トッププレイヤー イカすガチ対談マッチ!!
【あとばる×麻生羽呂 第3回】
あとばる選手×漫画家・麻生先生による対談の第3回目。
今回はトッププレイヤーのメンタルについて語ってもらったぞ。メンタル面を鍛えることが上達するためには必須!? さっそく対談スタートだ!
あとばる
驚異的なエイム力を持つカリスマプレーヤー。「第2回スプラトゥーン甲子園」では、不利な状況から相手を次々と倒す神がかり的なプレーを連発し、優勝に大きく貢献。H3リールガンの名手としても知られ、彼の影響でH3リールガンを使い始めたプレーヤーも多いとか。おもな実績は「第2回スプラトゥーン甲子園」優勝、「第4回スプラトゥ-ン甲子園オンライン代表決定トーナメント」優勝など。チーム・よしもとゲーミング カラマリ所属。
Twitter:https://twitter.com/Atobaru_ika
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UChczP5QLI27iCB-pEfz2eYA
OPENREC.tv:https://www.openrec.tv/user/atobaru_ika麻生羽呂
実写化・アニメ化もされた『今際の国のアリス』や『月刊サンデーGX』で連載中の『ゾン100 〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』などの作品を手掛ける人気漫画家であると同時に、『スプラトゥーン2』の大ファンとしても知られ、40代という年齢ながら徹底したやり込みによって全ルールでウデマエXに到達。ルールの分析に基づいたブキ選びや自身のプレイを動画に撮っての検証など、『スプラトゥーン2』に対するその取り組み方はまさに”ガチ”。漫画家界でも屈指の”スプラトゥーン愛”を持つプレイヤーだ。
Twitter:https://twitter.com/asoharoo
負けを味方のせいにしていてはいつまでも成長しない!
麻生:最近はYouTubeとかで上手い人の動画を見るときに、技術的なことだけでなくメンタル面も見るようにしているんですけど、たとえば味方が勝手にひとりで突っ込んでやられちゃったようなときでも、トップの人たちって「仕方ないよね」とコメントしていて。
それを見て、「こういう場面でも仕方ないよねと捉える。これがトッププレイヤーの安定したメンタルなんだ」ってすごく感心したんです。それで、結局こういう精神がないと上にはいけないんじゃないかと思うようになったんですよ。
あとばる:これは、その通りですね。特にXパワー3000とかいっているような人たちは、その辺がやっぱり異常に発達していますね。たぶん、その根底には味方をある程度信用していないというか、「全部、自分1人の力でやり切るしかない」という考えがあると思うんですけど、やっぱり切り替えが凄まじいですね。
負けても「自分はいつもの動きをしたから仕方ない」ってすぐに切り替えて、次の試合ではまたいつも通りの動きができているので、そのメンタルは大事ですね。
麻生:「ちゃんと自分ができることをしたから引きずらないでおこう」って思うだけでも、ウデマエってたいぶ上がる気はするんですよね。
あとばる:だいぶ違うと思いますよ。やっぱり、2連敗するってのがよろしくないので、そのためには前の試合を引きずらないことが大事です。さらに言うと、単に引きずらないようにしつつも、反省点はしっかり見つける。これを実践できているプレイヤーは非常に強いとは思いますね。
麻生:それって強くなっていくうちにそういう考え方ができるようになってきたのか、ちょっと伸び悩んだときにそういう考え方をするようになったから、より上に行けるようになったのか。そのあたり、成長の過程を思い返ったらどうですか?
あとばる:んー、どうだろうな。でも、正直「これは味方のプレイで負けちゃったな」と引きずることもありますけどね。ただ、味方に責任を押し付けているときって、やっぱり自分のプレイもだんだん雑になっていくので、上手いプレイヤーはあえてそこは見ないようにしていることもあるとは思いますね。
麻生:本当に調子がいいときって誰のせいにもせず、むしろ味方に感謝してできるくらい穏やかなコンディションですもんね。
あとばる:「しょうがない」とか「そこよく取ってくれた」と思いながらプレイしているときの方がめちゃめちゃ勝率がいいですよね。
麻生:すごくわかります。目指すのはそこだなと思っているんですけど。
あとばる:そうですね。結局、自分はやり切ったとは言っても負けてしまっている以上、自分のプレイにもなにかしら悪いところがあるわけじゃないですか。それを受け止めて、「なんで負けたんだろう」と自分の反省点が見出せるプレイヤーはやっぱり伸びると思います。
麻生:人のせいにしたらそこで終わっちゃいますもんね。人のせいにする暇があれば、自分にできることを淡々とやっていくという姿勢が健全なメンタルになるんですかね。
あとばる:そうですね。あと一歩、勝てないというところの反省が一番難しいと思うので、それができるプレイヤーはやっぱり強いですよね。
麻生先生の考える『スプラトゥーン』の魅力
麻生:あとばるさんくらいのレベルになっても、まだ日々の課題とかあるものなんですか?
