By まつがん
今回紹介するのは、デッドマンが持ってきてくれた新カード……それが、こちらのカードだ!
何度でもタダで蘇るブロッカーだと……?
マナを使ってクリーチャーを召喚するデュエル・マスターズというカードゲームにおいて、マナを使わない行動というのはそれだけでゲームがバグりかねない挙動だ。しかもそれが墓地から出るというのは、墓地肥やしという事前の準備が必要になるとはいえ、複数体をまとめて蘇生するチャンスでもあり、バグの匂いがプンプンするカードと言える。
さて、7月20日(土) に発売予定の「超感謝祭 ファンタジーBEST」に収録される新カード、《チェシャ・ルピア》。このカードを使ってどのようなデッキを組むべきか。
バグりかねない能力を持っているとはいえ、デュエル・マスターズにおいてこのカードが持つ能力は全く前例がないというわけではない。少しデュエマをかじったプレイヤーなら、とあるカードのことがすぐに思い浮かんだはずだ。
そう、《黒神龍グールジェネレイド》だ。
《チェシャ・ルピア》の能力は《黒神龍グールジェネレイド》とほぼ同一である。つまり2種8枚をデッキに搭載するだけで「ドラゴンを破壊することで墓地から戻ってきまくりウッハウハデッキ」のコンセプトがお手軽に完成するというわけだ。これはデッキを作らないわけにはいかないだろう。
とはいえ、このコンセプトには2つの難問があった。
1つ目は、「どんなドラゴンを破壊するのか?」だ。ドラゴンというのは基本的に重いクリーチャーだし、軽いカードには何かしらの制限がある。その制限も簡単に自壊して墓地に落ちるようなものではないというのは、《黒神龍グールジェネレイド》がそれほど使われていない現状からも明らかだろう。
そして2つ目は、「並んだ《チェシャ・ルピア》《黒神龍グールジェネレイド》を使って何をするのか?」だ。現代デュエマの墓地肥やしのスピード感とドラゴンの破壊という手間を考えると、8枚の《チェシャ・ルピア》《黒神龍グールジェネレイド》を積んだとして一度に並ぶのはせいぜい3体程度。当然殴ってリーサルには到底届かない以上、並んだ《チェシャ・ルピア》《黒神龍グールジェネレイド》に関しては何か別の使い方を考える必要がある。
この2点がクリアできない限り、「ドラゴンを破壊することで墓地から戻ってきまくりウッハウハデッキ」などというのは夢のまた夢だ。
だが、ここで私は考えついたのだ。
2種類目の《黒神龍グールジェネレイド》である《チェシャ・ルピア》が登場したことによって成立する、新たなデッキタイプの可能性に。
そう、すなわち。
《夢幻なる零龍》を召喚するだけで《暗闇の裏闇市》が唱えられるのでは???🤔🤔🤔
《夢幻なる零龍》は0マナで召喚でき、しかもパワーも0なので自動的に自壊するドラゴンである。つまりこのカードさえあれば、好きなタイミングでしかも一切のマナを使わずに墓地の《チェシャ・ルピア》《黒神龍グールジェネレイド》をすべて蘇生できるということだ。これで1つ目の問題は解決する。
さらにこのギミックを《戦略のD・H アツト》系クリーチャーと合わせて使うことで、《暗闇の裏闇市》のための闇のクリーチャー4体を用意することは極めて容易となる。そして大量ドローから2枚目の《夢幻なる零龍》を引き込むだけで再び盤面には《チェシャ・ルピア》《黒神龍グールジェネレイド》が並ぶから、そこから《闇王ゼーロ》などにつなげれば勝利は目前だろう。これで2つ目の問題もクリアできたというわけだ。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『チェシャ・バザール』
4 | 《夢幻なる零龍》 | 4 | 《戦略のD・H アツト》 | 4 | 《【問2】ノロン⤴》 | 4 | 《戯具 ドゥゲンダ》 | 1 | 《暗黒鎧 ザロスト》 | 4 | 《チェシャ・ルピア》 | 4 | 《黒神龍グールジェネレイド》 | 3 | 《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》 | 4 | 《フェンス=カドゥッセンス》 | 4 | 《暗闇の裏闇市》 | 4 | 《闇王ゼーロ》 |
全然勝たん!!!😡😡😡
このデッキの問題は、クソデッキによくありがちな欠点に集約される。すなわち。仮定の上に仮定を重ねすぎというものだ。
コンボスタートするためには、そもそも1枚目の《暗闇の裏闇市》と《夢幻なる零龍》はどちらも素引きしなければならない。その上で《暗闇の裏闇市》のドローで2枚目の《夢幻なる零龍》を引き込むことは必須だ。そうだとしても、《闇王ゼーロ》までつなげるためには3ターン目までの2体の《戦略のD・H アツト》系によって《チェシャ・ルピア》《黒神龍グールジェネレイド》を計3体墓地に落としておかなければならない。さらにその上で、勝ち手段もふんわりしていて意味不明ときている。
もしこれが大学の「デュエマデッキ構築学」という単位の試験課題だったならギリギリC (可) がもらえるかどうかといったラインだ。「発想はいいが、デッキではない」という講評が目に見えている。
かくして、《夢幻なる零龍》と《暗闇の裏闇市》を使ったデッキは挫折した。だが、まだ他にも《チェシャ・ルピア》を使うアイデアは残されている。
