【MtG】パイオニア新妄想紀行 vol.1 ~パイオニアとは?~

5. 全体除去

単体除去でテンポが取れないのなら全体除去が最強……となりそうなものだが、単純にそうはならないところがまた難しい。

▲《至高の評決》

パイオニアでは4マナで打ててカウンターされない、モダン環境でも採用されている最強クラスの全体除去である《至高の評決》が使える。
 
だがマナベースの項目で述べたとおり友好色はマナ基盤が弱く、またアグロやミッドレンジ側も「機体」やプレインズウォーカー、あるいは《思考囲い》などで対策しているため、一度全体除去で盤面を一掃されたからといって即投了に追い込まれるようなヤワなデッキはそうそう存在していない。
 
とはいえ「信心」系デッキなどパーマネント展開をコンセプトとするデッキが多いのもまた事実ではあるので、全体除去に頼りきった形にするのではなく、たとえばプレインズウォーカーを大目に入れてタップアウト寄りにするなど、他のコンセプトまでの場つなぎとして運用する方がうまくいきそうではある。
 
『青白コントロール』

枚数 カード名(メインボード)
4 《選択》
4 《検閲》
2 《封じ込め》
1 《ドビンの拒否権》
1 《神聖な協力》
1 《アズカンタの探索》
2 《吸収》
3 《時を解す者、テフェリー》
2 《覆いを割く者、ナーセット》
1 《試練に臨むギデオン》
4 《至高の評決》
4 《排斥》
2 《副陽の接近》
3 《時を越えた探索》
5 《島》
3 《平地》
4 《神聖なる泉》
4 《氷河の城砦》
2 《港町》
2 《灌漑農地》
3 《啓蒙の神殿》
2 《変わり谷》
枚数 カード名(サイドボード)
2 《ニクス毛の雄羊》
2 《霊気の疾風》
2 《ドビンの拒否権》
2 《神秘の論争》
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
1 《黎明をもたらす者ライラ》
1 《軽蔑的な一撃》
1 《残骸の漂着》
1 《拘留の宝球》
1 《夢を引き裂く者、アショク》

6. ドロー

パイオニアの軽量ドローは1マナだと《選択》くらいしかなく、2マナ以降でしかもソーサリーとなってしまうことも多いが、その代わりゲーム後半のドローサポートは充実している。

▲《時を越えた探索》
▲《宝船の巡航》

パイオニアは現状競技レベルで《時を越えた探索》が4枚使える唯一のフォーマットである。フェッチランドが禁止されているため、「探査」の本来のポテンシャルを発揮できないというのがその理由であろうが、それでもカードパワーはぶっ壊れている。スタンダード当時触っていなかったプレイヤーはぜひこの脳汁体験を味わってもらいたい。《奔流の機械巨人》でもう一回打つと脳内麻薬でハイになること請け合いである。
 
『グリクシスコントロール』

枚数 カード名(メインボード)
1 《竜使いののけ者》
3 《破滅の龍、ニコル・ボーラス》
3 《奔流の機械巨人》
4 《選択》
4 《致命的な一押し》
2 《中略》
1 《マグマのしぶき》
4 《不許可》
3 《コラガンの命令》
1 《英雄の破滅》
1 《光輝の炎》
2 《ヴラスカの侮辱》
2 《ヒエログリフの輝き》
2 《衰滅》
2 《時を越えた探索》
3 《島》
1 《山》
1 《沼》
4 《血の墓所》
4 《湿った墓》
3 《蒸気孔》
2 《水没した地下墓地》
2 《尖塔断の運河》
3 《寓話の小道》
枚数 カード名(サイドボード)
3 《強迫》
3 《否認》
3 《害悪な掌握》
2 《マグマのしぶき》
2 《漂流自我》
1 《集団的蛮行》
1 《悪性の疫病》

 

