By まつがん
さて、前回は皆さんにカードの能力を予想してもらったわけだが、まずは正解を発表することとしよう。
それが、こちらのカードだ!
タダ出しできるビートジョッキーだと……?
自分の《U・S・A・AIDORU》が既に出ている状態でなく、かつ自分の進化クリーチャーが破壊された場合ということで、タダ出しのタイミングはかなり限定されるものの、それでも面白い効果であることは間違いない。
というわけで、6月25日(土) に発売予定の王来MAX最終弾「切札!マスターCRYMAX!!」に収録される新カード、《U・S・A・AIDORU》。このカードを使ってどのようなデッキを組むべきか。
それを考えるにあたっては、「どんなタイミングで《U・S・A・AIDORU》が出たら強いのか」ということについて考える必要がある。こうした既存の基盤が使えない珍しい効果を持つカードの場合は、実際に活躍して欲しいシチュエーションからデッキ構造を逆算するのだ。
自分の進化クリーチャーが破壊されているということは、通常は相手のクリーチャーとのバトルや相手の除去によるものだろう。ということは、相手のターンである可能性が高い。しかし、相手のターンに《U・S・A・AIDORU》がタダで出てもスピードアタッカーが生かせないのであまり強くはないことに気づくだろう。
だがその一方で、スピードアタッカー持ちを自分のターンの攻撃ステップ中に出せるならかなり強力であることは《龍装者 バルチュリス》が既に証明している。
デュエル・マスターズはダイレクトアタック要員を確保するのが難しいゲームだ。1枚目のシールドをブレイクするクリーチャーには低いリスクしかないが、それ以降ブレイク枚数が増えるたびにリスクが上がっていき、最後のダイレクトアタック要員はS・トリガー5枚分の脅威に晒される。
まして何てことのないカードにG・ストライクが付いていたりする今日この頃では、十分な打点を用意したと思っても攻撃が止まってしまうことはままある。《龍装者 バルチュリス》は攻撃の直前まで手札にいるため、そうしたリスクを限りなく減らせるカードだった。
《U・S・A・AIDORU》にも、そうした役割を期待できないだろうか?
すなわち、ダイレクトアタックの直前まで安全な手札で待機していて、5枚目のシールドを割ってS・トリガーが解決した後にいきなりバトルゾーンに着地してダイレクトアタックを決める……そんな役割を。
しかし《U・S・A・AIDORU》を着地させるには、進化クリーチャーが破壊される必要がある。最後のシールドをブレイクしてそのS・トリガーがたとえば《デーモン・ハンド》なら確かに破壊に反応して《U・S・A・AIDORU》が出せるかもしれないが、そもそも《デーモン・ハンド》をどこに当てるか、いやそもそも唱えるかどうかすら対戦相手の意思に依存しており、カードプールに《U・S・A・AIDORU》が存在することを知っていてダイレクトアタック要員がいない状況ならばあえて《デーモン・ハンド》を唱えないといったことすら考えられる。
対戦相手に依存するようでは一発ネタにしかならない。だから必要なのは、能動的に進化クリーチャーを破壊できる手段だ。しかもその破壊は相手のS・トリガーの解決後である必要がある。
そんな都合の良い条件を満たすカードがデュエル・マスターズのカードプールにまさか存在するはずも……あった。
攻撃の終わりに破壊されるスター進化と組み合わせればいいのでは???🤔🤔🤔
《ビシャモンス <ハンニバル.Star>》は3コストと軽いT・ブレイカーである代わりに、毎ターン攻撃させるには絶えず墓地を供給する必要があるというデメリットを持ったクリーチャーである。ただ墓地がなくても1回は殴れるので、鉄砲玉として運用することができる点に特徴がある。
また、《ゴルドーザ <ドラギリア.Star>》は攻撃時にW・ブレイクかT・ブレイクかを選べる能力を持っており、後者を選ぶと攻撃の終わりに破壊されることになる。
これらのクリーチャーを使えば、3~5枚目のシールドをブレイクしてそのS・トリガーが発動した後に《U・S・A・AIDORU》を着地させることが可能となるのだ。
ではこの動きをコンセプトにするとして、あと足りないものといえば何だろうか?
