世の中にあるホビーやゲームの仕事を紹介する「コロコロお仕事図鑑」! その記念すべき第1弾に登場してくれるのが、コロコロと親交の深いレゴ社だ!! デンマーク本社のデザイナーやブロック開発の担当者、レゴ®認定プロビルダーの三井淳平さんなど、5名のインタビューを掲載していくぞ! みんなは、こうしてレゴブロックに携わる大人になった! 参考にしてくれよな!!
プロフィール
鈴木淳也(すずき・じゅんや)
レゴ社のシニアデザイナー。東洋美術学校卒業。2000年代初頭にレゴグループに入社。さまざまなレゴ製品ラインのスケッチやデザインを手掛ける。2013年、レゴ社のデンマーク本社に入社。レゴブロックのコアパーツから、「レゴ®スーパーヒーローズ」セットのクールなメカスーツまで、あらゆるデザインを手がけている。
おもちゃが趣味だった少年時代を経て
――鈴木さんとレゴブロックとの出会いについて教えてください!
たぶん、7・8歳の頃だったと思います。僕が子どもの頃は、まだあまりおもちゃ店にレゴブロックが並んでいなくて、デパートに行ってやっと見つかる感じでした。海賊シリーズ、お城シリーズ、宇宙シリーズなどを買って、クオリティの高さに驚いたのを覚えています。まず、プラスチックの質が違うんですよ。パーツをはめる時の感触が、すごく気持ちいい。あとは、他のレゴシリーズと組み合わせて遊べる拡張性にも惹かれました。買うほど、できることが増えていくんです。おもちゃが趣味の少年だったので、レゴブロックは小・中・高とずっと買っていました。
――おもちゃ好きが高じて、東洋美術学校を卒業後は、おもちゃの企画開発をするデザイン事務所に就職したと聞いています!
はい、そこに5年ほど勤めていた頃、レゴジャパンの企画開発部門が採用募集しているのを知って、応募しました。採用が決まった時は、夢のような心境でした。
――レゴジャパンでは、どのような仕事をしていたのですか!?
一つ具体例を出すと、「レゴ®ニンジャゴー」というシリーズは、自分たちの企画から生まれたシリーズです。でも、あとはほとんどが企画の段階で止まっていたかな(苦笑)。企画って、8割は途中で消えていくんですよ。商品になるのは、残りの2割だけ。その分、スケッチはたくさん書きましたよ。コロコロオンラインさんで特別にお見せしますね。
――ええっ、やったーーー!! ありがとうございます! 鈴木さんはそこからデンマークのレゴ社のデザイナーになったわけですが、デンマークに行くにあたって、不安はありませんでしたか?
日本にいた頃から、1ヶ月単位でデンマーク本社に出張する機会があったので、どんな生活を送るかの想像はできていました。なので、不安は特別ありませんでした。あとは、デンマークの人って、日本同様に和(※協力し合う気持ち)を大事にするところがあるので。大体の人がデンマーク語のほかにも英語を話せるので不便はないですね。ただ、寒いです。とにかく寒いですね。
――デンマークの本社に勤めるようになってからは、どんな商品のデザインをしているのですか!?
「レゴ スーパー・ヒーローズ」という、キャプテンアメリカやアイアンマンが登場するシリーズを手掛けています。あとは、「レゴ®ニンジャゴー」「レゴ®チーマ」「レゴ®ネックスナイツ」などです。自分はロボットが大好きなので……たとえば、こういうものをつくっています。
――おお〜、かっこいい!! 日本的なスタイルのロボットですね。
そうなんです、自分は幼少期からガンダム、マクロス、トランスフォーマーといったロボットアニメが好きで、少なからず影響を受けていると思います。ただ、デンマークの本社には40ヶ国以上の国籍の人が働いているのですが、日本的なスタイルのロボットデザインを提案すると少し引いてしまうんですよね。やっぱり、海外の人の考えるロボットって、もっと重厚感があるというか。
ーーああ〜、ハルクバスターみたいな。でも、鈴木さんが今見せてくださったロボットシリーズは大変好調と聞いていますよ!
はい、ありがたいことに。やっぱり、どの国の子どももロボットが好きなんですよ。お陰で、自分は今、ロボット関連のデザインばかりしています。
世界中の子どもたちを驚かせたい
――でも、日本のスタイルのロボットをレゴブロックでつくるのって、強度面などの工夫が必要そうですよね。商品デザインをする上で、どのような点がポイントになるのでしょうか!?
遊んでも簡単には壊れない、という点は全てのデザイナーが気をつけているところです。商品テストの際には、子どもたちに遊んでもらって、どこが壊れやすいかなどのチェックを重ねて商品開発に生かしているんですよ。やっぱり、一番はいかに子どもにストレスなく遊んでもらえるか、です。組み立てやすさ、壊れにくさ、なども気を遣っているポイントです。組み立て時にカラフルなブロックを使うことでパーツを見つけやすくする、などもデザイナーの仕事なんですよ。
――プロの仕事だなあ〜! この記事を読んで、レゴ社のデザイナーに憧れる人もいると思うのですが、何かアドバイスがあればお願いします!
まずは英語です。自分も日常会話ができる程度ですが、自分の考えを伝える手段として最も大切なツールです。あとは、そうですね。「これをやるといいよ」というのは、逆に決めないほうがいいのかなと思っていて。可能性を狭めてしまう気がするんですね。例えば3D.CADを昔は使っていましたけど、今は、自分は使っていなかったり。時代によって、必要なスキルって変わっていくと思うんですよ。
――なるほど〜。そういう意味では、英語以外にも普遍的なものってありますか!?
スケッチです。手で絵を描くっていうのは、すごく大事です。絵が上手じゃなくてもいいので、自分の伝えたいことを的確に絵に表すことができるようになると、いいと思います。
――みんな聞いたか!? まずは英語とスケッチだ! あとは、鈴木さんがこの仕事をしていて良かった、と感じる瞬間はどんな時ですか!?
やっぱり、自分たちが手掛けた商品を子どもに手に取ってもらった時です。おもちゃ店に行って、子どもがどんな商品を手に取るか、や、体験コーナーで遊んでいるところを見るのが好きで。先ほどお見せしたロボットがお店の棚から無くなっているのを見ると、うれしい気持ちになります。
――最後に、これから、レゴ社のデザイナーとしてやっていきたいことを教えてください!
自分にも8歳の息子がいて、学校の友だちと一緒に家でレゴブロックで遊んでいるのを見るのが好きで。自分が子どもの頃にレゴブロックで遊んで感銘を受けたように、そのおもしろさ・楽しさを世界中の子どもたちに商品を通して伝えていければと思います。レゴブロックでの遊び方は自由。説明書通りにつくっても楽しめますし、とことん自由につくってもいい。その懐の広さが好きですね。これから、もっと、もっと、世界中の子どもたちを驚かせていけたらいいなあ、と思っています。
■レゴ社ホームページ
https://www.lego.com/ja-jp