【ディアブロイモータル】リリース直前! 『ディアブロ イモータル』開発者インタビュー! どんな『ディアブロ』が完成した!?

メディア合同インタビュー!

 最初の発表から、はや数年……!

 正式サービスがいまかいまかと待ち望まれていたBlizzard Entertainmentのモバイル用アプリ『ディアブロ イモータル』が、いよいよ6月3日にサービスインすることになった!

 それに先立ち、本作のシニアゲームデザイナーを務めるスコット・バージェスさんと、アートディレクターのハンター・シュルツさんへのインタビューが実現! 日本のメディア数誌による合同インタビューだが、『ディアブロ』シリーズを密かに追い続けているコロコロオンラインも参加してきたので、その内容を最速でお届けしたい!!

ハンター・シュルツ
アートディレクター

 「ディアブロ イモータル」のアートディレクター、ハンター・シュルツ(Hunter Schulz)は「ディアブロ」シリーズならではのアートデザインや雰囲気を維持しながら、本作に独自の魅力を持たせるために監督にあたっている。アートチームを指揮する責任を担を負うとともに、彼はアートも一部作成している。

 シュルツは2020年にリードアーティストとしてBlizzard Entertainmentに入社し、その後アーティディレクターの役割を担うようになった。Blizzard入社以前から、多くのゲームに携わってきた経歴の持ち主。特に、「Mortal Kombat 9」と「Mortal Kombat X」ではシニア・コンセプトアーティストを務め、キャラクターアートやエンバイロメントアート、イラストレーションなど、その貢献は多岐に渡る。

 余暇にはゲームやアート、音楽、エクササイズ、妻と過ごす時間を大切にしている。

 

スコット・バージェス
シニア・コンテンツデザイナー

 「ディアブロ イモータル」のシニア・コンテンツデザイナー、スコット・バージェス(Scott Burgess)はナラティブチームと協力して、ゾーンやダンジョン、クエスト、ヘリクアリなどのゲーム内コンテンツについて「ディアブロ」シリーズを通しての整合性を確認し、本作のストーリーの鍵となる部分に携わっている。「シーズンイベント」のデザインやプランニングにも深くかかわっており、一年を通して魅力的なゲームイベントを用意するよう図っている。

 バージェスは「ディアブロ イモータル」のチームに参加する前にゲーム業界で11年間働いており、PCの大規模MMOやモバイルRPGにおいてライティングとデザインを担当。Red 5 Studiosではライターおよびナラティブデザイナー、Netmarbleではエディティング/LQAチームリードとして働いてきた。

 バージェスはカリフォルニア州立大学フラトン校でラジオ/テレビ/映画の学士号を取得している。

 

※以下、合同インタビューの一問一答となります。

--ハック&スラッシュはPCのコアゲーマー向けのジャンルと認識しております。今回、モバイルで展開するにあたり、遊びやすくするために開発で力を入れたポイントを教えてください。

スコット・バージェス モバイル版のゲームを作るにあたり最初に注意した点は“操作”となります。とくに、攻撃を当てられないと意味がないので、ボタンの大きさを最適化し、より命中しやすくするよう細心の注意を払って開発してきました。また、いかに早くゲームに慣れてもらえるか……ということも、開発当初から気にかけていたポイントです。『ディアブロ イモータル』に関しては、モバイル端末で遊ぶことを大前提に開発が始まったので、すべての要素がそこに最適化されているんです。たとえば、ゲームプレイ時間はPCや家庭用ゲーム機で遊ぶのとは違い、短い時間でも満足感が得られるようにデザインしています。さらに、近年のモバイルゲームのクオリティーは日を追うごとにグレードアップしていることもあって、ハードコアなゲームを遊ぶ人も増えてきました。そんな人たちも満足できる作品を目指して開発してきました。

ハンター・シュルツ もうひとつ付け加えるなら、『ディアブロ イモータル』をプレイし始めてすぐに、皆さんしっくりと来ると思うんです。これは、スマホ自体がひとつのゲームコンソールとして成り立っている証左で、それ用にしっかりと開発、デザインできたからこそだと思っています。

--長い開発がひと段落し、まもなくリリースを迎える……というタイミングですが、現在の率直な心境をお聞かせください。

ハンター・シュルツ まず申し上げたいのが、開発はまったく終わっていないということ(笑)。実際、ゲーム自体はあと1週間ほどでリリースとなりますが、そこで開発が終わるわけではなく、むしろスタートラインに立った……というのが率直な感想です。そこから、さまざまな追加要素を発信していくことがロードマップに組み込まれていますので、これらの開発に着手していくことが目標となります。

スコット・バージェス とはいえ、正式にリリースを迎えられることに関しては、ひとまずホッとしています。その上で、β版からさらに追加された要素もたくさんありますので、早くユーザーに遊んでもらいたくてワクワクしているところです。

--モバイル用と言うことで、本作から『ディアブロ』デビューしようと考えている人も多いかと思います。そういった新規のプレイヤーに、どのように遊んでもらいたいと思っていますか?

