ゾイド生みの親徳山氏5656万字!?限界ロングインタビュー 第4回

──昔と違ってけっこう写真撮ってもOKな博覧会も増えましたよね。

徳山 そういうの、いいと思います。先日の東京おもちゃショーでね、商品のパーツをライトボックスに入れて展示したんです。あ、この写真なんですけど、もう標本、化石の世界でしたよ。昔の『ゾイド』でも自分の頭の中にあって、商品に発掘とか復元の思いは込めたんだけど、今回はもっとわかりやすくすることができました。
 この演出って、今度の『ゾイド』の、中身を見せるだけじゃなくて、コンセプトで見せられるひとつのやりかたがここにあるような気はしました。昔はジオラマっていう見せ方が新鮮だったと思うんですけど、今回はこういった見せ方があるというのは、すごい広がりますよね。

──たしかにこれはワクワクしますね(笑)。

徳山 僕はね、タカラトミーに戻ってから、『ZOIDS concept art』を描いたんですけど、こういうのをなんで描くかっていうと、『ゾイド』をひとつのIP(※3)として、ひとつの世界観、継承するものっていうのを残して、次の世界に発展させることを目指しているんです。こういう世界観とか設定っていうのは、ほんと細かいものなんで、ジオラマ作るにしても手間がかかるんですよ。
 だから、ジオラマのベースとなるものを絵として描いておけば、またいずれ役に立つかなと思ったんです。今まで出てこなかった、建物とか船団とか小物とかも含めて全部。いわば、映画のプロットみたいなものを、全部描きなおした上で画集にしている感じ。こういった世界観をデザインと一緒に作ることって、結果的にこれもジオラマだってことなんですよね。

──ああ、徳山さんの頭の中にあるジオラマを立体で作るか、絵で描くかの違いでしかないんですね(笑)。

徳山 そうそう、僕の中での「ひとりジオラマ」っていうかね(笑)。だから、『ゾイド』は「動く立体世界」だってことなんですよ。それを構築していくってことは、この作業をしていかなきゃいけない。そういった面では、『ゾイドワイルド』はより発展した延長線上の世界でもあって、『ゾイド』本来のコンセプトにより近い世界にはなってるんじゃないかな、と思います。
 そして、さっきも言ったけど、子供たちが博物館行った時に、より『ゾイド』とくっつくのがすごい楽しみでならないです。今回は大きさもほんと恐竜のサイズに近いし、一番最初にやった『メカボニカ』のサイズにも近いし、ちょうどいいリアリティかなって気がします。だから『ゾイド』は、ここからリブートしていくんじゃないかな、と思っていますね。

※3 IP:Intellectual Propertyの略。知的財産。エンターテインメント業界では、有力な作品タイトルやシリーズ、キャラクターなどを指すことが多い。

徳山 光俊(とくやま みつとし)
『ゾイド』立ち上げに携わったスタッフのひとり。『ゾイドワイルド』ではゾイドのデザイン原案を担当。溢れんばかりの『ゾイド』愛を若い世代に伝えるべく奮闘中。

 

次回は8/11(土)更新!!