ドブフクロウのMtGブレイキングアカデミー vol.28 ~新環境を始めるならボロスフェザー~

By ドブフクロウ
 
みなさんこんにちは。MtGライターのドブフクロウです。
 
いよいよ本格的に『エルドレインの王権』のプレビューが開始されました。『バトルボンド』初出の双子のプレインズウォーカー・ウィル&ローアン・ケンリスや、『基本セット2015』以来の登場となるガラクといったプレインズウォーカーも登場しています。

▲《王家の跡継ぎ》
▲《呪われた狩人、ガラク》

《王家の跡継ぎ》は史上初となる2つのプレインズウォーカータイプを持ったプレインズウォーカーです。初期忠誠度5に加えて盤面の状況に応じて使い分けられる2つの[+1]能力は非常に強力で、新環境の青赤系のコントロールデッキで採用される可能性があります。4枚積んだ場合でも1つ目の能力で2枚目以降をディスカードできるので、なかなか便利ですね。
 
《呪われたガラク》も6マナのプレインズウォーカーなだけあってボードアドバンテージを稼ぐ力が高く、2ターン程度生き残るだけでも戦況をひっくり返す力を持っています。どちらも『エルドレインの王権』リリース以降の環境の中心カードになりそうですね。
 
慣例的にはいよいよ来週末に全容が明らかとなるはず。どんなカードがリリースされるか楽しみですが、今回はローテーション後のスタンダード環境でも有力なデッキをご紹介していきましょう。
 

日本選手権2019

『エルドレインの王権』発売とともに、スタンダードでは『基本セット2019』『イクサラン』『イクサランの相克』『ドミナリア』の4セットが使用不可能になり、『ラヴニカのギルド』『ラヴニカの献身』『灯争大戦』『基本セット2020』に加えて『エルドレインの王権』の5セットのみの新環境がスタートになります。
 
これによってスタンダードのカードプールはほぼ半分になり、環境は大きく変化することが予想されます。たとえば現在スタンダード環境のトップメタデッキの一つである「ケシスコンボ」(vol.25参照)などは、キーカードの《モックス・アンバー》や《精励する発掘者》(どちらも『ドミナリア』)などがローテーションによって姿を消すことになるため、環境からは見なくなることでしょう。
 
しかしながら、一部のデッキはほんの少しだけカードを入れ替えるだけでローテーション後も生き残ることが可能です。たとえば先週、東京・立川で開催されていた「日本選手権2019」の上位入賞を果たしていたこのデッキなどは、新環境でも注目のデッキとなりそうです。

ボロスフェザー(使用者:渡邊 崇憲選手)
枚数 カード名(メインボード)
7 《平地》
3 《山》
4 《聖なる鋳造所》
4 《断崖の避難所》
4 《凱旋の神殿》
4 《アダントの先兵》
4 《戦慄衆の秘儀術師》
4 《第10管区の軍団兵》
4 《贖いし者、フェザー》
3 《軍勢の戦親分》
4 《果敢な一撃》
4 《神々の思し召し》
4 《無謀な怒り》
4 《ショック》
2 《戦いの覚悟》
1 《防護の光》
枚数 カード名(サイドボード)
3 《暴れ回るフェロキドン》
2 《啓蒙》
3 《不可解な終焉》
2 《丸焼き》
2 《溶岩コイル》
3 《黒き剣のギデオン》

こちらは新潟の強豪プレイヤー、渡邊 崇憲選手が選んだボロスフェザーというデッキです。渡邊選手は東北~日本海側のマジックプレイヤーが集まるチーム「Onogames」の中心人物で、昨年末に開催された「The Finals 2018」という大型トーナメントの優勝者でもあります。
 
そんなボロスフェザーはその名の通りボロス(白赤)カラーで構築されたデッキで、その名を関する《贖いし者、フェザー》をキーカードとしたアグロデッキです。

▲《贖いし者、フェザー》

能力は文章が長いのでちょっと分かりにくいですが、意味するところは要するに「《フェザー》がいる限り自分のクリーチャーを対象にした呪文は使い放題」ということです。これによって《果敢な一撃》を使いまわして手札を増やしていったり、《神々の思し召し》を使いまわして自分のクリーチャーを守ったり、《戦いの覚悟》を使いまわして盤面を増強したりといった動きが可能です。

▲《果敢な一撃》
▲《神々の思し召し》
▲《戦いの覚悟》

いずれもリミテッドカードっぽさが漂いますが、実際に使ってみると嘘のような強さだったり。デッキに採用されている《第10管区の軍団兵》や《戦慄衆の秘儀術師》といったクリーチャーもこれらのコンバットトリックと相性が良いですし、意外と馬鹿にならないのがおもしろいところです。
 
そして、このデッキのカードはそのほとんどがローテーション後も残ります。もちろん一部のカードはローテーションで姿を消すことになりますが、『エルドレインの王権』で新カードも加わるので、問題はないでしょう。新環境ではボロスフェザーの天下になるのか、あるいは新デッキが活躍することになるのか……今から期待が高まります。

 

ライター:ドブフクロウ

青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。
MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。

次回は9/18(水)更新!!
ドブフクロウのMtGブレイキングアカデミー バックナンバー

vol.1 ~マジックを始めるなら今がチャンス!?~

vol.2 〜世界を制した青単テンポ〜

vol.3 〜モダン坂をのぼりはじめよう〜

vol.4 〜パウパーという名の沼〜

vol.5 〜スタンダード環境についておさらいしよう〜

vol.6〜マジックフェスト・京都2019〜

vol.7〜ミシックインビテーショナル〜

vol.8 〜神保町エゴイスティック〜

vol.9 〜友達をなくす銀の弾丸〜

vol.10 〜《硬化した鱗》親和の恐怖!〜

vol.11 〜『灯争大戦』勃発!〜

vol.12 〜若き王者が帰ってきたッ どこへ行っていたンだッ チャンピオンッッ〜

vol.13 〜生きろ。そなたは美しい〜

『モダンホライゾン』先行カードプレビュー! 〜《捧げ物の魔道士》〜

▲vol.14〜プレインズウォーカーの灯のバーゲンセール〜

▲vol.15〜大きい=強い=かっこいい!〜

▲vol.16 〜モダン界の新たな〜

▲vol.17 〜ずっと俺のターン!!〜

▲ドブフクロウのMtGブレイキグアカデミーvol.18

▲ vol.19 〜「王者のデッキ」の代名詞〜

▲vol.20 〜令和のジュラシック・パーク〜

▲vol.21 〜スタンダードの風景を変容させろ!〜

▲vol.22 〜最高飛行機械職人、ウルザ〜

▲ドブフクロウのMtGブレイキングアカデミー vol.23

▲vol.24 ~機械仕掛けのブルー~

▲vol.25 ~スケシはもう古い!? ナウなトレンドは《ケシス》~

▲vol.26 ~みんなハンマーは持ったな!! 行くぞォ!!~

▲vol.27 ~エルドレイン&エルドラージ~