スコット・バージェス 古参プレイヤー、新規のプレイヤー両方に楽しんでもらえる作品になったと自負しています。新規プレイヤーに対しては、『ディアブロ』シリーズの入門作として触れてもらえるのと同時に、システムを学んだり、シリーズの世界観に没頭してもらうこともできる作りになっています。その中で注意したのが、システムを学ぶ上で、“いかに自然に遊んでもらうか”ということ。そういう意味で、“とっつきやすさ”を重視して開発を進めてきました。なお、初心者にオススメのクラスですが……いろいろと考えたんですけど、正直、「どのクラスでも!」が答えになるかなと(笑)。プレイヤーの好みで、存分に遊んでいただければと思います。

--『ディアブロ イモータル』は、『ディアブロ II』と『III』のあいだにある空白の数十年がストーリーとして描かれています。そこで、デッカード・ケインなどの名物キャラがどう活躍するのか、そしてこれまでの『ディアブロ』では見られなかった部分も描かれるのか、教えてください。

スコット・バージェス ネタバレしないギリギリのところをお話します。まず物語の始まりですが、これは『ディアブロ II』のエンディングで、ティラエルがワールドストーンを壊した直後から……となります。ワールドストーンのカケラが世界に散らばり、邪悪に染まっていて、ひとつひとつが強大な力をはらんでいる……。それを地獄の軍団が集めようとしているわけですが、“スカーン”という新キャラが王座に登ろうと試みる……と。スカーンはワールドストーンのカケラを狙って暗躍するわけですが、その狙いはこの石の力を使って、世界中の人々の心から“悪意”を吸い取ること。そこに、ヒーローたちはどう立ち向かっていくのか--。その先のことは、ぜひプレイヤーご自身の目で確認してください。

--改めてですが、『ディアブロ イモータル』の“イモータル”の意味を教えてください。

ハンター・シュルツ 『ディアブロ イモータル』の根幹の遊びのひとつにPvP(対人戦)があります。ふたつの陣営に分かれていて、それが“イモータル”と“シャドウ”。イモータル陣営のリーダーは“イモータル”と呼ばれ、彼にはサンクチュアリの平和を守るための特別なパワーが与えられます。そして、敵対するシャドウの陣営は“悪”というわけではなく、イモータルたちが与えられた力を悪事に使わないよう見張っている立場になります。よって、イモータル側に不穏な動きがあればシャドウが動き出し、戦いに発展すると。その結果、イモータルが倒れたら、シャドウから新たなイモータルが誕生するという流れになります。これを象徴するべく、ゲームタイトルは『ディアブロ イモータル』となりました。

--『ディアブロ イモータル』は、モバイル版のリリースに合わせてPC版の展開も発表されました。開発する上で、とくに苦労された点は?

スコット・バージェス スマホでテストプレイをしたときに驚いたのが、その美しいグラフィック。さらに、スマホアプリの開発をする上で問題となるのがプレイ時の“熱”なんですけど、『ディアブロ イモータル』はこのグラフィックを実現したうえでそれほど端末が熱くならないんです。これには本当に驚きました。

ハンター・シュルツ コンテンツの量にも驚かれると思います。我々も、「本当にこれがモバイル用のゲームなのか!」とビックリしたくらい、たくさんの要素が詰め込まれているんです。

--『ディアブロ イモータル』では、シリーズでは初となる“同一キャラを任意でクラス変更できる”というシステムが導入されました。これまでのシリーズ作品だと、別のクラスで遊びたければレベル1の新キャラを作り直す必要がありましたけど……このシステムを採用された理由を教えてください。

スコット・バージェス クラス変更については、まだ開発中の段階です。ですのでそこまで詳しくお答えできないのですが……クラス変更をすることで何かが失われる……ということは考えていません。いままでプレイしてきたキャラをクラス変更したとしても、ギアや持ち物はすべて引き継がれると考えてください。

--PC版とのクロスプレイも発表されていますが、これを導入された理由を教えてください。

スコット・バージェス まずPC版が実現した最大の理由は、ファンからのリクエストが非常に多かったこと。開発の現場でも、初期のころから「PCでも遊びたい」という声がつねにあったこともあり、このふたつが重なって判断に至った次第です。そしてもうひとつ、現在出ているかなりのモバイルゲームが、エミュレーターを使ってPCで遊ばれている……という現実があります。ただ、エミュレーターを使ってPCでプレイするとゲームのクオリティーはどうしても落ちてしまうので、だったら最初から、我々のほうでPC版を提供しよう……という話になったのです。これにより、最良のゲーム体験をPCでも堪能できるようになります。