同様に《宝船の巡航》も使うことができるが、《時を越えた探索》ほどのインパクトは環境に与えてはいないようである。

▲《スフィンクスの啓示》
▲《荒野の再生》

また、かつてコントロールの一時代を築き上げたドロースペルである《スフィンクスの啓示》も使用可能である。単体で使うにはやや速度不足な感はあるものの、《荒野の再生》と組み合わせるなど、爆発的にマナを生み出す手段との組み合わせによる準コンボパーツとしてなら活躍できそうだ。
 

7. 火力

《稲妻》《溶岩の撃ち込み》《裂け目の稲妻》《焼尽の猛火》といった下環境での主要な火力が軒並み使えないため、パイオニアの火力呪文は別段強力なわけではない。

▲《僧院の速槍》
▲《大歓楽の幻霊》

他方赤のクリーチャーのスペックは、近年のスタンダード環境の多くで赤いデッキが活躍していたことからもわかるように、非常に魅力的なラインナップとなっている。
 
このことから、パイオニア環境での赤いアグロデッキはバーンというよりはスライにあたるような、《密輸人の回転翼機》を安定稼働させられるほどのクリーチャーの頭数を揃えて盤面で勝つことを目的とする形が多い。

▲《僧院の速槍》
▲《粉々》

また、用途は狭いものの《灼熱の血》と《粉々》は刺さるデッキ相手にはバグみたいなテンポをとれるカードなので、少なくともサイドボードには採用しておきたいカードだ。
 
『赤単アグロ』

枚数 カード名(メインボード)
4 《ボーマットの急使》
4 《僧院の速槍》
4 《損魂魔道士》
4 《ギトゥの溶岩走り》
4 《大歓楽の幻霊》
1 《熱烈の神ハゾレト》
4 《乱撃斬》
4 《稲妻の一撃》
4 《密輸人の回転翼機》
4 《舞台照らし》
4 《魔術師の稲妻》
14 《山》
4 《ラムナプの遺跡》
1 《エンバレス城》
枚数 カード名(サイドボード)
4 《灼熱の血》
3 《ゴブリンの鎖回し》
2 《溶岩コイル》
2 《粉々》
2 《実験の狂乱》
1 《熱烈の神ハゾレト》
1 《削剥》

 

8. 土地戦略

パイオニアには《古えの墳墓》から1ターン目に《虚空の杯》を置いてくるデッキや、3ターン目にウルザ地形3種を揃えて《解放された者、カーン》を出してくるような、土地を使って「早いターンに」理不尽オブ理不尽な動きをしてくるデッキは存在しない。
 
ただし、土地を使って「中盤~終盤に」理不尽な動きをしてくるデッキは存在する。

▲《死者の原野》
▲《見捨てられた神々の神殿》

その代表例が《死者の原野》を使ったランプデッキだ。つい最近スタンダードで禁止になった実績を持つこのカードは、多色デッキであっても異なる名前の土地で散らせるほどマナベースに余裕がある下環境では、ミッドレンジやコントロールのフィニッシャーとしてかなり信頼が置けるカードとなっている。
 
また、《見捨てられた神々の神殿》は《精霊龍、ウギン》を土地7枚で唱えることを可能にする。クリーチャーばかりの環境と思って意気揚々と除去コントロールなどを持ち込むとランプに咎められる……そんなメタゲームのバランスの良さがパイオニアの何よりの長所と言えるだろう。
 
『バントランプ』

枚数 カード名(メインボード)
4 《樹上の草食獣》
4 《エルフの再生者》
4 《成長のらせん》
1 《アゾリウスの魔除け》
3 《スフィンクスの啓示》
3 《王冠泥棒、オーコ》
1 《時を解す者、テフェリー》
4 《至高の評決》
1 《残骸の漂着》
4 《約束の刻》
1 《精霊龍、ウギン》
2 《森》
2 《平地》
1 《島》
1 《繁殖池》
1 《神聖なる泉》
1 《寺院の庭》
1 《寓話の小道》
1 《植物の聖域》
1 《氷河の城砦》
1 《内陸の湾港》
1 《陽花弁の木立ち》
1 《伐採地の滝》
1 《灌漑農地》
1 《まばらな木立ち》
1 《啓蒙の神殿》
1 《神秘の神殿》
1 《豊潤の神殿》
1 《花咲く砂地》
1 《茨森の滝》
1 《平穏な入り江》
1 《ヴァントレス城》
4 《死者の原野》
1 《爆発域》
1 《廃墟の地》
1 《屍肉あさりの地》
枚数 カード名(サイドボード)
4 《ニクス毛の雄羊》
2 《不屈の追跡者》
2 《ドビンの拒否権》
2 《安らかなる眠り》
2 《時を解す者、テフェリー》
1 《秋の騎士》
1 《否認》
1 《自然への回帰》

