まんが家を目指す人は必ず読むべし! 『ウソツキ!ゴクオーくん』吉もと誠×『コロッケ!』樫本学ヴ SP対談~1~


現在、小学館が主催する新人漫画家の登竜門、第84回「新人コミック大賞」が開催中。3月15日(金)まで作品を募集しているぞ!
 
コロコロオンラインでは、新人まんが家応援企画として、『ウソツキ!ゴクオーくん』の吉もと誠先生(第58回児童部門佳作入賞)と、『コロッケ!』の樫本学ヴ先生(第12回[※]児童部門佳作入賞)のスペシャル対談を全4回で実施!!
(※:当時の賞名は「藤子不二雄賞」)
 
新コミ受賞者の先輩と後輩に当たるおふたりの新人時代の思い出話や、コロコロでまんがを描くうえで大切なことなど、貴重な内容満載でお届けする!!
 

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――今回の対談が決まったときの感想を教えてください。
樫本:僕はすごく光栄だと思いました。吉もとさんのいろんな秘密を聞きたいですね。
 
吉もと:ありがとうございます! 僕のほうこそ光栄です。
 
樫本:吉もとさんとは、今まで一緒に飲み行ったり、遊んだりという深い付き合いがなかったので、これを機会に今後とも。
 
吉もと:ぜひぜひ! 樫本先生は僕の大先輩なので、ありがたいです。
 
樫本:年齢的にはどれくらい離れてるんだろう?
 
吉もと:僕は今41歳ですね。
 
樫本:あ、ちょうど10歳違うんだ。僕は51歳だからね。
 
吉もと:年齢的には10歳離れていますけど、プロのまんが家歴は20年くらい違います。樫本先生が早咲きで、僕が遅咲きだったんで。
 
樫本:吉もとさんのデビューはいつ頃なの?
 
吉もと:20代ギリギリでしたね。作品自体はずっと描き続けていたんですけど、30代になったらまんが家の道を諦めようと思っていました。今から考えると「適当にやっていてもいつか載るかな」と、ちょっと舐めていた部分があったかもしれません。でも、自分が20代後半になってようやく焦り始めて……。そこから29歳で「コロコロ漫画大学校(※)」、30歳で「第58回 新人コミック大賞」に入賞しました。
(※:コロコロコミックが実施している新人漫画賞)
樫本:おお、本当にギリギリだったんだね。
 

 
――吉もと先生と樫本先生は共に「新人コミック大賞」受賞者ですが、受賞当時の思い出について教えてください。
吉もと:樫本先生は、たしか第12回(1986年)ですよね。
 
樫本:そう、よく知ってるね。まだ賞の名称が「藤子不二雄賞」のときです。
 
吉もと:まさにそのとき僕はコロコロ読者で、当時は受賞作がまとめてコロコロ本誌で読めたんですよ。そこで、樫本先生の受賞作『G筆まん吉』の表紙を見ただけで、「うわっ、面白いまんがを描く人の絵だ!」と、子どもながらに思いました。絵が上手くて、めちゃくちゃワクワクする、ものすごいインパクトがあったからこそ、僕は『G筆まん吉』というタイトルをずっと覚えているんです。
 
樫本:ありがとう! 当時は審査の進捗が発表されてね、第1次通過、第2次通過みたいに。
 
吉もと:えっ、すごい。それはコロコロ本誌で?
 
樫本:そうです。自分の名前が残ってると、すごく嬉しくかった。
 
吉もと:ドキドキしません? まだ(自分の作品が)ある! みたいな。
 
樫本:そうそう。よし、いよいよ来月最後の審査だ~! と、一喜一憂してました。
 


▲月刊コロコロコミック昭和62年1月号で「第12回藤子不二雄賞」の結果が発表。樫本先生が19歳の頃に描いた『G筆まん吉』が見事佳作に!

 
――当時は「新人コミック大賞」の進捗を随時コロコロで掲載していました。
樫本:たしかに受賞作が本誌や別冊、増刊にも必ず載っていましたね。
 
吉もと:すごい……けど、恐ろしい。僕の作品が載らなくて良かった……。
 
樫本:いやいや(笑)。でも、作品が掲載されているとやっぱり嬉しかったですよ。
 
吉もと:それがですね……受賞作がまとめられた小冊子を読んだとき、自分の作品だけ、絵もストーリー展開もすごく下手くそで落ち込んだんです。喜んだというよりも、「ヤバイ、相当気合を入れないとまずいぞ」と思いました。僕はすごくネガティブなので、劣等感でいっぱいだったのを覚えています。
 
樫本:へぇ~。意外だね。
 
吉もと:だから僕が受賞したときよりも、樫本先生が受賞したときのほうが強烈に覚えてますよ。
 
樫本:僕としては、吉もとさんが受賞したときのメンツがめちゃくちゃすごかったというのは覚えています。滅多に出ない大賞を取った井上桃太先生(代表作『パズドラ』など)はもちろん、萬屋不死身之介先生(代表作『まんがで!にゃんこ大戦争』など)の作品など佳作は5作品もある。ということは、受賞者の同期が吉もとさんを含めて6人いるわけだ。互いに仲良くしているの?
 
吉もと:ほどよい関係性ですね。頻繁に飲みに行ったりはしないですけど、僕は結構励まされるところがあるんです。みんな頑張っているんだと思って。
 
樫本:なるほど。よく「同期が~」という話を聞くけど、僕はそういうのがまったくないから羨ましい(笑)。
 
吉もと:人にライバル心を強く燃やすタイプの作家さんは、コロコロにはあまり多くない印象があります。
 
樫本:それはあるかもね。
 
吉もと:むぎわらしんたろう先生(代表作『ドラベース』など)や沢田ユキオ先生(代表作『スーパーマリオくん』など)のような雲の上の存在という人でも、皆さん穏やかで話しやすいです。
 
樫本:そうだね。コロコロのレジェンドとも言える、のむらしんぼ先生(代表作『つるピカハゲ丸』など)も気さくな方ですし。
 


▲コロコロオンラインの新年特別企画「新春レジェンド作家対談」で登場した、のむらしんぼ先生!

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