コロコロオンラインがスタートして約2年。コロコロコミックのスクープを中心に、まんがやコロコロチャンネルの動画などを紹介し続け、読者に最新のゲーム・ホビー情報をお届けしている。
この度、コロコロオンライン2周年を記念して、ゲームメディアの最大手「ファミ通.com」を手掛けた大塚角満氏と、コロコロコミック元編集長であり、コロコロオンラインの代表である和田誠氏のスペシャル対談を実施!
1本のゲームが結んだふたりの出会いから、コロコロオンラインの今後の展望などが語られた。そして大塚角満×コロコロオンラインの新たなる野望が明らかに――!!
出会いは沖縄ツアーの飛行機で
――まずは自己紹介をお願いします。
大塚:大塚角満です。僕は25年前(1994年)、初代プレイステーションが発売された年に、週刊ファミ通編集部に中途採用で入りました。そこからファミ通の巻頭ページにあるニュースページを担当し、ゲーム・エンタメ総合情報サイト「ファミ通.com」にも参加して、ニュース記事を長い間担当してきました。
その後、ファミ通の副編集長や、ファミ通の単行本を作る部署の編集長などを経験しつつ、”サラリーマン作家”という勝手に決めた肩書で『モンスターハンター』シリーズを題材にしたプレイ日記『逆鱗日和』や、『パズドラ』を題材にした『熱血パズドラ部』という単行本も作りました。そうやってサラリーマンでありながら自由に活動し続けていましたが、この春についに独立を果たして、今は一介の物書きとして活動しています。
▲大塚角満氏。
和田:和田誠です。2005年にコロコロコミック編集部に入り、2015年から4年間編集長を務めました。ずっと紙の雑誌を手掛けていましたが、自分が編集長の間にニュースサイト「コロコロオンライン」やYouTubeチャンネル「コロコロチャンネル」が立ち上がり、デジタル分野にも積極的に手を伸ばしました。
その経緯で、今年7月からは新たに立ち上がった”コロコロデジタルネットワーク室”で室長を担当しています。
▲和田誠氏。
――おふたりはもともとお知り合いだとお聞きしましたが、どういった経緯でお知り合いに?
和田:私は子どもの頃からゲームが大好きでしたが、本当にのめり込んだタイトルは『パズドラ』と『モンハン』です。この2作品は……それはもう本当に業務に支障をきたすくらいやり込みました(笑)。だからこそ、プレイ日記を担当された角満さんの存在は自分のなかで大きくて。いつも楽しく読ませて頂きました。
大塚:出会い自体は本当に偶然でしたね。『モンスターハンターポータブル 2nd G』のイベントで「開発スタッフと行く沖縄ツアー」(2008年)があって、カプコンさんから招待されたんです。で、飛行機の座席の隣が、たまたま和田さんだったんですよ。
和田:たしか帰りの飛行機でしたよね。じつは、僕側はツアー中から「あの人、たぶん角満さんだな」と意識していました。そんななか、飛行機に乗ったらお隣だったので「これは話しかけるしかない!」と。
大塚:とても恐縮された感じで「ちょっとよろしいですか? 大塚角満さんですよね?」って話しかけて頂きました。少し話し込んでみると、相手がコロコロの編集さんだったので驚きましたよ。
和田:ちょうどその頃、コロコロでモンハンを担当していて、イチプレイヤーとして純粋に「角満さんと一緒にプレイしたい!」という気持ちでした。
――出会いは偶然ですが、モンハンがふたりを繋げたんですね。
和田:当時のモンハンのブーム具合は凄まじかったですよ。例えば、編集部に出入りするメーカーさんのなかで、モンハンをプレイしている”ハンター”な方がいれば、現実の打ち合わせをしてからゲームでパーティーを組んで帰さない(笑)。
大塚:「名刺交換よりもギルドカードを交換しましょう」って、言っていた時代ですもんね。
和田:そうそう。コロコロ編集部内で「仕事です」と言いながら、あまりに業務時間中にプレイする人が増えた結果、最終的に昼間はモンハン禁止令が出ました。でも、プレイする時間帯が夜にズレただけで、明け方5~6時まで平気でやっていたことを覚えています。
大塚:本当にみんなPSPを持ってましたね。みんなで集まって簡単にプレイできるのが本当に良かった。
和田:それぞれの家で遊ぶのも良いですが、アドホック・パーティーで実際に集まって遊べることがヒットしたひとつの要因だと思います。
――出会ったあと、ふたりで会うようになったんですか?