《黒神龍グールジェネレイド》とともに古くから運用されてきたアイデア……そう、それは。
テンザン覇道では???🤔🤔🤔
《黒神龍グールジェネレイド》といえばやはり、連載初期にも挑戦したこのコンセプトだろう。
《チェシャ・ルピア》の登場は《黒神龍グールジェネレイド》の水増しというだけにとどまらず、このデッキで足りていなかった受けの要素も補完してくれている。ならば5年の時を経て、いよいよ完全体となったのではないか。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『チェシャ覇道』
4 | 《ジオ・ナスオ》 | 4 | 《ハニー=マーガニー/「こっちは甘いぞー」》 | 4 | 《レーホウ・衛・デカッチ/「暴竜爵様のお出ましだッチ!」》 | 4 | 《不吉の悪魔龍 テンザン》 | 4 | 《龍装05号 イヴィルヴィ/イーヴィル・フォース》 | 4 | 《チェシャ・ルピア》 | 4 | 《頂上印鑑 パラキン8th/「魔物が居るな……」》 | 4 | 《黒神龍グールジェネレイド》 | 4 | 《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》 | 4 | 《“必駆”蛮触礼亞》 |
色々と無理がありすぎだろ!!!😡😡😡
火闇というカラーリングだけだと「2コストのサーチ兼墓地肥やし」が弱すぎて自然か水を入れざるをえないが、「《不吉の悪魔龍 テンザン》+《龍装05号 イヴィルヴィ/イーヴィル・フォース》」のセットか「《“必駆”蛮触礼亞》+《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》」のセットを手札にキープしなければならない上に単色マナベースのこのデッキで安定して3文明をマナに揃えるのはほぼ不可能だし、そもそも仮に実現したとしてもそれほど強い動きではないというのが致命的だった。
かくしてコンボでの《チェシャ・ルピア》とアグロでの《チェシャ・ルピア》という2つのアイデアで挫折し、もはや《チェシャ・ルピア》に可能性は残されていないように思われた。
しかし、ここで私は考えたのだ。
コンボでもアグロでもダメだというなら、コントロールで使えばいいと。
そう、《黒神龍グールジェネレイド》からの脱却である。同じ蘇生条件だからといって必ずしも一緒に使う必要はない。もともとW・ブレイカーとブロッカー・スレイヤー持ちのトリガーとでは性質が違いすぎる。
とはいえその場合「どんなドラゴンを破壊するか?」という1つ目の課題が再び立ち塞がる。
防御的に振る舞えて、《チェシャ・ルピア》を墓地に送り込めるドラゴン……そんな便利なカードがはたして存在するはずも……。
あった。
《バイケンの海幻》を使えばいいのでは???🤔🤔🤔
そう、《チェシャ・ルピア》を蘇生するためには何もクリーチャーを破壊する必要はない。「ドラゴン」を種族に持ったタマシードを破壊してもいいのだ。
《バイケンの海幻》は起動のタイミングが自由であるということで対戦相手の目線からすると脅威かもしれないが、それだけだと意外と鉄壁というほどではない。
しかしそこに《チェシャ・ルピア》を加えることで、さらなる防御力を獲得できるのだ。
《バイケンの海幻》さえ設置してしまえばかなり安全にゲームを進行できるので、タマシード版《ヘブンズ・フォース》こと《トレジャー・ルーン》で最速2ターン目に設置するオプションは用意しておきたい。
さらに《蒼狼の大王 イザナギテラス》は《トレジャー・ルーン》を探して唱えられるほか、《バイケンの海幻》や《チェシャ・ルピア》といったキーカードも探してこれるし、これ自体も水のドラゴンなので《バイケンの海幻》や《チェシャ・ルピア》との相性も良い。
《トレジャー・ルーン》を使うならほかの4コストタマシードも欲しいところ、《Drache der’Zen》は《チェシャ・ルピア》を捨てられる4コストタマシードでしかもドラゴンということで、十分採用できるスペックだ。
とはいえ《バイケンの海幻》だけだと相手が殴ってこない限りなかなか盤面が広がらないので、《アトランティスの海幻》も採用することで《バイケンの海幻》の再利用を図りつつ、《チェシャ・ルピア》を能動的に蘇生するプランも用意できる。
というわけで、できあがったのがこちらの「チェシャ・ヴィジョン」だ!
『チェシャ・ヴィジョン』
4 | 《Drache der’Zen》 | 4 | 《蒼狼の大王 イザナギテラス》 | 4 | 《チェシャ・ルピア》 | 4 | 《流星のガイアッシュ・カイザー》 | 4 | 《フェアリー・Re:ライフ》 | 2 | 《フェアリー・ライフ》 | 4 | 《地龍神の魔陣》 | 4 | 《トレジャー・ルーン》 | 2 | 《チェンジの海幻》 | 4 | 《バイケンの海幻》 | 4 | 《アトランティスの海幻》 |
ではまた次回!来週は休載なので、7月26日 (金) にまた会おう!!
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。
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