取材・文=石川裕二
オススメのYouTuberを紹介する新企画「コロコロ学園YouTu部」! 記念すべき第1回に登場するのは、ミニ四駆の超絶改造をして原作再現のギミックを取り入れる「にわから」さんだ!! YouTuberになったきっかけや、YouTuberを目指す人へのメッセージなど、盛りだくさんの内容だから、ぜひ読んでくれよな!! 過去のインタビュー記事と併せて読めば、にわからさんの全てがわかるかも!?
プロフィール
にわから
主にYouTubeとニコニコ動画をメインに活動している動画投稿者。電子工作を用いて、「ミニ四駆」を始めとするホビー改造や3Dプリンターを使用したものづくりなどの動画を投稿している。
▲まずはこの動画を見てくれ! すごすぎる!!
初めて動画投稿した時の心境
――過去のインタビューでは2009年に動画投稿を開始したとありますが、なぜ動画投稿を始めようと思ったのでしょうか!?
ニコニコ動画を見るのが好きで、自分でも動画をつくってみたいと思ったんです。LEDを光らせるなど、技術系カテゴリーの動画やゲーム動画をニコニコ動画とYouTube両方にあげていました。
――初めて動画を投稿した時の心境を教えてください!
動画投稿に憧れがあったので、自分もそこに仲間入りしたんだという、うれしさがありました! 鮮明に覚えているのは、批判的なコメントが流れてきた時の怖さですね。そんなこともあり、途中からは動画投稿の場をYouTubeのみにしていました。
――そういえば、にわからという名前の由来は何なんですか!?
「にわか」と「唐揚げ」という単語を合体させたものです。自分はにわか知識でやっているよ、ということと、唐揚げが好きという思いを掛け合わせました。ちなみに、唐揚げにレモンは掛ける派です。
――え、今、何と……?
え? 唐揚げにレモンは掛ける派です……。
――それは、ちょっと許せないですね……。
えぇ!?
――だって、一気にさわやかになるじゃないですか。特に、勝手に唐揚げ全体にレモンを掛けるやつだけは許せないんですよ!!
でも、ちゃんと「レモン掛ける?」って聞きますよ!
――なんだ、それを早く言ってくださいよ!! にわからさんはいい人だ!
(言わなかったら、どうなっていたんだ……?)
ミニ四駆の思い出と改造技術との出会い
――にわからさんって、ミニ四駆の原作にあるギミックを再現する改造をしているじゃないですか。本当にすごいなと思うんですけど、改造を始めたのっていつ頃からなんですか!?
2019年からです。久しぶりに『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』(こしたてつひろ先生)を読んだところ、「あれ? これ、つくれるな」と思ったんですよ。それが、ステアリングで曲がるスピンコブラです。
――そういう技術って、どこで学んだんですか?
学校とインターネットで学んだ技術を、必要に応じて引き出しているというか。でも、「にわから」としての活動を始めてからのインターネットで調べた知識が圧倒的に多いです。大変ですよ。知識が増えて「今度はこれができるようになったな」となると、過去につくったものをリメイクしたくなるので。
――ものづくりあるあるですね。ミニ四駆は子どもの頃から遊んでいたんですか!?
はい。最初は、父の会社の人の子どものお下がりをいただいて、そのなかにストラトベクターというミニ四駆が入っていたんです。それで遊ぶようになったのが、きっかけですね。それから、コース走行ではスタビライザーやベアリングローラーを買って改造するようになりました。コース以外でも公園で走らせたり、発泡スチロールを貼り付けて池の上を走らせたり、おもしろかったなあ。
――うお、アクティブな遊び方をしていますね!
池の上でも、意外とちゃんと走るんですよ(笑)。広い公園でミニ四駆を走らせたのが思い出深いですけど、当時、『ダッシュ!四駆郎』(徳田ザウルス先生)を知っていたら、ガイドステッキを持って走らせたかったですね〜。バスターソニックやホーネットJr.はお気に入りで、旅行に行くにも持っていったくらいです。
――思い入れの深さが伝わるエピソードですね!
もう少しすると、ニコニコ動画の影響でマウスやラジコンに電飾をしたり、LEDでヘッドライトを再現するようになりました! そこからですね、電子工作に興味を持つようになったのは。
――お! 今の改造の原点とも言えそうですね。でも、改造には膨大な時間が掛かるじゃないですか。原作再現への情熱って、どこから湧いてくるんですか!?
