ドブフクロウのMtGブレイキングアカデミー vol.50 ~初心者にもオススメ! 漢の赤単で辻斬りしよう~


 
By ドブフクロウ
みなさんこんにちは。MtGライターのドブフクロウです。この連載もついに1周年を迎えることができました。今後ともよしなにお願いします。
 
さて、先週末にはアメリカ・ハワイ州ホノルルにて世界選手権2019が開催されました。2019年に開催されたプロツアーの優勝者や、世界最高峰のトッププロ集団であるMPLプレイヤーの中でもとりわけ上位のプレイヤーなど、プロマジック界の中でも選りすぐりの24名が集まった大会で、名実ともにマジック:ザ・ギャザリングのトップ・オブ・トップを争う戦いです。
 


 
今大会で優勝を収め、賞金の300,000ドル(約3300万円/2月17日時点)を手にしたのは、みなさんご存知ブラジルのMPLプレイヤー、“PV”ことパウロ・ヴィタ―・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosa選手でした。これまでプロツアーで2度の優勝を経験しているPVですが、世界選手権での優勝は今回が初。めでたいですね。ちなみに使用デッキは先週お伝えしたアゾリウス・コントロールでした(もちろんリストは変更点も多いですが)。
 
さて、そんなわけで今回はこの世界選手権のデッキリストを見ていきたいと思います。
 

世界選手権2019

ここ数年の間にプロ制度はいろいろと変更がありましたが、「世界選手権」がマジック界でも最高峰のトーナメントであることは未だ変わりありません。何しろ世界選手権の出場枠はわずか24枠。単純に考えて、世界中のマジックプレイヤーの中でも上から24番目以内に入っていないと出場することさえできないわけですから。出場するだけでも誉れ高い、そんなトーナメントです。
 
そんな世界選手権の中でトップ8に進出し、赤単アグロを華麗に操っていたのがセス・マンスフィールド/Seth Manfield選手でした。今大会では惜しくもダブルエリミネーションのLowerトーナメントの決勝で破れてしまいましたが、今大会を「世界《義賊》選手権」と言わしめた印象深いゲームを見せてくれました。
 

赤単アグロ(使用者:セス・マンフィールド選手)
枚数 カード名(メインボード)
18 《山》
4 《エンバレス城》
4 《熱烈な勇者》
4 《焦がし吐き》
4 《リムロックの騎士》
4 《義賊》
4 《遁走する蒸気族》
4 《鍛冶で鍛えられしアナックス》
4 《砕骨の巨人》
3 《朱地洞の族長、トーブラン》
4 《舞台照らし》
3 《エンバレスの宝剣》
枚数 カード名(サイドボード)
4 《解き放たれた狂戦士》
3 《レッドキャップの乱闘》
4 《溶岩コイル》
1 《実験の狂乱》
2 《炎の侍祭、チャンドラ》
1 《無頼な扇動者、ティボルト》

 
赤単アグロは比較的最近勝ち始めたデッキです。カード自体は『エルドレインの王権』環境時点でもそれなりに数が揃っていたのですが、シミックフードや線の太いミッドレンジデッキが多い環境だったためになかなか勝ちきれずにいました。
 

▲《鍛冶で鍛えられしアナックス》

 
そんな赤単アグロも《王冠泥棒、オーコ》が禁止カードに指定されたことや、《鍛冶で鍛えられしアナックス》という新戦力を手に入れたことで再び環境に返り咲きました。特にこの《アナックス》は非常に強力な1枚で、この手のデッキの弱点だった継戦能力を補うことができ、相手が除去の多いデッキだったとしても攻め手を途切れさせることなく攻めることが可能になります。
 

▲《朱地洞の族長、トーブラン》
▲《エンバレスの宝剣》

 
《アナックス》によって出てくるトークンは1/1と貧弱ですが、それをサポートするのが《朱地洞の族長、トーブラン》と《エンバレスの宝剣》の2枚。特に《トーブラン》はゲームセット級の強さで、1/1のクリーチャーたちも実質3/1相当のスペックになり、横並びすればするほど破壊力を増していきます。《エンバレスの宝剣》によって二段攻撃とトランプルがついたら、一撃で10点以上のダメージを稼ぎ出すこともあります。
 

▲《義賊》

 
また、このデッキを支える強力な2マナ域のクリーチャーとして《義賊》の存在も挙げられます。《義賊》は2/2にメリット能力がわんさか搭載されているスーパークリーチャー。単純に速攻持ちというだけで採用に値しますが、自分の手札が相手よりも少なければアドバンテージを稼ぐこともでき、(めったに活かされることはありませんが)いざというときは到達能力で壁としても働いてくれます。赤は軽量クリーチャーがそれほど強くない色なのですが、この《義賊》は隔世の感がありますね。
 
よく赤単アグロのプレイングは「適当に殴って火力で押し切るだけでしょ? 簡単じゃん」などと言われることもありますが、使ってみると分かる難しさがあり、マジックの基礎力を付けるのに最適です。比較的低レアリティのカードが多いこともあって初心者でも組みやすいデッキに分類されますし(《エンバレスの宝剣》だけはなかなか貴重ですが)、最近マジックを始めた、あるいはこれから始めたいと思っている方にも最適なデッキです。

 

ライター:ドブフクロウ

青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。
MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。

 

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