トッププレイヤー イカすガチ対談マッチ!!
【あとばる×麻生羽呂 第1回】
漫画家の麻生羽呂先生が対談に緊急参戦!
『スプラトゥーン2』をガチで遊んでいる麻生先生だが、Xパワー2300を目前にして自身のウデマエの伸び悩みを感じているとか……。
そこで今回は、さらなるレベルアップを目指す麻生先生が、ウデマエアップの極意をあとばる選手に伝授してもらうことに⁉ 特に初・中級者にはタメになる内容が満載なので、ぜひチェックしてほしい!
あとばる
驚異的なエイム力を持つカリスマプレーヤー。「第2回スプラトゥーン甲子園」では、不利な状況から相手を次々と倒す神がかり的なプレーを連発し、優勝に大きく貢献。H3リールガンの名手としても知られ、彼の影響でH3リールガンを使い始めたプレーヤーも多いとか。おもな実績は「第2回スプラトゥーン甲子園」優勝、「第4回スプラトゥ-ン甲子園オンライン代表決定トーナメント」優勝など。チーム・よしもとゲーミング カラマリ所属。
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OPENREC.tv:https://www.openrec.tv/user/atobaru_ika麻生羽呂
実写化・アニメ化もされた『今際の国のアリス』や『月刊サンデーGX』で連載中の『ゾン100 〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』などの作品を手掛ける人気漫画家であると同時に、『スプラトゥーン2』の大ファンとしても知られ、40代という年齢ながら徹底したやり込みによって全ルールでウデマエXに到達。ルールの分析に基づいたブキ選びや自身のプレイを動画に撮っての検証など、『スプラトゥーン2』に対するその取り組み方はまさに”ガチ”。漫画家界でも屈指の”スプラトゥーン愛”を持つプレイヤーだ。
Twitter:https://twitter.com/asoharoo
S+帯からXに上がるために必要なこととは?
――麻生先生は『スプラトゥーン2』がかなりお好きだそうですね。実際、Twitterを見ると、半分『スプラトゥーン』のアカウントなのかなというくらい頻繁に動画などを上げていますよね。
麻生:そうなんです。個人のアカウントとしては『スプラトゥーン2』の情報をただただ上げていて。誰得なんですけど、俺が好きなので上げ続けています(笑)。
――これまでにどのくらいプレイされているんですか?
麻生:今まで3年やっていて2500時間くらいなんですよね。ただ、3年間の最初の1年って、ガチで上手くなろうというよりは、知り合いとわいわい楽しむ感じで、ほとんどリーグマッチばかりやっていたんです。
それで、最初はeスポーツも素人すぎたので、普通に家の大きいTVでやっていたんですけど、友達が家に来てプレイしたときに、「ラグがすごすぎて、これもうローラーがダイナモみたいになってる」と言われて。そこで初めてゲーミングモニターというものを知って、実際それでやると「弾が当たる!」となったんですよ。だから。本当にちゃんとガチマッチをやり出したのはここ2年くらいですかね。
――あとばる選手は麻生先生の作品を読まれていたそうですね。
あとばる:そうなんですよ。『今際の国のアリス』は学生時代に読んでいて、いま連載している『ゾン100 〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』も読んでます! なので、今回対談できると聞いてすごく嬉しかったんですよ。
麻生:読んでくださっていたんですね。ありがとうございます!
――ちなみに、麻生先生はあとばる選手やカラマリのことはご存知でしたか?
