カラマリがさらに強くなるためにはなにが必要?
――なるほど。あとばるさんはそのアドバイスを提示してもらう立場だと思うんですけど、それはチーム内でどう消化していってるのですか?
あとばる:基本的には、さっき槇さんが言ったように議論ですり合わせになってくると思うんですけど、4人とも自分の視点があって、自分の考えがあって動いているので「え? 俺の方が正しいよ」というパターンが多いんですよ。みんな考えなしで行動してるんじゃなくて、ちゃんと理由があって動いているので、どうしても話し合いは平行線になりがちなんですけど、そこを槇さんは俯瞰視点で客観的にチームとしての動きはこれが正解だったというのを提示してくれるので、やっぱりだんだんとチームとしての完成度は上がっていきますね。
ただ、くろすくんとか僕はいつもはキルめの動きをしているので、そこを抑えて動きを合わせていくってのは最初のころは大変でしたね。でも、根底に槇さんの模範解答があったので、たとえばNPBでの–閃華裂光–(東北楽天ゴールデンイーグルス代表)戦のチョウザメ造船で、さっき言っていた「抜けに対して他のチームメイトはちゃんと待って抑える」という動きがしっかりできて勝てたのは、槇さんの指導があってこそかなとは思います。
▲NPB本大会での-閃華裂光-(東北楽天ゴールデンイーグルス代表)戦では、カラマリの2438学園選手が敵陣に抜ける好プレーを見せ、見事に試合に勝利した。
(NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2 本大会1日目4:31:06より引用)
――第三者的というか、プレーヤー以外の視点が入ってそこからのアドバイスをもらえることで、より質の高い議論ができる。
あとばる:そうですね。感覚としては、答えを見ながら問題を解いている感じですね。そこに合わせていくだけなので、話し合いの時間の短縮になるというか、グダグダ話さないので。
――プレーヤー同士だと平行線なんだけど、そこにひとつ違う意見、客観的な意見が入ってくることでわりと受け入れて消化しやすい?
あとばる:そうですね。
――槇さんは現在のカラマリっていうチームをどのように分析していますか?
槇:チャージャー入りの編成の中でも、かなりしっかりと柔軟なフォローと連携のできるチームかなと。プレーヤー同士、お互いが気にかけあえられるといいますか、お互いがお互いのことを完璧に理解できている。そんなチームかなと思っています。弱点とかも言ったほうがいいですか?
――差し支えなければ。弱点というか課題とかですかね。
槇:課題と言いますと、敵を倒す要…つまり火力の軸になっているプレーヤーがちょっと偏っていると思うんですね。つまり、4人とも全員が敵を倒す基礎的な圧力、プレッシャーのかけ方というのをもう一段階増やすと、いま絶対王者になっているGGBOYZにも届きえる。
GGBOYZの強みってまさにそこで、組織力もある上に、1人1人のプレッシャーが半端ないんですね。カラマリの4人も当然強くて、プレッシャーもかなりある方ですが、その絶対王者4人と比べるとまだちょっと足りないかなという印象があるんです。チャージャー入り編成の中ではすごく堅実、連携力で押し上げる力を持っているんですが、もっと相手の戦術、戦略、陣形などを壊していく力ってのを尖らせていくと鬼に金棒なのかなと思っていますね。
▲「スプラトゥーン甲子園」2連覇を成し遂げるなど、「絶対王者」として知られるGGBOYZ。NPBでは福岡ソフトバンクホークス代表として出場。パ・リーグ代表決定戦でカラマリを倒して決勝へ進出するなど、王者らしい強さを見せた。
(NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2 本大会2日目3:27:19より引用)
――なるほど。難しいとは思うんですが、そのためにはどういったことが必要だと思われますか?
槇:ここの部分は……うーん、難しい。でも、ここまで来ると、戦略的にさらにハイレベルなことも必要ですけど、最終的にはやはり己との戦いになってくるのかなと。難しいですけど(笑)。
・前線を上げるプレーヤーは複数のブキを使えないと厳しい!
・カラマリはぴょん選手のチャージャーを固定し、他の3人が柔軟にブキを変える形でチームを強化
・全員の基礎的な圧力、プレッシャーのかけ方のレベルアップがカラマリがさらに上にいくためのポイント
次回は、テルミ選手を擁する横浜DeNAベイスターズの優勝で幕を閉じた「NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2」についてふたりがガチンコ対談!
「横浜の強さはどんなところにあったのか?」を槇氏に徹底分析してもらったぞ。次回もお楽しみに!