この明るさは……新鮮だ!
前回の続き。
チュートリアルの霧の向こうにいたのは、見るも恐ろしい魑魅魍魎でも、身がすくむような黄金のナイトでもなく……!
“ゴドリックの軍兵”なる一般人だった。でも、ここに至るまでの道で出会った敵はすべて、
「あ゛ぁ゛~~……。う゛ぁ゛ぁ゛~~……」
とうめきながらユラユラ揺れているだけの雑兵だったので、ちょっとだけ注意しながら立ち回った。
その結果……!
背後を取っての致命の一撃で、ゴドリックの軍兵粉砕!!
肉弾戦における、俺の基本的な立ち回りは、
“盾を構えてガードしながら敵のまわりをグルグルと回り、背後に到達したと思ったところでR1ボタンで攻撃”
というもので、これでよっぽどのことがない限り致命の一撃を入れることができる。
……まあ困るのが、『Demon’s Souls』でも『DARK SOULS』でも、そしてこの『エルデンリング』でも“よっぽどのこと”がしょっちゅう起こることで(苦笑)、俺の必殺のグルグル作戦も簡単に破られてしまうんだよねぇ……w まあでも、さほど強くないザコや雑兵だったら十二分に通用するので、これを読まれている脳筋ファイターを目指す諸君は、
「そういえば角満が……盾を構えながら敵のまわりをグルグル回るといいって言ってた気がする……!!」
なんてことを、要所で思い出していただければいいと思います。
さて。
チュートリアルの地下生活を無難にこなした俺は、ついにエレベーターに乗って地上までやってきた。
すると……!
いきなり開けた俺の視界と、そこに映るリムグレイブの大パノラマたるや……!!
「うおおおお……!!!」
言葉を失うとは、まさにこのことか……!
かつて松尾芭蕉が、日本三景のひとつである松島の絶景を目の当たりにしたとき、あまりの美しさから言葉を失って、
「松島や ああ松島や 松島や」
こんな句しか読めなかった……という逸話があるけど(そもそも芭蕉が詠んだ句じゃないらしいが)、リムグレイブの美景を眼前にした俺も、つぎのようにつぶやくのが精一杯だった。
「リムグレイブ……ああリムグレイブ……リムグレイブ……」
こんな美しい景色の中で……血で血を洗うような激闘がくり広げられることになるとは、男はこのとき、1ミリも思い至っていなかったのである(ウソです)。
それにしても、『エルデンリング』の世界は美しい。
プレイステーション5版を遊んでいるってのもあるかもしれないけど、ただただ美しさだけを追求した絵作りではなく、なんというか……この世界のために存在する木々や生き物がキチンと描かれている……って感じがするのであるよ。
きっと、俺が子どものころに夢中で読んでいたファンタジー小説は、こんな夢のようなフィールドで物語が紡がれていたんだろうなぁ……。
そんな、浮世離れした草原を、
「わーいわーい^^ 楽しいな^^ 『エルデンリング』楽しいな^^」
と……まだ何も始まっていないのにすっかりこの世界の虜になって、ルンルルルンとスキップをしていたところ……!
お……!!! 妙にかっちょいい騎馬兵が、エラソーにポクポクと散歩している!! その体格を見るに明らかに鈍重そうで、あのウマもきっと、パワーにステータスを全振りした愚鈍なケモノに違いない。
とはいえ、せっかくの牧歌的な雰囲気なのだ。
ヘタに刺激してケンカにでもなったら、俺も悲しいし、相手の鈍重ナイトも本意ではないと思うのである。
「ここは距離を取って、やり過ごしてやるとするか。それがお互いのためだからな」
オトナな態度でそう言うと、俺は草むらに身を潜めようとした。
……したんだけど!!!
「ドガァァァアアアッッ!!!」(ツリーガード)
「!!?!?!?!」
何が彼を怒らせたのか、皆目見当がつかなかったのだが、俺が見つかり、そして俺の存在が彼を激高させてしまったと気づくまでに、さして時間はかからなかった。でも、そのわずかな時間で、愚鈍だと思っていたウマは一気に距離を詰め……!
「あ………………! う、ウマもおっさんも、かっこい……」
俺のつぶやかせる間も与えず……!
ピーーーーーーーーーーーー…………www
いやああああああ!!!! 地上に出てきてわずか2分後に、もうちんだぁぁぁああああ!!!!
こうして、勇者の苦難の旅が始まったのであった……w
続くw
大塚 角満
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。
『ELDEN RING』公式サイト:
https://www.eldenring.jp/
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