By ドブフクロウ
みなさんこんにちは、MtGライターのドブフクロウです。
先週末には、今年最後のミシックチャンピオンシップが開催されました。同時に2019年のMagic Pro League(通称MPL)のレースも幕を閉じることとなり、2020年のMPLプレイヤーが確定しました。
【MC7速報】#MythicChampionshipVII チャンピオンは、ピオトル・グロゴウスキ選手!
初のタイトルと世界選手権の権利、そして賞金10万ドル(約1085万円)を手にしました!おめでとうございます!https://t.co/vWOA2wU8Y6#mtgjp pic.twitter.com/14H6sMYzoP— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) December 9, 2019
今回優勝を収めたのは”カニスター/kanister”のハンドルネームで知られる電脳世界の超強豪プレイヤー、ピオトル・グロゴウスキ/Piotr Głogowski選手です。上にあるツイートに書かれている通り、プレミアイベントでの優勝は同選手にとっては初です。
とはいえ無論ラッキーパンチなどではなく、トップ8入賞は今回含め8回もあるので、今回は悲願のタイトル獲得といったところでしょうか。
また、MPLに選出されていた3名の日本人プレイヤー、佐藤 レイ選手、八十岡 翔太選手、行弘 賢選手の3名も、今回のトーナメントの結果により来季のMPLの続投が確定しています。来年も彼らの活躍から目が離せなくなりそうです。
特に来年からはマジック・eスポーツプログラムも本格始動することとなる(※詳細はこちら/リンク先は外部サイト)ので、競技シーンはより一層の盛り上がりが予想されます。
プロマジックを楽しむコツは、推しの選手を見つけることです。これまであまりプロマジックの観戦などには興味がなかったという方も、この機会にぜひ国内のプロや海外の有名選手などをチェックしてみるとよいかもしれません。
さて、今回はこのミシックチャンピオンシップⅦの結果から、上位に入賞したデッキを見ていきましょう。
ミシックチャンピオンシップⅦ
今回、優勝したピオトル・グロゴウスキが使用していたデッキは、細部は違えど先週お伝えしたジャンドサクリファイスでした。ミシックチャンピオンシップの1週前に優勝デッキを紹介した僕の慧眼すごくないですか?
まぁたまたまタイミングが噛み合ったというだけではありますが、やはりこのデッキは現環境では頭一つ抜けた存在だったようです。
しかし、《王冠泥棒、オーコ》をはじめフード系デッキのパーツが軒並み禁止されたことで、環境は元の多様性を取り戻しつつあります。大きな偏りが生じ、閉塞感のあった環境が激変を迎えたことで、ある意味ではようやく『エルドレインの王権』環境が始まったと言えるかもしれません。
そんなわけで、トップ8には様々なデッキが勝ち進んでいましたが、中でも準優勝を収めたブラッド・ネルソン選手のデッキは個人的にも大好きなデッキなのでご紹介したいところ。というわけで、数カ月ぶり(?)に表舞台に復帰したシミックフラッシュのデッキリストをご覧あれ!
シミックフラッシュ(使用者:ブラッド・ネルソン選手) | |
---|---|
枚数 | カード名(メインボード) |
7 | 《森》 |
7 | 《島》 |
4 | 《繁殖池》 |
4 | 《神秘の神殿》 |
2 | 《ヴァントレス城》 |
2 | 《寓話の小道》 |
3 | 《楽園のドルイド》 |
2 | 《厚かましい借り手》 |
2 | 《ハイドロイド混成体》 |
4 | 《エリマキ神秘家》 |
4 | 《夜群れの伏兵》 |
4 | 《成長のらせん》 |
3 | 《火消し》 |
2 | 《霊気の疾風》 |
1 | 《否認》 |
3 | 《悪意ある妨害》 |
2 | 《神秘の論争》 |
4 | 《世界を揺るがす者、ニッサ》 |
枚数 | カード名(サイドボード) |
2 | 《魔術遠眼鏡》 |
1 | 《霊気の疾風》 |
1 | 《ケンリスの変身》 |
1 | 《否認》 |
4 | 《恋煩いの野獣》 |
2 | 《神秘の論争》 |
1 | 《押し潰す梢》 |
1 | 《ハイドロイド混成体》 |
2 | 《薬術師の眼識》 |
《王冠泥棒、オーコ》が禁止され、青緑カラーを見かける機会も減るかと思いきや、今回のミシックチャンピオンシップの2位には青緑のデッキが入賞を果たしていました。と言っても、こちらは「シミックフラッシュ」と呼ばれるクロックパーミッションデッキで、たまたま色が同じだけのまったく別のデッキですが。
このデッキの成立は『基本セット2020』で《夜群れの伏兵》が出てからです。4マナ4/4と標準的なスタッツに加え、瞬速/Flash能力を持つため隙を生じることなく展開が可能なクリーチャーで、なおかつ一度戦場に降り立てば即除去しないと次々に仲間(狼トークン)を呼ばれ、たちまちのうちに戦場が埋め尽くされていまいます。
他にも多数の瞬速クリーチャーを採用し、打ち消し呪文で脇を固める構築になっているこのデッキは、非常に強力な選択肢としてローテーション後も生き残っていました。最近はゴロス系デッキの隆盛、シミックフードの台頭などに押されて若干影の薄い存在になってしまっていましたが、ライバルたちが続々と禁止カードを出されて弱体化する中、このデッキだけはほぼダメージを受けなかったため、相対的に立ち位置は向上しています。
『エルドレインの王権』のリリースによって得た新戦力はこの《厚かましい借り手》。《分散》相当のバウンス呪文を兼ねる3/1飛行のクロックで、このデッキに非常にマッチした1枚です。特に対戦相手のパーマネントをバウンスする能力が非常に強力で、このデッキが従来苦手としていたクリーチャー除去をこのカードで擬似的にまかなうことができるようになったことで、弱点が補われています。
また、新カードではないもののこのデッキの鍵であるクリーチャーの1つが《エリマキ神秘家》です。打ち消しを兼ねる3/2クロックは「クロックパーミッションをしろ」と言っているかのような性能。このデッキを相手取る際には、4マナが立っているとこの《エリマキ神秘家》か《夜群れの伏兵》かの2択を迫られていることになるケースが多いです。呪文を唱えれば打ち消され、中途半端な呪文を唱えれば《夜群れの伏兵》を安全に着地させることになってしまうという状況ですね。
マジックにおいて、対戦相手に理不尽な選択を迫るデッキは強デッキの条件の一つと言えます。このデッキはまさにそんな理不尽な選択を迫ることのできる最新のデッキです。少し扱いは難しい部類に入るデッキではありますが、興味のある方はぜひ組んでみるとよいでしょう。
※画像はマジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイトより引用しました。引用元URL:
ライター:ドブフクロウ
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。
MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。
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