それこそ、子どもの頃の思い出ですよね。当時憧れた、思い出たっぷり、夢たっぷりの機能を大人の力で、現実に再現する。漫画なので、現実的じゃないと思えるシステムもあるんですけど、それをいかに現実に落とし込むか、ミニ四駆の中に納めるかが楽しいです。
漫画的な部分と現実的な部分のバランスを落とし込んで構造を考えて、それがうまく動いた瞬間はめちゃくちゃ気持ちいいです。その高揚感があるからこそ、続けられています。
――『MINI 4 KING』(今田ユウキ先生)と、にわからさんの動画を見て育った子どものなかから、将来、改造系YouTuberになる子が出てくるかもしれませんね。
それはうれしいですね! 自分の場合は、小さい頃から、ずっと何かしらつくっていたので、その経験が、ようやく今、やりたいことにハマってきた感じがします。つくろうと思ったものの現実的なアイデアが、すぐに思い浮かぶようになってきたんですよね。
昨日も『ダッシュ!四駆郎』のYouTubeを見ていて、スーパーエンペラーのスーパーVシステムをつくりたくなって、すぐに通販でスーパーエンペラーを買いました(笑)。
――この行動力も、YouTuberとして注目を集める一因なんだろうなぁ。今、やりたいことをしているという点では、幸せですか!?
まだまだ満足できていないです。もっと、いっぱいやりたいことがあるので。まだ設計力不足で実現できていないマシンもありますし、設備的にも将来的にはガレージなどをつくりたいなという思いがあります。「幸せですか」という問いに対しては、大変な面も決して少なくありません。
YouTubeの構造的な話をすると、動画を一定期間あげ続けないと、オススメ欄に動画が表示されなくなるんですよ。かと言って、自分のような制作系の動画は頻繁(ひんぱん)にあげることもできませんし。そこはジレンマが生まれがちで大変です。
――あ〜! それで制作過程の動画をあげているんですか!?
いえいえ、自分が見てもらいたいメインはそこなんです。完成動画は、むしろ、おまけで。昔、自分が見ていたニコニコでも制作過程を紹介する動画を多く見ていて、そこに憧れていたんです。
――なかなか想像できない人も少なくないとは思うんですが、「やりたいことをしている」が、必ずしも「楽しい」とイコールではないじゃないですか。やりたいことを続けることの大変さを教えてください!
頭が休まらないですね。新しいマシンが完成しても、すぐに次のマシンをつくりますし、「今日は作業を休もう」と思っても、頭のなかがもやもやする。制作のことを忘れられないんですよ。どんな職業においても言えることだとは思うんですけど。
――そうでしょうね。逆に、動画投稿をしていて良かったと感じる瞬間はどんな時ですか?
やっぱり、コメントです。反応があると、動画を投稿して良かったと思います。あとは、制作系YouTuberならではの特権だと思うのですが、3Dプリンターのレビュー案件などもあるので、うれしいです。自分に使ってみてほしいと思っていただけることもそうですし、自身の制作環境も良くなりますから。
YouTuberを目指す人に伝えたいこと
――YouTubeへの動画投稿を始める上で、そろえたほうがいい道具などはありますか?
本当に投稿するだけなら、スマホ1台でいいと思います。私も最初、スマホで撮影していましたし。編集だって、今はスマホでできますからね。パソコンにしても編集ソフトは無料のものでいいと思います。むしろ、道具やソフトにこだわるよりも、インターネットに動画を出すことの意味を考えてほしいですね。
動画を投稿するということは、自分の一部をインターネット……つまり、世界中の誰もが見ることのできる世界にさらす行為だということです。昔だったら、顔を出したらコラージュ画像にされるなんてこともよくありましたし。
――著作権や肖像権の話ですね。あとはやはり、炎上リスクでしょうか。
以前、別のSNSで電磁ビーダマンという動画を出した時に、銃刀法違反ではないかというコメントが複数寄せられました。
もちろんそんなことはなくて、私がそのことについての説明文を入れ忘れたのが良くなかったのですが、見る人が不安にならない動画づくりを心掛けるのも大切なことです。YouTuberになるなら、インターネットの危険性を十二分に理解して活動してほしいと思います。
――説得力のあるお話、ありがとうございました! 逆に、動画を発信する魅力ってどんなところですか?
やっぱり、反応をいただけることです。あと、私の場合は技術的なことをしているので、「この技術を使ってみるのはどうだ?」というコメントによって、新しい知識を得られるというのもあります。
――にわからさんの動画からは、「新しいものをつくろう」という執念めいたものを感じるのですが、そういう視聴者との循環が原動力になっていたのですね!
もう既にあるものをつくってもな……という思いはあります。というのも、私の根底にあるものって好奇心なんですよ。「自分がこうしたら、どうなるんだろう」を知りたくてつくっているんです。だから、結果がわかっているものはつくりません。つくりたくならないんです。
逆に、知らないものはとことんつくりたい。困りものですよ、ウズウズしちゃって。今もつくりたいもののストックがめちゃくちゃあるので、早く実現したいなと思っています。
――ミニ四駆のように走り続けてください! 最後に、今後の展望を教えてくださいますか!?
再現したいと思っているミニ四駆は全部つくって、どんどん動画を出していきたいです。将来的には、先ほどお話ししたような大型の設備を入れられるガレージをつくって、もっと大きなことにチャレンジしてみたいなと思っています。時間もお金も今は足りていませんが、目指すはそこです!