いまだトップに君臨する奇跡
2012年2月20日に産声を上げた革命的なスマホアプリが、このたび生誕8周年を迎えた。
そのアプリの名は……もちろん、“パズドラ”こと『パズル&ドラゴンズ』だ。このコロコロオンラインでも連載を持たせてもらっているが、俺はパズドラがリリースされた直後から“熱血パズドラ部”というプレイ日記の連載を開始し、それは現在も続いていて、なんと8周年を迎えるその日に“連載1000回”に到達しようとしている。……“しようとしている”と、奥歯に物が挟まったような微妙な書き方をしているのは、2月19日現在で記事本数は997で、あと3本書かないと1000に到達しないから(汗)。正直、このコラムも1本にカウントしたいくらいテンパっているのである。
いやしかし、8年ですよ皆さん。
「わーいわーい! 今日から小学生だー! ランドセル、うれしいなー!!」
と、天使のような顔で幸せを振りまいていた小学1年生が、
「んだよ、うっぜーんだよ。たくよォ。ぺっぺっ」
と、あたりにツバを振りまく中学2年生になるほどの年月が経過したのだ。これが驚かずにいられるものか。
パズドラの何がすごいのか
パズドラがゲーム業界に残した功績は、あまりにも大きい。すでにあちこちで語り尽くされてはいるが、そもそも運営型のゲームアプリで8年も続いていることがまずスゴい。しかも……ず~~~~~っとトップランナーで。鳴り物入りでリリースされた新作アプリが半年も続かずに終了していく……という事例が増加の一途をたどる中で、つねに頂点に君臨し続ける息の長さと実力たるや……。もう、
「その偉大さ、筆舌に尽くしがたし!」
と言い捨ててペンを置きたいレベルだ。
そんなパズドラの8周年記念生放送が、2月18日の夜に実施された。
山本プロデューサー以下、おなじみのメンバーによるトークと企画で進行した放送の内容は、ひと言で言い表すなら“質実剛健”といったものではなかったか。驕り高ぶるでなく、ハッタリをかますでもなく、けれんもイヤミもないドストレートな発表のオンパレード。今後も息長く遊んでもらうための、痒い所に手が届くテコ入れの数々は、おそらくプレイを進めるたびに、
「8周年で発表されたこれ、改めてありがたいなwww」
と気づかされるに違いない。この日の放送は、そういうものだった。
以下、個人的に気になった発表をスクショとともに紹介しよう。
モンスターの詳細やら性能について詳しく語りだすとキリがないし、パズドラをやっていない人にとっては、
「……??」
な内容だと思うので、一般的に見ても「なるほど!」と手を叩きたくなるようなモノを抽出したいと思う。
まずは、コレ。
パズドラはチームを作ってダンジョンに潜るゲームなわけだが、モンスターそれぞれにコストが設けられていて、始めたばかりの人だと高コストなモンスターをチームに入れられず宝の持ち腐れになることがある。ま、これはパズドラだけじゃなく、多くのアプリが同様の手法を使っていることだけど(パズドラが作った文化だし)。
この足かせのようなルールを取っ払ってしまおうというのが、上の写真にある“覚醒バッジ・コスト∞”という措置だ。テキストに書かれている通り“覚醒バッジ・コスト∞は全ユーザーが所持した状態になる”とのことなので、たったいまプレイを始めた人でも強力なモンスターでチームを組めるってわけだ。このへんの敷居の下げ方が、パズドラはとてもうまいと思う。
続いてこちら。
今回の放送で発表された新規のコラボは、なんとディズニー。じつは以前、山本プロデューサーと話したときに、「8周年の近辺で、女性が喜ぶようなコラボをひとつ発表できると思います」と聞いていたのだが、まさかディズニーとは! 東京ディズニーランドの年パスを持つディズニーオタクの同僚女性は、この発表を見て、
「今回の放送、これだけで十分や!!」
とコーフンしていたが、まさに運営の狙い通りだったわけだな。
さらに、すでにプレイしている人に向けたサービスも余念がなかった。
毎日、魔法石が“8個or80個”が当たるガチャが配られるというから驚き。実際、本日から始まったので回してみたが、
8個だった(笑)。80個は、そうそう当たらんかなぁ。
この“8大リセット”ってのは、パズドラユーザーにはおなじみのイベント(?)だ。そのランクに達していると特別なガチャが回せるので、みなこの発表を心待ちにしている。
また、モンスター関連でも、
新たなシリーズとなる新キャラが、多数登場するようだ。さらに、
すっかり定着した“ストーリーダンジョン”、第3弾はアンケートの結果で“フェス限ヒロインシリーズ”で作られることになった。ちなみに、第1弾のソニア編、第2弾のオーディン編はワタクシ、大塚角満が世界観・シナリオ担当と務めたが、今回は果たして……?
そしてもちろん、新たなストーリーやモンスターだけでなく、旧モンスターも軒並みパワーアップしている。
パールヴァティーなんて、2012年6月に導入された超古参のモンスターだが、このように定期的に進化が追加されて第一線に戻ってくる。このように“捨てモンスターを作らない”という方針が徹底しているおかげでユーザーの資産(モンスターね)が腐らずに済むし、「この子はいつ強くしてもらえるのかなー!」という未来への楽しみも途切れることがない。こうした運営努力のおかげでファンは安心を得られるし、だからこそ気楽に遊ぶことができる。ゲーム性以上にパズドラが評価されるべきポイントは、このへんにあるのではなかろうか。
大塚角満(おおつか・かどまん)
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。 |