2. ボルバルエモ覇道
かくしてデッキ構築は再び暗礁に乗り上げてしまう。《KAMASE-BURN!》はただ他のカードを探せばいいだけの話だが、《勝利宣言 鬼丸「覇」》抜きで追加ターンの価値を高めるとなると……?
……ん?《勝利宣言 鬼丸「覇」》?
ここまで考えて、私はソリューションの存在に気がついた。
《バングリッドX7》で《勝利龍装 クラッシュ”覇道”》をマナからB.A.Dで出せばいいのではないか?
マナゾーンというのはゲーム全体を通じて最もリソースが多いゾーンだ。
しかもこのデッキは《エモG》とチェンジするための《グレープ・ダール》を採用しているので、3〜4枚採用したカードをマナゾーンに狙って落とすことはそう難しいことではない。
となれば頑張って10マナ溜めなくても、「バトルゾーンに《バングリッドX7》がいてマナゾーンに《勝利龍装 クラッシュ”覇道”》を含む8マナがある」という状態を作りさえすれば、その時点でマナにある《勝利龍装 クラッシュ”覇道”》の数だけ追加ターンが得られることがほぼ確定するのだ。
このシナジーは《バングリッドX7》のマナからクリーチャーを出す能力がターン1回制限であることとも噛み合っている。1ターンに1回しかクリーチャーを出せないなら、追加ターンが得られるクリーチャーを出せばいいということだ。
こうして新たにできあがったのがこちらのデッキだ。
『ボルバルエモ覇道』
《タイク・タイソンズ》 | |
《フェアリー・ライフ》 | |
4 | 《メイプル超もみ人》 |
《バングリッドX7》 | |
《グレープ・ダール》 | |
4 | 《ムシ無視のんのん/灰になるほどヒート》 |
4 | 《エモG》 |
4 | 《マン・オブ・すて〜る》 |
4 | 《無双と竜機の伝説》 |
4 | 《勝利龍装 クラッシュ”覇道”》 |
超GRゾーン | |
2 | 《ヤッタレロボ》 |
2 | 《ポクタマたま》 |
2 | 《ゴッド・ガヨンダム》 |
2 | 《パキラキⅡ》 |
2 | 《シャギーⅡ》 |
2 | 《スカップⅢ》 |
さて、このデッキを一人回ししてみて得られた感想は以下のようなものであった。
「あ、もう《無双と竜機の伝説》いらねーわこれ」
ただでさえ多色のカードはタップインでマナが濁る上に、同様の役割を担える《勝利龍装 クラッシュ”覇道”》が既にデッキに搭載されているのである。
あまつさえ《勝利龍装 クラッシュ”覇道”》で得た追加ターンに山札の上から《無双と竜機の伝説》を引こうものなら怒りのあまり脱糞してしまいかねない。
また、《KAMASE-BURN!》の代わりに《マン・オブ・すて〜る》を入れてみたはいいものの、せっかく《バングリッドX7》が入っているのだからクリーチャーのS・トリガーを採用したいという思いもあった。
そんなわけで、《無双と竜機の伝説》と《マン・オブ・すて〜る》のスロットを別のカードで埋めることにしたのである。
3. エモでんでん覇道
さて2スロットの空きができたはいいが、S・トリガーを抜くのだから、まず1スロットはS・トリガーが必要となる。では、どんなS・トリガーが求められているだろうか?
こういった場合、「自分がやろうとしていることは相手もやろうとしてくる」という考え方が役に立つ。
まさか同じように《バングリッドX7》から《勝利龍装 クラッシュ”覇道”》を走らせるデッキと対戦するとは思わないが、単純に《”必駆”蛮触礼亞》から《勝利龍装 クラッシュ”覇道”》を走らせるデッキは環境にも存在している。したがってS・トリガーを入れる必要があるなら、それはなるべく《勝利龍装 クラッシュ”覇道”》を対処できるS・トリガーでなければならないということだ。
とはいえ、デッキの文明が自然+火であるということを考えると選択肢はそう多くはない。火のS・トリガーで《勝利龍装 クラッシュ”覇道”》を対処することはほぼ不可能だからだ。
となれば自然のS・トリガーを採用するということになる。
クリーチャーでS・トリガーで、しかもなるべく手打ちしても強い……そんな無謀とも言える条件でカードを探した私は……しかし、またしても答えにたどり着いたのだ。
《ナ・チュラルゴ・デンジャー/ナチュラル・トラップ》。
このカードはクリーチャー側・呪文側双方がこのデッキにおいて求められる役割を完璧にこなしてくれる。《勝利龍装 クラッシュ”覇道”》を対処できるS・トリガーでありながら、クリーチャー側を出せば《バングリッドX7》や《グレープ・ダール》をマナから出すことができるからだ。
そして《ナ・チュラルゴ・デンジャー/ナチュラル・トラップ》が入るなら、これらのカードもセットだろう。
《超機動罠 デンジャデオン/地獄極楽トラップ黙示録》《龍罠 エスカルデン/マクスカルゴ・トラップ》。
「トラップ」の力を借りることで、ありとあらゆる角度からマナゾーンのクリーチャーを引っ張り出すことが可能となるのだ。
さらに《バングリッドX7》だけでなく《超機動罠 デンジャデオン/地獄極楽トラップ黙示録》までもを搭載したことで、「マナを伸ばす」というアクションに対するリターンが大きくなっている。4枚だけなら《グレープ・ダール》を出し入れしても見つからないかもしれないが、8枚あるならどちらかはマナに落ちてくれるだろう。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ。
『エモでんでん覇道』
《タイク・タイソンズ》 | |
《フェアリー・ライフ》 | |
4 | 《メイプル超もみ人》 |
《バングリッドX7》 | |
《グレープ・ダール》 | |
4 | 《エモG》 |
4 | 《龍罠 エスカルデン/マクスカルゴ・トラップ》 |
4 | 《超機動罠 デンジャデオン/地獄極楽トラップ黙示録》 |
4 | 《ナ・チュラルゴ・デンジャー/ナチュラル・トラップ》 |
4 | 《勝利龍装 クラッシュ”覇道”》 |
超GRゾーン | |
2 | 《ヤッタレロボ》 |
2 | 《ポクタマたま》 |
2 | 《ゴッド・ガヨンダム》 |
2 | 《パキラキⅡ》 |
2 | 《シャギーⅡ》 |
2 | 《スカップⅢ》 |
だが、このデッキを一人回ししてみても「何か違う」という思いが拭えなかった。
確かに《超機動罠 デンジャデオン/地獄極楽トラップ黙示録》はマナゾーンからリソースとして回収できはするのだが、端的に言って「この動きをするなら別のデッキで良くない?」という感じになってしまっているのだ。
AとB、BとCにそれぞれシナジーがあるとき、AとCにもシナジーがあるとは限らない。この場合、もともとのデッキのパッケージがA、《ナ・チュラルゴ・デンジャー/ナチュラル・トラップ》がB、《超機動罠 デンジャデオン/地獄極楽トラップ黙示録》がCにそれぞれ該当していた。
かくして私は、さらにデッキを改造することにしたのだった。