あとばる:それは無限にありますね。やっぱり、染み付いた動きみたいなのがあるんですよ。手グセみたいな。こういう状況に陥ると無意識に前に行っているなとか、見返しても自分の中でこれが正解だと無意識に思っているから、負け筋だと思わない行為ってのがあるんですね。
なので、今はこれまで自分の中で絶対だと思っていた動きを「この動きって不正解かも」ともう1度見つめ直しているような状況ですね
麻生:自分のこれまでの定石を疑い出しているんですね。
あとばる:そうですね。そうすると勝率が上がったので、正しいことではあると思うんですけど、それを認めるのには時間がかかりましたね。やっぱり、自分がこれまで正解だと思っていた動きが間違っていると認めて修正するのって、ある意味でこれまで自分が積み上げてきたものを否定することになるじゃないですか。なので、自分が納得して飲み込むまではすごく時間がかかりました。
麻生:上達していくのに自信って絶対に必要だと思うんですけど、その自信を1回退けて冷静に疑ってみるという行為にすごく労力がいるってことなんですね。
あとばる:そうです。それに気づくのに時間がかかりましたね。
麻生:いや、すごいな。でも、それで改善された。だったら別のところも疑ってみようかとか、やることは尽きないという感じなんですか。
あとばる:そうですね。このゲーム、本当に無限にパターンがあるので、やればやるほど発見があるんですけど、やっぱり自分の中に公式として覚えたものがそもそも間違っていたみたいなのって案外気づけないもので。それに気づき始めているってのが自分の中でも視野が広がったなって感覚はありますね。
麻生:どこまで行っても気づきは尽きないですね。
あとばる:そうですね。ちょこぺろくんというXパワー3100に行っているプレイヤーがいるんでけど、いまだに見つけると言っていましたからね。
麻生:今の自分の立ち位置がどことかで一喜一憂せず、日々、自分の新しい発見を楽しみ続けないと上達はしないってことなんですかね。
あとばる:そうですね。自分が上手くなることに楽しさを見つけて、そのために日々やるだけみたいな感じではありますね。もちろん、それには根気と時間がいるので難しかったりもすると思うんですけど、でも麻生先生なら余裕でできそうな感じですよね。
麻生:でも、2200以上になってから明らかに厳しくなってきていますね。場所取りも「いいところから毎回うまいこと状況を把握してついてくるな」って相手とかが顕著に増えてきて。でも、それも毎回当たっているとそのうち対応できるようになってくるものなんですかね。
あとばる:それも一種の人読みの経験値なので。そういう経験値って一気に爆発するんですよね。一定数で少しずつ進むんじゃなくて、ある程度の経験値を蓄えてから一気に伸びる。
麻生:階段的に伸びるんですか?
あとばる:そうです。グーンと伸びるというか。なのでやっぱり停滞する時期ってのがあるんです。それで、「これだけやっているのに伸びない」ってなってやめちゃう人が多いので。
麻生:それ、わかります。
あとばる:今がたぶんそういう時期なのかなとは思うんですよ。Xに上がってという。そこを乗り越えたら一気に2500くらいまではタタッと階段を上がっていくかなとは思います。
――ちなみに、麻生先生はそれだけ『スプラトゥーン2』をやっていて仕事に影響が出たりはしなかったんですか?
麻生:本業の方にですか? いや、出ていないですし、『スプラトゥーン2』ができなくなるくらいだったら仕事を減らせばいいなという感じですかね。そもそもインプットする時間ってすごく大事で、遊びの時間もひっくるめて仕事の時間だと思っているから、遊べなくなるくらい仕事を入れちゃうとやっぱりなにもアウトプットできなくなっちゃうので。
――そういう意味ではプラスになっている?
麻生:そうですね。興味があることに没頭する時間って、仕事の面を抜きにしたって人生において大事ですよね。没頭できるからこそいろんな気づきが常にあるとしたら、『スプラトゥーン2』はいろいろと教えてくれた存在ではありますよね。
――では、そんな麻生先生から見て、『スプラトゥーン』の一番の魅力はどんなところにありますか?
麻生:一応、創作とかしている職業の目線で見ると、とにかく世界観が徹底していますよね。キャラクターたちの言葉遣いひとつとってもそうですし、服や靴のブランドとかもすごく作り込まれていて、その世界観に没頭させてくれる。
これはゲームに限らないですけど、そこに作り手が「これくらいでいいだろ」という妥協があったりすると、その世界が嘘っぽくなったりして、そうすると参加する側も純粋に全力で入れないじゃないですか。その辺はやっぱり『スプラトゥーン』という世界観を徹底的にしっかり作ってくれているというのがまず没頭しやすい第一要素ですし、あと音楽にしてもビジュアルにしても、純粋にめちゃくちゃセンスがいいですよね。
それにプラスして、インクを塗るというオリジナリティですよね。子供のときってみんな水鉄砲で遊んだし、インクを壁にべちゃべちゃ塗りまくるってのは誰でも絶対にやってみたいことじゃないですか。インクまみれになって遊ぶという。その子供心に気づいてそこを商品にしていうのは発想が天才すぎるなと。そんなに子供心をくすぐられたらハマるに決まっているでしょ、という。物作りをしたりする立場からしても純粋にすごいな、と思っています。
――『スプラトゥーン3』のリリースも発表されていますが、麻生先生が個人的に期待したいことはありますか?
麻生:任天堂さんに信用しかないので、出されたものを楽しむだけのスタイルではいるんですけど、あえて答えるとしたら、『スプラトゥーン』を始めてくれる人がもっと増えてくれたらいいなと思います。『スプラトゥーン2』も周りのいろんな人に勧めて、実際にそれでプレイし始めた人も多いんですけど、やっぱり好きなゲームの人口が増えていくって嬉しいじゃないですか。だから、純粋に楽しんでいる身としては『スプラトゥーン3』もたくさん流行って欲しいなというのは一番に思いますね。
・負けを味方のせいにせず、自分の反省点を見つけられるプレイヤーは伸びる!
・自分が正しいと思っている立ち回りを疑うことも大事!
・たとえウデマエが停滞していても、続けることでウデマエが一気に爆発することがある!
次回はあとばる選手と麻生先生が実際に『スプラトゥーン2』をプレイ!
麻生先生がタイマンであとばる選手に勝負を挑むことに!? 果たしてその結果は……次回もお楽しみに!