By ドブフクロウ
みなさんこんにちは。MtGライターのドブフクロウです。
さて、先日かねてより告知されていたスタンダード(+ヒストリック)の禁止改定と「相棒」ルールの変更が発表されました。
【お知らせ】 2020年6月1日発表の、禁止・制限カードの告知、ルールの変更をお伝えいたします。「相棒」メカニズムに関するルールと、スタンダード、ヒストリックに変更があります。変更に関する判断と見解についてお知らせいたします。 https://t.co/e1GyzwGdjF #mtgjp
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) June 1, 2020
変更内容を要約すると
- スタンダードで《創案の火》《裏切りの工作員》が禁止
- ヒストリックで《創案の火》《裏切りの工作員》が一時停止
- 「相棒」のルール変更。ソーサリータイミングで(3)を支払うことで、「相棒」をサイドボードから手札に加えることができる。
と、かなり大規模な変更が行われました。特に「相棒」のルール変更は衝撃的で、事実上大幅な弱体化を受けることとなりました。今後は「相棒:ザ・ギャザリング」などと呼ばれる機会も少し減りそうですね。
ところで、実はvol.59以降、当連載では「相棒」を使用したデッキの話しかしていません。わずか1ヶ月半ほどの間でしたが、あらゆるフォーマットで大暴れし、マジックというゲームの根本を塗り替えた「相棒」というメカニズムは未来永劫語り継がれることでしょう。
また、《創案の火》と《裏切りの工作員》も禁止されました。《創案の火》はカードプールが広がるごとに強化されていくタイプのカードなので、禁止されるのも納得です。また、《裏切りの工作員》も《銅纏いののけ者、ルーカ》を使用したデッキの台頭により禁止を受けた形です。正直、《銅纏いののけ者、ルーカ》から最速で《裏切りの工作員》に繋げられるとゲームにならなかったですからね。
ただ、個人的な話になりますが、《創案の火》はお気に入りのカードだったので少し寂しいです。この連載でも何度も「○○ファイアーズ」デッキを取り上げてきましたが、今後はモダンなど下の環境でデッキが誕生する日を待つとしましょう。
さて、そんなこんなでこれからは全フォーマットが事実上の新環境に突入することになりそうです。今回は、スタンダードの新環境の注目デッキをご紹介していきます。
STANDARD CHALLENGE on May 31, 2020
ほぼ全フォーマットで活躍を見せていた「相棒」ですが、使用に際して構築に制限を受けることになってしまう都合上、「相棒」を使用できないデッキももちろんありました。そうしたデッキの多くは淘汰されるか、「相棒」を採用できるように構築が変化していったのですが、中には「相棒」なしでも「相棒」デッキと五角以上に立ち回れるデッキも少数ながら存在しています。
今回ご紹介するデッキは、そんな「相棒」なしでも強力なデッキです。スタンダードらしからぬド派手な動きが魅力のジャンド《ボーラスの城塞》デッキを見ていきましょう。
ジャンド《ボーラスの城塞》(使用者:ruin000選手) | |
---|---|
枚数 | カード名(メインボード) |
4 | 《血の墓所》 |
1 | 《ロークスワイン城》 |
4 | 《寓話の小道》 |
3 | 《森》 |
1 | 《山》 |
4 | 《草むした墓》 |
4 | 《踏み鳴らされる地》 |
3 | 《沼》 |
4 | 《大釜の使い魔》 |
4 | 《金のガチョウ》 |
1 | 《フェイに呪われた王、コルヴォルド》 |
4 | 《波乱の悪魔》 |
3 | 《忘れられた神々の僧侶》 |
1 | 《夢の巣のルールス》 |
4 | 《悲哀の徘徊者》 |
3 | 《初子さらい》 |
1 | 《移動経路》 |
3 | 《ボーラスの城塞》 |
4 | 《魔女のかまど》 |
4 | 《パンくずの道標》 |
枚数 | カード名(サイドボード) |
2 | 《フェイに呪われた王、コルヴォルド》 |
1 | 《初子さらい》 |
3 | 《強迫》 |
3 | 《エンバレスの盾割り》 |
2 | 《炎の一掃》 |
2 | 《水晶壊し》 |
2 | 《魂標ランタン》 |
こちらはデッキ名にその名を冠する《ボーラスの城塞》をキーカードとした、サクリファイス系デッキの亜種です。サクリファイス系デッキとは、《魔女のかまど》と《大釜の使い魔》のシナジーを主力としたデッキを指します。
赤黒や白黒、黒緑など、様々な色の組み合わせで組まれることがありますが、ジャンドカラーの特徴は、これらのサクリファイス・エンジンに《波乱の悪魔》や《フェイに呪われた王、コルヴォルド》を組み込めることです。これらのカードの存在により、継戦能力と爆発力の両方が高まっています。
元から完成したアーキタイプでしたが、これに《ボーラスの城塞》が加わることでまさしく一撃必殺のコンボが可能となっています。
つい上半分の能力に目を奪われてしまいますが、このデッキにおける《ボーラスの城塞》の真価は一番下の起動型能力。土地でないパーマネントを10個生け贄に捧げることで、対戦相手のライフを10点失わせることができるというものです。
《悲哀の徘徊者》から出てくるヤギトークンや、《魔女のかまど》《パンくずの道標》から出てくる食物トークンなど、このデッキはトークンを並べるのが得意です。それらのトークンを《ボーラスの城塞》の生け贄とすることで、“10点砲”を発射することができます。
また、この能力を使用する際に戦場に《波乱の悪魔》がいれば、10点ライフロス+10枚のパーマネントを生け贄に捧げたことによる10点ダメージが発生し、一気に20点のライフを奪うことができるというわけです。
冗談のようなコンボのようですが、このジャンド《ボーラスの城塞》は現在スタンダードでは非常に人気のあるアーキタイプです。しかも今回の禁止改定や「相棒」ルール変更の影響を受けないため、今後はさらに活躍することが予想されます。
もちろん、これ以外にも「ティムール再生」や「ボロスサイクリング」など、禁止&ルール変更の影響を受けない(あるいは影響が軽微)なデッキもいくつか存在します。今後しばらくはこれらのデッキがメタゲームの中心になっていくことでしょう。来週以降のスタンダード環境が今から楽しみですね。
ライター:ドブフクロウ
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。
MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。
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