これについては、デュエル・マスターズは基本的に6打点を作れば勝利できるゲームである。そしてその6打点のうち、ダイレクトアタックは《龍装者 バルチュリス》もしくは《U・S・A・AIDORU》が、ダイレクトアタック直前のT・ブレイクは《ビシャモンス <ハンニバル.Star>》または《ゴルドーザ <ドラギリア.Star>》が担うことを考えると、《龍装者 バルチュリス》の条件を満たすためにも必然的に一度目のアタックでW・ブレイクできるクリーチャーが必要という結論が逆算によって導かれる。
さらに現代デュエル・マスターズのスピード感からすると遅くとも4ターン目にはダイレクトアタックを決めたいため、《ビシャモンス <ハンニバル.Star>》または《ゴルドーザ <ドラギリア.Star>》を召喚するのは4ターン目ということになる。ならばそのW・ブレイクできるクリーチャーは、3ターン目までに召喚している必要があるということにやはり逆算によってなる。
つまり求められているのは「3マナで火か闇の無条件W・ブレイカー」という条件を満たすクリーチャーだ。
《殺意の悪魔龍 マガンド》は攻撃時に強制でシールドを回収しなければならない代わりに3マナのW・ブレイカーというスペックのバフを受けたクリーチャーだが、このデッキならば《殺意の悪魔龍 マガンド》が最初に攻撃する際にシールドから《龍装者 バルチュリス》もしくは《U・S・A・AIDORU》を回収できるチャンスが増えるのでむしろメリットとして扱える。
《チョトツ変怪》は猪突猛進で可愛い。
さてここまでを踏まえてさらに逆算すると、3ターン目に出した《殺意の悪魔龍 マガンド》や《チョトツ変怪》をバトルゾーンに維持したまま4ターン目に《ビシャモンス <ハンニバル.Star>》または《ゴルドーザ <ドラギリア.Star>》をスター進化させるためには、2ターン目に《ビシャモンス <ハンニバル.Star>》と《ゴルドーザ <ドラギリア.Star>》のいずれにも進化できるクリーチャーをあらかじめ出しておく必要があることがわかる。
しかも《ビシャモンス <ハンニバル.Star>》の方ならいいが《ゴルドーザ <ドラギリア.Star>》は5マナなのでそのままだと4ターン目には出せないため、その2マナ域は火のクリーチャーの召喚コストを下げられる能力を持っていなければならない。
そのような条件を満たすのは《Re:奪取 トップギア》と《虹彩奪取 ブラッドギア》だけだ。
ここまでで気づけば「2ターン目の行動8枚」「3ターン目の行動8枚」「4ターン目の行動8枚」「ダイレクトアタック要員8枚」が埋まっているので、あとは足りないパーツを埋めるだけである。
2マナ域が8枚だと足りないが、《Re:奪取 トップギア》と《虹彩奪取 ブラッドギア》の代わりになるものは存在しないので、相手の動きを遅らせつつ進化元となる《凶鬼77号 ビムナム》をやむなく採用することにしよう。
最後に、受けの要素が《Re:奪取 トップギア》だけだと薄いので、最も優秀なS・トリガーを4枚採用することにする。これくらい攻めっ気が強いデッキだと《終末の時計 ザ・クロック》や《閃光の守護者ホーリー》などの一発逆転系が欲しいが、火か闇である必要があるのでそれらは採用できない。それは仕方がないので、現状ほとんどいかなるトリガー封じでも止めることができない《ヴィオラの黒像》を積むことにして完成だ。
というわけで、「《U・S・A・AIDORU》によるダイレクトアタック」というシチュエーションの想定からすべてを逆算してできあがったのがこちらの「ビシャモンス・アイドル」だ!
『ビシャモンス・アイドル』
4 | 《Re:奪取 トップギア》 |
《虹彩奪取 ブラッドギア》 | |
4 | 《凶鬼77号 ビムナム》 |
《殺意の悪魔龍 マガンド》 | |
4 | 《チョトツ変怪》 |
4 | 《ビシャモンス <ハンニバル.Star>》 |
4 | 《ゴルドーザ <ドラギリア.Star>》 |
4 | 《U・S・A・AIDORU》 |
4 | 《龍装者 バルチュリス》 |
4 | 《ヴィオラの黒像》 |
このデッキが実際にどんな動きをするのか気になる方は、以下の動画で確かめてみて欲しい。
さて、いかがだっただろうか。
《U・S・A・AIDORU》が収録されている王来MAX最終弾「切札!マスターCRYMAX!!」は、6月25日(土) に発売予定だ。
また、コロコロコミック6月号ではデュエル・マスターズの原作コミックが読めるほか、デュエマに関する激アツな最新情報も色々と掲載されているので、ぜひとも手に取ってみていただきたい。
ではまた次回!
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。
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