伝統を守る者
『あつ森』の島で暮らす上での最大の楽しみは、住民たちとのコミュニケーションにあると思う。
他愛のない日常のあいさつから、
ときにはお遣いや物々交換を頼まれたり。
そこはかとなく漂う“本当に島で暮らしている感”を住民たちが後押ししてくれるので、俺などは道行くどうぶつを見掛けるたびに、
幾度となくシツコく「ねえねえ!!^^」と接近していってしまうのだ。
ウチの(リアルな)ご近所さんに、動いている生物を見たら誰彼かまわずグイグイと話し掛けて長時間の井戸端会議をおっぱじめる、Fさんというバアさんがいる。その対象は、基本的にぶっきらぼうな隣人である俺はもちろんのこと、外壁塗装の飛び込み営業の若手職人とか、住所がわからなくて迷い込んできた宅配の兄ちゃんとかとか、初エンカウントとなる人物でも分け隔てがない。
先日も、
「あらやだ。塗装? ウチは間に合っているんだけど、このへんけっこうボロ家が多いので、ノッてきそうな家を教えてあげるわよww ホラ、たとえば向かいの大塚さんちなんてどーお?? ボロいわよぉwww」
なんて言って、自分のワールドに引きずり込んで話し込んでいるのだ。くどいようだが、初対面の飛び込み営業の職人さんに、だぞ(マジです)。
まあ、その会話を自宅に潜んで聞き耳を立てて視聴している俺も十分気持ち悪いけど、『あつ森』の島でどうぶつを見るたびに、
「ねえねえ!!!」
をくり返している俺は、これ(距離感ゼロのFさんと、耳をそばだてている俺なw)とカブるものを感じさせる。三つ子の魂百まで……じゃないけど、どこにいってもやることはいっしょなんだなぁ……と(苦笑)。
さて、そうやってどうぶつとの出会いを求めて島を彷徨っていると、ときにカーテンが開いていて、屋根の煙突から煙をプカプカと出している家に行き当たることがある。
そうこれ、在宅の印。
その家の住民がひとりで(もしくは来客と2名で)部屋の中にいることを示しているので、俺はそれを見るや、
「お!!ww 家にいる!! お呼ばれしていこ^^」
ってんで、ズカズカと上がり込むことにしているのだ。
人間社会における、
「近くに立ち寄られた際は、ぜひご遠慮なく我が家にお越しくださいね!」
↑これはバリバリ120%の社交辞令だが、『あつ森』での煙プカプカは、
「ホントに入っていいよ!」
の合図なので遠慮しちゃいけないのである。
そしてその日、ルナステラ島の最古参であるヒノコの家に入っていくと、彼女は……。
お? ヒノコ、今日はDIYをしているのかー。
これも、『あつ森』では定番の風景のひとつだな。
この状態のどうぶつに話し掛けると、いま作っているもののレシピをプレゼントしてくれるので、まだDIYできるものが少ないゲーム序盤のプレイヤーにはありがたいイベントなんだよなー。
とはいえ、俺は1年半以上毎日プレイしているので、どうぶつからもらうレシピの99%は“習得済み”。このときも、
ヒノコは“アイアンなドアプレート”を作っていたのだが、とっくの昔に覚えたものだったので、もらったレシピカードは紙くずになってしまったのでした^^;
そして、翌日--。
再びヒノコの家の前にやって来ると……おお。今日も在宅中か!!
しかも、
家に入るとまたもや、ヒノコは一心不乱にトンカチを振り回して、何やらDIYで作っているようだった。
在宅中のどうぶつがDIYしているのって、なんとなくの感覚で“持ち回り制”になっているような気がしていたけど、今回は2日続けてヒノコが担当だったw これは、ちょっと珍しい気がしたねw
ではでは、昨日はアイアンなドアプレートを作っていたけど、今日は何を制作しているのかな?
話し掛けてみたところ……なんと……!
……ん??
アイアンなドアプレートって……前日も、それ作っていたじゃんヒノコ!!!ww そ、その証拠に、俺の持ち物に……!!
アイアンなドアプレートが、ひとーつ……!
ア、アイアンなドアプレートが……ふたーつ……!!
……って、やっぱり同じものやぁぁぁあああ!!!
え。
ま、待てよ……。
俺が昨日、ヒノコに話し掛けてから25時間ほどが経過している。その前後で、作っているものが同じということは……彼女は!!!
「ヒノコ、丸1日以上ぶっ続けで、ひたすらアイアンなドアプレートを作り続けてるぅぅぅううう!!?(((( ;゚Д゚))) ななな、なんで同じものを延々と……!(((( ;゚Д゚))) アイアンなドアプレートに、いったい何が……???」
同じものだけを作り続けるヒノコに職人としてのプライドを感じながらも、どこか……空恐ろしさを感じずにはいられない出来事でした……w
続く。
1年前の今日は?
せっかく丸1年、1日たりとも欠かさずにプレイしているので新企画“1年前の今日は?”と題して、“昨年の今日のスクショ”を1枚掲載していこうと思います!
ちょうど1年前、2020年9月22日の様子は↓こちらです。
ももこの長台詞を、ぼんやりと右から左へ聞き流しているところ……w
大塚 角満
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。
『あつまれ どうぶつの森』公式サイト:
https://www.nintendo.co.jp/switch/acbaa/index.html
※ゲーム画面はNintendo Swicthソフト『あつまれ どうぶつの森』のものです。
© 2020 Nintendo