By ドブフクロウ
みなさん、メリークリスマス。MtGライターのドブフクロウです。
昔は指折り数えて楽しみにしていたクリスマスも、大人になってみると仕事納めやら忘年会やらでバタバタと忙しかったりしてあんまり浮かれてる場合じゃないのマジ師走の候って感じですよね。みなさまにおかれましては、今夜はどのようにお過ごしになられますか? 僕は普通に仕事です。ドブフクロウはかなしからずや空の青~……。
マジック的にも、クリスマスには冬の新セットの目玉カードが公開されるなど、ちょっとしたサプライズが行われることもあります(例:『運命再編』の《精霊龍、ウギン》など)。今年でいうと、冬の新セットは『テーロス還魂記』ですね。そんなわけで、今年も興味深いカードが公開されていたようです。
You’re not supposed to escape your fate. #MTGTheros pic.twitter.com/HGu82grFzP
— MTG Arena (@MTG_Arena) December 24, 2019
本日MTGアリーナの公式Twitterアカウントから公開されたのは、『テーロス還魂記』に収録される赤緑の神。モダン、レガシーで禁止カードに指定されている《死儀礼のシャーマン》を調整したかのような能力で、なかなか悪くなさそうです。ついでに赤緑というカラーもクリスマスを彷彿させるカラーリングですね。開発部からマジックファンへのちょっとしたクリスマスプレゼントといったところでしょうか?
と、新カードの情報をお伝えしたところでそろそろデッキ紹介に移ろうかと思いますが、今日はせっかくのクリスマス! 少しだけ趣向を変えて、過去のスタンダードのデッキをご紹介したいと思います。
世界選手権2009
今から10年前、イタリアはローマの地で開催された世界選手権2009にて、ローグ戦略(いわゆる地雷デッキ)を愛好するデッキビルダーとして知られるコンリー・ウッズ選手は非常にユニークなデッキを持ち込んだそうな。そのデッキコンセプトとは、3ターン目に7マナのソーサリーを唱えるというもの。具体的には《暴力的な根本原理》を。
『アラーラの断片』~『ゼンディカー』ブロックのスタンダードでそんな動きが実現できたというのだから驚きですが、このデッキの印象深いポイントはもう一つあります。そのデッキ名です。
このデッキは「マジカル・クリスマスランド/Magical Christmas Land」と呼ばれていました。一度聞いたら忘れられないぶっ飛んだデッキ名なので、もしかすると「デッキ名だけは聞いたことある」という方も多いかも知れませんね。いや、しかしマジカル・クリスマスランド……まさに今日という日に紹介するにはぴったりのデッキだと思いませんか?
デッキ名からはデッキの中身が全く想像できませんが、本人は後にこのデッキについて「調整の末に辿り着いたリストで、メタゲーム上の立ち位置も悪くなかった」と振り返っています。果たしてどのようなデッキなのか、さっそくリストを見ていきましょう。
マジカル・クリスマスランド(使用者:コンリー・ウッズ選手) | |
---|---|
枚数 | カード名(メインボード) |
4 | 《野蛮な地》 |
4 | 《新緑の地下墓地》 |
3 | 《沸騰する小湖》 |
1 | 《霧深い雨林》 |
4 | 《森》 |
4 | 《山》 |
3 | 《沼》 |
4 | 《酸のスライム》 |
4 | 《カビのシャンブラー》 |
4 | 《ゴブリンの廃墟飛ばし》 |
4 | 《猛り狂うベイロス》 |
2 | 《堕ちたる者、オブ・ニクシリス》 |
4 | 《水蓮のコブラ》 |
3 | 《終止》 |
4 | 《暴力的な根本原理》 |
4 | 《砕土》 |
4 | 《カルニの心臓の探検》 |
枚数 | カード名(サイドボード) |
4 | 《残酷な根本原理》 |
4 | 《ジャンドの魔除け》 |
3 | 《カルデラの乱暴者》 |
1 | 《終止》 |
2 | 《島》 |
1 | 《沼》 |
さて、この奇妙なデッキ名「マジカル・クリスマスランド」とは、元々は「(コンボデッキが)超理想的なブン回りをすること(≒マジカルでクリスマスな世界なら不可能も可能になる)」といった意味合いで使われる英語圏のスラングだそうです。たとえば「このデッキ本当に回るの?」「回るよ、マジカル・クリスマスランドならね」みたいな感じで使われるそうな。
ここまで聞けば察しがつくかもしれませんが、このデッキはそんなブン回りを目指すデッキです。キーカードは《水蓮のコブラ》で、「上陸」能力によってマナを出すことができるこのクリーチャーを用いることで、以下のようなとんでもない挙動が可能です。
- 2ターン目に《水蓮のコブラ》をプレイする。
- 3ターン目に土地を置かずに《水蓮のコブラ》をプレイする。
- その後フェッチランドをプレイし、起動する。
- 2枚の《水蓮のコブラ》の能力が誘発し、計4マナを得る(残り4マナ)。
- 探してきた土地カードから5マナ目を捻出した後、《砕土》を唱える(残り2マナ)。
- 2枚の基本土地を探し、《水蓮のコブラ》の能力で4マナを得る(残り6マナ)。
- 《砕土》によって探してきた2枚の基本土地からマナを出す(残り8マナ)。
これで3ターン目に《暴力的な根本原理》をプレイ可能。もちろんここまでのブン回りでなくとも、《ゴブリンの廃墟飛ばし》や《カビのシャンブラー》、《酸のスライム》などで対戦相手の土地を破壊してマナを縛ることで優位に立つことが可能です。
ちなみに、デッキのより詳細な解説として、コンリー・ウッズ選手とブライアン・デイヴィッド=マーシャル氏(カバレージチーム)の対談がビデオに残されています。
また、Channel Fireballにも解説記事(※リンク先は外部サイト/英語ページ)もアーカイブされているので、英語の記事を読むのが苦ではない方はぜひ一度読んでみてください。
しかしまぁ《水連のコブラ》、あるいは百歩譲って《カルニの心臓の探検》あたりをキープできなかったら(キープしたとしても除去されてしまったら)かなり厳しい展開になりそうです……うーん、マジカルでクリスマスな世界の住人の方向けのデッキですね。
ライター:ドブフクロウ
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。
MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。
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