--『ディアブロ』シリーズといえば、多種多様な武器や防具がウリのひとつ。これまで、見た目は好きだけど性能はイマイチなので使いにくい……というアイテムもあったんですけど、『ディアブロ イモータル』に導入される“コスメティック”(テーマに沿った斬新な見た目の武具が定期的に実装される)により、このへんの問題が解消されるのではと期待しています。そこで、武器や防具をデザインするうえで、どのへんにこだわっているのかを教えてください。

ハンター・シュルツ コスメティックを導入したもっとも大きな意義は、“ロールプレイができる”こと。どういうことかというと、ふつうにプレイしていればさまざまな武具を手に入れられるわけですけど、これらギアには物語性がほとんどありません。同じギアを別のプレイヤーがつけていたとしても、意味や見た目は同じです。コスメティックは、これらに意味やストーリーを付け加えるもの……と考えていただければいいかなと。たとえば、見た目が幽霊になってしまったりとか、これまでの『ディアブロ』シリーズでは考えられなかったような、さまざまなギアが用意されているのです。デザイナーたちが、ゲームのシステムにしばられることなく“おもしろさ”を追求してデザインできたからこそ実現したことで、プレイヤーにも存分に楽しんでもらえるんじゃないかと自負しています。

--リリース時には広大な8つのゾーンが実装され、将来的にはさらにいろいろなコンテンツが……とアナウンスされていますけど、このへんのアップデートのスケジュール感を教えていただけますでしょうか!

スコット・バージェス 今後ずっとサポートしていくタイトルですので、定期的なアップデートを予定しています。ざっくりと、毎月新しいバトルパスが出る予定になっていて、ここではさまざまなパックを提供することを考えています。同じように、ヘリクアリのボス(いわゆるレイドボスのような強大なボスのこと)も毎月1体は追加される予定で、3ヵ月に1回のペースで新たなダンジョンとゾーンが追加されるスケジュールです。これによってストーリーがさらに進み、世界観はより広がっていく……という造りになっています。どうぞお楽しみに!

--『ディアブロ イモータル』は一生遊ぼうと思っていますので、ホントに期待しています!

ハンター・シュルツ あはは! ありがとうございます! アートサイドからひと言いわせてもらうとすると、仕事は……ぜんぜん楽になっていません(笑)。要するに、今後続々と追加されるコンテンツに期待してください! ということですね。

--βテストからコントローラーでの操作が可能になりましたが、こちらの評判はいかがでしたか?

スコット・バージェス フィードバックは、概ね良好でした。個人的にも、最初はコントローラーでは遊んでいなかったんですけど、試しに触れてみたところ快適で驚いたんです。結果、新しいコントローラーを買ってしまいました。今後もコントローラーの操作はサポートしていきますし、場合によっては新しいフィーチャーも入るかもしれませんよ。

--『ディアブロ イモータル』で、とくに注目してほしいポイントを教えてください。

ハンター・シュルツ コスメティックのデザインがイチオシです。自分はキャラクターのコンセプトアートからプロジェクトに参加していますが、プレイヤーに新たなロールプレイを提供するコスメティックは本当にデザイナーが楽しんで作っているので、ぜひ期待してください。もうひとつ、アートに関しては、ゾーンのデザインに注力してきました。そこに入ると雰囲気がガラリと変わるようビジュアル面からアプローチできたので、すごく自信があります。

スコット・バージェス いちばんのウリ……誇らしく思うのは、モバイルでもしっかりと「このゲームは『ディアブロ』だ!」と胸を張れるものができたことです。自分で言うのもなんですけど、『ディアブロ』をそのまま、モバイルで作ることができました。PCで遊んでもスマホで遊んでも、しっかりと“ディアブロらしさ”を感じてもらえると確信しています。

--最後に、『ディアブロ イモータル』のスタートを待ちわびている日本のファンにひと言お願いいたします。

ハンター・シュルツ かなり力を入れて作った作品ですので、皆さんにお届けできるのが本当に楽しみです。せっかくなので日本語でメッセージを伝えたいんですけど……ちょっと無理なので(笑)、プレイされた感想を、たくさん発信してください!

スコット・バージェス 日本のプレイヤーの皆さんは情熱的で、コミュニティーを重視すると聞いています。そんな皆さんに、早く遊んでほしいです。ぜひコミュニティーを作って、仲間といっしょに楽しんでください!

大塚(おおつか) 角満(かどまん)
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。

『ディアブロ イモータル』公式サイト:
https://diabloimmortal.blizzard.com/ja-jp/

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