By ドブフクロウ
みなさんこんにちは。MtGライターのドブフクロウです。
先週号でお伝え忘れていたのですが、来週末の9月27日(金)にはいよいよMTGアリーナが正式リリースされます。てっきり永遠にオープンベータなのかと思ってたよ……。
昨年9月からオープンベータ版がリリースされ、早1年。その間にも日本語版アップデートがあったり、MTGアリーナを用いたミシックチャンピオンシップが開催されたりと様々な出来事がありましたが、ついに『エルドレインの王権』リリースと時を同じくして正式版がローンチされることになります。オープンベータ版からプレイしていた人にはレアカードも配られるそう(今から始めてもOK)なので、みなさまもぜひこの機会にMTGアリーナをプレイされてはいかがでしょうか?
また、まだ少し先の話にはなるそうですがMac OS版もローンチされる予定だそうな。僕自身も(Windowsも使ってますが)Macユーザーなので、今後はより一層MTGアリーナをプレイしやすくなりそうです。
さて。MTGアリーナの未来も気になるところですが、今回はミシックチャンピオンシップ・リッチモンド2019名古屋予選の結果から、モダンのデッキをご紹介したいと思います。
ミシックチャンピオンシップ・リッチモンド2019名古屋予選
先週末には名古屋にてミシックチャンピオンシップ・リッチモンド2019の予選が開催されていました。この連載でも何度か言及してきましたが、ミシックチャンピオンシップとは各国のプロプレイヤーたちが集まる世界大会のことで、予選といえどもハイレベルな戦いが繰り広げられる競技性の高いトーナメントとなっています。
そんな中でトップ8に輝いたデッキは……これがなかなかエッジの効いたリストでした。さっそくそのデッキ、白赤ヘイトベアーを見ていきましょう!
白赤ヘイトベアー(使用者:Suzuki Tomohiro選手) | |
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枚数 | カード名(メインボード) |
4 | 《幽霊街》 |
4 | 《感動的な眺望所》 |
2 | 《冠雪の平地》 |
2 | 《乾燥台地》 |
3 | 《処刑者の要塞》 |
3 | 《灼陽大峡谷》 |
3 | 《聖なる鋳造所》 |
1 | 《雨ざらしの旅人》 |
1 | 《渋面の溶岩使い》 |
2 | 《ルーンの与え手》 |
4 | 《審判官の使い魔》 |
2 | 《石鍛冶の神秘家》 |
2 | 《ゴブリンのクレーター掘り》 |
3 | 《無私の霊魂》 |
4 | 《スレイベンの守護者、サリア》 |
4 | 《レオニンの裁き人》 |
1 | 《イーオスのレインジャー長》 |
2 | 《民兵のラッパ手》 |
2 | 《ミラディンの十字軍》 |
2 | 《特務魔道士ヤヤ・バラード》 |
4 | 《流刑への道》 |
4 | 《霊気の薬瓶》 |
1 | 《光と影の剣》 |
枚数 | カード名(サイドボード) |
1 | 《ちらつき蛾の生息地》 |
1 | 《ルーンの与え手》 |
1 | 《ブレンタンの炉の世話人》 |
1 | 《オーリオックのチャンピオン》 |
1 | 《八ツ尾半》 |
1 | 《レオニンの遺物囲い》 |
1 | 《ゴブリンのクレーター掘り》 |
2 | 《石のような静寂》 |
2 | 《安らかなる眠り》 |
1 | 《悔恨する僧侶》 |
1 | 《死に微笑むもの、アリーシャ》 |
1 | 《軍勢の切先、タージク》 |
1 | 《火と氷の剣》 |
ヘイトベアーとは、基本的には緑白の2色の組み合わせで組まれるビートダウンデッキです。ベアー/Bearとはマジックの不文律――2マナ2/2のクリーチャー(※)を指す言葉ですが、このデッキでは単純に2マナパワー2のクリーチャー全般をベアーと呼んでいるそうです。
そんなヘイトベアーデッキは、マジックにおける「特定の戦略を否定するカード」が数多く採用されているのが特徴です。たとえばこのデッキにも採用されている《スレイベンの守護者、サリア》は呪文を多用するデッキにはこれ以上ないほど有効な1枚で、《審判官の使い魔》と組み合わせることで厄介な除去呪文や打ち消し呪文といったカードを牽制し、《レオニンの裁き人》のようなカードはフェッチランドの起動を咎めます。
「なら呪文もフェッチランドも使わないデッキには効かないんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、モダン環境にはこれらのカードを一切使わないデッキはほとんど存在しません。すなわち、ヘイトベアーの基本戦略とは対戦相手にゲームさせること自体を否定することにあります。
また、このデッキは一般的なヘイトベアーとは異なり、緑ではなく白赤の2色で構築されています。赤が入ることによって加わった戦力が《特務魔道士ヤヤ・バラード》と《処刑者の要塞》の2種のカード。これらによって盤面をコントロールする要素と攻撃的な要素の2軸の勝ち筋を得ているのが特徴です。このデッキのキーカードである《スレイベンの守護者、サリア》や《レオニンの裁き人》のようなカードはロングゲームになるほど威力を失っていくため、ゲームを掌握したあとに速やかに対戦相手のライフを削り切ることが勝利の鍵となります。
また、デッキには役割の異なる様々なカードが数多く散らされており、《民兵のラッパ手》や《イーオスのレインジャー長》のようなカードによってゲームの状況に合ったカードを探し出します。
サイドボードにも興味深いテクニックが数多く搭載されており、《死に微笑むもの、アリーシャ》+《無私の霊魂》で毎ターン自分のクリーチャーに破壊不能を付与したり、《八ツ尾半》で対戦相手の除去呪文やクロックを無力化したり、白赤というやや不器用な色の組み合わせ(失礼)とは思えないほど器用に立ち回ることが可能です。
何と言ってもこういういろんなカードが入っているデッキは調整していて楽しいんですよね。実際、このリストからも相当な調整の跡が見受けられます(1~3枚挿しの多いこと……)。「なぜこのカードは1枚しか入っていないんだ?」など、リストを見て思いを馳せるのも一興です。
ライター:ドブフクロウ
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。
MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。
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