和田:当時はお互いに日常業務が忙しかったので、なかなか食事や飲みに行く機会などはなかったですね。
大塚:メーカー主催の大きな発表会やイベントでお会いして挨拶する感じでした。
――そんな中、2019年2月からコロコロオンラインでパズドラの爆連載「大塚角満のモンスター美術館」が始まりました。この経緯を詳しく教えて下さい。
和田:ちょうど昨年末頃、コロコロオンラインは「スクープ性のある記事とは別に、読み物を増やしていきたい」という方向性で、誰か書き手を探している状況でした。そのタイミングで、角満さんからの年賀状で独立されたことを知り、「じゃあ、事務所に言って直接お願いしてみよう」となったのがキッカケでした。
大塚:年賀状出しておいてよかったー!(笑)。
和田:あのときは完全に独立して仕事をされていたんですか?
大塚:立場的には、まだファミ通に半分所属という状態ですね。2018年の夏頃には「独立して、もっとほかのメディアさんでもお仕事がしたい」とファミ通グループ代表の浜村弘一さんに相談したところ、「じゃあ、他社の仕事ができるような立場に変えよう。でも、ファミ通の仕事は続けてほしい」と言って貰えました。
和田:すごくスペシャルな対応ですね。
大塚:そうですね。そんな状態のなか、昨年の暮に自分の事務所を作り、ご挨拶も兼ねて年賀状を出したんです。すると、和田さんを含めてコロコロオンラインの方たちが来てくれた。正直、かなり嬉しかったです。僕が子どもの頃に夢中になって読み、今もずっと第一線で活躍されているコロコロさんから「協力してほしい」と言われたら、それはもう二つ返事で「ぜひやらせてください!」と言いますよ。
和田:こちらとしても本当にありがたいです。
大塚角満が語るコロコロオンラインの現在と未来
――「ファミ通.com」で角満さんが経験されたこと、そして今の「コロコロオンライン」について客観的にどう思いますか?
大塚:「ファミ通.com」は、WEBゲームメディアの走りだと思っています。競合するサイトがないなか進めていくうちに、気がつけば20年近くライターと編集として参加していた状態です。
和田:誰も居ない荒野で立ち上がった感じですね。
大塚:そうですね。個人のゲームブログなどはありましたが、商業サイトとしてのゲームメディアはほぼなかったです。
和田:狙いとしては、紙としての「ファミ通」はありつつも、WEBで発信することに何か利点を感じていたんですかね。
大塚:まだ当時はプレイステーション2が発売された頃で、ゲーム誌は絶頂の時代だったんですよ。でも、そんな時代のなかで「ファミ通」を発行するエンターブレイン(現・株式会社KADOKAWAのブランドのひとつ)という会社は、ずっとインターネットに対してすごく興味がありました。だからこそ、紙が売れていた時代でも「次はネットの時代だ!」と上層部が言ったんですよ。ファミ通もいつかWEBにシフトする時代が来るから今のうちに土台を作っておけ、と。
和田:まさにその時代が来ましたね。すごくいい話だ。
大塚:コロコロオンラインさんも、同じ狙いなんでしょうか?