 

『緑単ランプ』

枚数 カード名(メインボード)
4 《樹上の草食獣》
4 《エルフの再生者》
2 《ウルヴェンワルドのハイドラ》
2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
4 《むかしむかし》
4 《次元の歪曲》
4 《ニッサの巡礼》
4 《約束の刻》
4 《残骸の漂着》
4 《約束の刻》
4 《精霊龍、ウギン》
6 《森》
4 《ギャレンブリグ城》
3 《ハシェプのオアシス》
1 《まばらな木立ち》
1 《隠れた茂み》
4 《見捨てられた神々の神殿》
2 《死者の原野》
2 《光輝の泉》
1 《ウギンの聖域》
1 《爆発域》
1 《海門の残骸》
1 《オラーズカの拱門》
1 《ウェストヴェイルの修道院》
枚数 カード名(サイドボード)
3 《自然への回帰》
2 《難題の予見者》
2 《忘却蒔き》
2 《世界を壊すもの》
2 《減衰球》
1 《膨らんだ意識曲げ》
1 《約束された終末、エムラクール》
1 《危険な櫃》
1 《ウギンのきずな》

 

『黒緑ミッドレンジ』

枚数 カード名(メインボード)
4 《金のガチョウ》
4 《エルフの再生者》
4 《不屈の追跡者》
1 《残忍な騎士》
1 《クルフィックスの狩猟者》
4 《思考囲い》
2 《致命的な一押し》
4 《むかしむかし》
4 《突然の衰微》
1 《軍団の最期》
2 《ヴラスカの侮辱》
4 《約束の刻》
3 《森》
2 《沼》
2 《草むした墓》
2 《寓話の小道》
1 《花盛りの湿地》
1 《森林の墓地》
1 《ラノワールの荒原》
1 《風切る泥沼》
1 《疾病の神殿》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
1 《不屈の砂漠》
1 《ハシェプのオアシス》
1 《イフニルの死界》
1 《ギャレンブリグ城》
1 《ロークスワイン城》
4 《死者の原野》
1 《ウェストヴェイルの修道院》
枚数 カード名(サイドボード)
2 《致命的な一押し》
2 《霊気のほころび》
2 《夢を引き裂く者、アショク》
2 《最後の望み、リリアナ》
2 《ムラーサの胎動》
2 《失われた遺産》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《害悪な掌握》
1 《軍団の最期》

 

9. コンボ

パイオニアは「ゼロ」が少ない環境である。

▲《炎樹族の使者》
▲《モックス・アンバー》

ここ最近のスタンダードを通過してきたカードばかりなのだから当然ではあるのだが、《猿人の指導霊》や《捨て身の儀式》のように何もないところからマナを増やしたり、「発掘」のようにただドローを置換しているだけで墓地が増えるようなギミックは存在しない。
 
その結果何が起こるのかというと、コンボデッキであっても必ず「準備→準備→……→始動」という積み上げのロジックからは逃れられないということになる。
 
そして準備が必要ということは、それだけ相手からの干渉の機会が増えるということでもある。ただでさえクリーチャーが強く、コンボデッキにとって猶予が少ない環境にもかかわらず、だ。
 
