ・ネイチャー》 | 4 | 《零獄接続王 ロマノグリラ0世》 | 4 | 《大樹王 ギガンディダノス》 |
???「なんかうまく言ったみたいな感じ出してるけど、じゃあ《バードリアント》は何なんだよ!!!」
そ、その声は!?
ツッコミどころを見逃さない男、デッドマン!!(これはTikTokで流行っていたダンスらしい)
デッドマン「新時代のデュエマに一足早く乗り込みたい研究仙人のために、また新しいカードを持ってきましたよ!」
はたしてデッドマンが持ってきてくれたカードとは!?
次回に続く!
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。
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