和田:コロコロコミックの読者層である小学生男子たちが、ネットで自分たちが好むコンテンツを拾っていく時代は確実に来ていると思います。だからこそ、コロコロオンラインを子どものたちに見てもらうことを目指していますが、現段階ではネット環境を持つ少し上の世代の方たちに「コロコロってまだあるんだ。懐かしいな、読んでみよう」と感じて頂いていると状態だと思っています。
まずはそういう方たちに、ゲームやホビーの情報を日常的に見てもらい、「やっぱり俺はコロコロが好きなんだ」と”コロコロオンライン”という名前を覚えてもらえるメディアになれればいいなと考えています。
大塚:僕がコロコロオンラインさんと関わるようになって、まだ1年程度ですが、以前よりチェックするようになりました。もちろん、自分の記事を載せてもらっていることもありますが(笑)。どんな記事があるかな、と見たときに最初に受ける印象が”懐かしさ”です。悪い意味ではなく、“サイトがすごく若い”んですよ。
和田:なるほど。
大塚:僕らが「ファミ通.com」を立ち上げたとき、「どんな方向性でいこうか」と毎日のように部員と話し合っていたことを思い出しました。きっと今はトライ&エラーを繰り返して、そのなかで成功を見つけて広げていくという段階なんだろうなと。とても良い感じに見ています。
和田:まさにその通りです。どこか優秀な外部の会社にまるごと投げる方法もありましたが、やはり雑誌自体を”自分たちでなんでも主体的に取り組んでいこう”というスタンスで作っているので、オンラインでも同じ手法でやってみています。それが正しいかどうかは、正直分かりません。きっと無駄な労力もかかっていると思いますが、最終的には自分たちの力になると思っています。大きな舵さえ切り間違えなければ、自分たちが思い描いてるように成長していけるんじゃないかなと思っていますね。
大塚:そこもファミ通と似ていて、伝統的にスタッフライティングの編集部だったので、外部の編集プロダクションに任せて何かやることは、ほとんどありませんでした。「ファミ通.com」を立ち上げる時も、週刊ファミ通と掛け持ちでやっていましたから、そういう意味でもすごく似ていると思います。
和田:めっちゃくちゃ忙しかったですよね。
大塚:忙しかったなんてもんじゃなかったですね、当時は。全然家に帰らなかったです。やっぱりWEBサイトって、日ごとというか時間ごとの更新じゃないですか。何かニュースが入ったらすぐ書かなきゃいけない。そんななか、週刊誌を回すので大変でした(笑)。ただ、面白かったですけどね。「WEBサイトの黎明期に関わってるんだ」という気概がありましたから。今のコロコロオンラインの皆さんも同じじゃないですか?
和田:まったくその通りです。スタッフはコロコロの本誌と掛け持ちですので、今角満さんが仰ったような毎日を過ごしています。
――今後のコロコロオンラインの展望について聞かせてください。
和田:今回のお話を聞いて、改めて角満さんは僕らが目指すものを先人として戦ってきた方なんだと理解しました。可能であれば、その経験と知識をお貸し頂き、コロコロオンラインがちゃんと独り立ちできるのを見守ってくれませんか? 今より少し内側に入っていただいて、一緒に盛り上げられればと思っています。
大塚:えっ、本当ですか? 連載もしつつ、アドバイサー的な役割を担うということでしょうか?
和田:そうですね。最終的には子どもも含めた老若男女、コロコロというブランドに対してすごく思い入れがある方たちが、日常的に楽しめるようなサイトにしたいと思っています。今日のお話を聞いて、角満さんと僕らの編集部だったら、それができるんじゃないかなって確信しました。コロコロオンラインはまだまだ若いサイトですが、もし角満さんがよろしければ、是非その力添えをできればと。
大塚:もしこれがコロコロオンラインさんではなく、もっと成熟したゲームメディアだったら「もう完成してるから俺の力いらないじゃん」と言います。ですが、コロコロオンラインは若いからこそ、伸びしろがすごくあると思うんです。だからこそ、僕の方からもぜひお願いします。
和田:ありがとうございます! 誘っておいてなんですが、「ファミ通.com」以外のメディアを成長させても大丈夫ですか?
大塚:よく言うじゃないですか。お世話になった方に恩返しするには、その人を超えるしかないと。ずっと綺麗事だと思っていましたが、今の立場になると真実だと思います。物を作る人間はアスリートと同じで、やっぱり育ての親を超えたいという気持ちはあります。
和田:こちらとしては大変心強いです。今後、コロコロオンラインを通じて、今の子どもたちと紙・WEBの関係性が最終的にどうなるか見極めなければいけません。目先の1年も重要ですが、3、5、10年後にはどうなるか。そのあたりも、約20年経験された角満さんのアドバイスがとても活きてくると思います。
大塚:やはりWEBだけではなく、紙媒体があることが強い武器だと思います。紙とWEBの連動を強めて新しいメディアを作ることに可能性を感じているので、一緒に盛り上げられたら嬉しいです。
和田:こちらこそよろしくよろしくお願いします!
ということで、なんと
大塚角満氏が
コロコロオンラインに
参戦決定!
すでに「大塚角満のモンスター美術館」で記事を執筆されているが、今後はより深く関わってくれることになったぞ!
これからもっとコロコロオンラインが面白くなるので、ぜひ期待してほしい!!