また、《突然の衰微》や《時を解す者、テフェリー》のように、近年では強力な上に干渉できる範囲が広いカードが多い。たとえエンチャントのように触りづらいパーマネントを使ったコンボだとしても、サイド後にもなればありとあらゆる角度から妨害を受けてしまうのが通常である。

▲《ジェスカイの隆盛》
▲《吹き荒れる潜在能力》
▲《霊気池の驚異》
▲《運命のきずな》

そのためパイオニアにおけるコンボデッキは、何が何でも最速での始動を目指すようなオールインコンボではなく、ある程度のターン経過とリソース交換を前提としたコントロールコンボが主流である。コンボデッキを作る際には、なるべくゲームスピードをコントロールできる要素を持たせるようにした方が良さそうだ。
 
『ネクサスコンボ』

枚数 カード名(メインボード)
4 《選択》
3 《濃霧》
4 《成長のらせん》
3 《検閲》
1 《一瞬》
3 《至高の意志》
4 《ヒエログリフの輝き》
4 《荒野の再生》
2 《伝承の収集者、タミヨウ》
4 《運命のきずな》
4 《時を越えた探索》
5 《森》
4 《島》
4 《繁殖池》
3 《寓話の小道》
2 《伐採地の滝》
4 《ヴァントレス城》
2 《爆発域》
枚数 カード名(サイドボード)
3 《氷の中の存在》
2 《払拭》
2 《否認》
2 《自然への回帰》
2 《威圧の誇示》
2 《膨らんだ意識曲げ》
2 《アズカンタの探索》
1 《濃霧》
1 《王冠泥棒、オーコ》

 

『ジェスカイの隆盛コンボ』

枚数 カード名(メインボード)
4 《森の女人像》
4 《枷はずれな成長》
4 《焦熱の衝動》
3 《選択》
4 《霊気との調和》
4 《巧みな軍略》
2 《予期》
2 《イゼットの魔除け》
4 《ジェスカイの隆盛》
4 《森の目覚め》
2 《至高の評決》
4 《時を越えた探索》
1 《島》
1 《山》
1 《平地》
2 《繁殖池》
2 《踏み鳴らされる地》
2 《寺院の庭》
4 《植物の聖域》
3 《霊気拠点》
2 《マナの合流点》
枚数 カード名(サイドボード)
2 《僧院の導師》
2 《呪文貫き》
2 《軽蔑的な一撃》
2 《光輝の炎》
2 《時を解す者、テフェリー》
2 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
1 《丸焼き》
1 《至高の評決》
1 《摩耗+損耗》

 

『ケシスコンボ』

枚数 カード名(メインボード)
4 《ギラプールの希望》
4 《迷い子、フブルスプ》
4 《精励する発掘者》
4 《万面相、ラザーヴ》
4 《隠された手、ケシス》
3 《湖に潜む者、エムリー》
4 《モックス・アンバー》
4 《むかしむかし》
4 《時を解す者、テフェリー》
3 《王冠泥棒、オーコ》
1 《神秘を操る者、ジェイス》
1 《ウルザの殲滅破》
4 《神聖なる泉》
4 《花盛りの湿地》
4 《植物の聖域》
4 《マナの合流点》
2 《神無き祭殿》
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
枚数 カード名(サイドボード)
4 《致命的な一押し》
3 《思考囲い》
3 《ウルザの殲滅破》
2 《暗殺者の戦利品》
2 《夢を引き裂く者、アショク》
1 《王冠泥棒、オーコ》

さて、パイオニア環境の特徴をざっと見てきたわけだが、いかがだっただろうか。
 
パイオニアは2020年1月31日~2月2日に開催されるマジックフェスト・名古屋2020#1のメインイベント、グランプリ名古屋のフォーマットでもある。すなわちいま一番熱いフォーマットと言っても過言ではないので、興味がある方は始めてみるといいだろう。
 
今回は環境紹介に終始したため、少し長くかつ説明的な記事となってしまったが、次回からは1か月分の大会結果を参考にしつつ、実際にデッキを作っていく形になると思われる (未定)。
 
ではまた次回!

ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。