麻生:正直に言っていいですか。すみません、実はあまりトッププレイヤーのプロの人たちのことは知らなくて。でも、これを機にめっちゃ見て、世界大会の動画とかも全部見たりして今はすごく興味があります! あとばるさんの動画もいろいろ見させてもらったんですけど、リールガンまじでやばいっすね。
――実際、動画とかを見られたんですね。
麻生:見ました。全ブキの中で自分が一番使えないと思っているのがリールガンなんですよ。興味で一通り触りますけど、このブキだけは当たる気がしないなという。連打したらエイムがぶれて仕方がないというか、合わせるのに精一杯なのにさらに連打となると本当に難しくて。だから、これを使いこなせる人は本物やなという。
あとばる:ありがとうございます。これを機に是非リールガンも使っていただいて(笑)。
麻生:実は、この対談もあるというので今日使ったんですよ。でも、「やっぱ無理」となりました(笑)。ただ、3点当たるとめちゃめちゃ気持ちいいですね。
あとばる:そうなんですよ。音がいいんですよね。
麻生:ただ、当たらなさすぎて思わず動画を撮りましたもん。周りは完全に塗れていて、あとは敵1人を仕留めるだけという状況でも1発ずつしか当たらなくて、トドメを刺すのにめちゃ時間がかかって思わず撮っちゃいました。当たらなさすぎる(笑)。
――麻生先生はウデマエXに到達しているそうですが、メインで使っているブキはあるんですか?
麻生:性格的に小器用というのが前面に出ちゃっていて、ルールごとにひとつずつXになったんですよ。最初はエリアをとにかく上げていこうと思って、一番合理的にオブジェクトに関与できて安定性が高いブキってなんだろう、というのを試した結果、わかばシューターにたどり着いてそれでXになれて。ホコも最初はスパッタリーとかで前線で敵を倒しまくっていたんですけど、S+後半くらいから安定しなくなって「これはちょっと上がっていくのは難しいな」と思ってプライムシューターベッチューにたどり着いたりとか。全部そんな感じで使うブキを選んでいたんですよね。ただ、楽しさで言うとスパッタリークリアが一番好きですね。ガチマッチだと全然安定性がないので、基本的にはリーグマッチでしか使わないんですけど。
――40代でXってなかなかいないと思うんですけど、ブキを厳選する以外で「こういうことを気をつけた」とか「これに気づいたから到達できた」とか、なにかご自身の中で思うことってありますか?
麻生:シンプルに言うと1番は倒されずに生存し続けることで、2番が味方カバー。その次がオブジェクト関与ですかね。一番最初にXになれたのがエリアだったんですけど、とにかくエリアは塗ろうと思って。S+帯の味方の人って、どれくらいルールを理解しているかとかも全然わからじゃないないですか。自分は前に出るから、この間を塗ってくれとか思っても、ちゃんと塗ってくれるとも限らない。
だから、大事なところは自分がやることで勝率も安定はするのかなってのがS+帯での自分の考え方で、たとえばヤグラなら自分が乗る、ホコなら持つかホコ周りの敵をカバーするというのを徹底していこうと思って。それで、最初にXになったエリアは、わかばシューターでとにかく塗って人数有利・不利を常に意識して、味方がずれていたら自分が合わせる、味方が前に出ていたら常にカバーを入れるということをずっとやっていました。
気持ち的には、「自分は遊び回る子供たちの面倒を見るお母さんだ」くらいの感じでしたね(笑)。
――なるほど(笑)。
麻生:あとばるさんから見て、この考え方ってどうですか?
あとばる:すごく正しいことを言っているなと思います。
麻生:本当ですか! よかった。
あとばる:結局、自分で全部やらなきゃいけないのがガチマッチなんですよね。その考えをしっかり持てているからこそXに行けているんだろうなと思います。
麻生:ありがとうございます。
あとばる:普通はXにいった人に要因を聞いても、「なんかやっていたらいけました」みたいな感じで、なかなか具体的なことって出てこなかったりするんですよ。でも、そこをきちんと理論立てて説明できるのは、しっかり考えてやっているんだなという印象ですね。
麻生:めちゃ嬉しいです。エリア、ヤグラの順にXになったんですけど、エリアとヤグラはエイムは捨てましたね。わかばシューターは敵を倒すのは基本的にスプラッシュボムで、メインは塗りのためにしか使わないという。
ヤグラはクラッシュブラスターでなったんですけど、基本的に試合が始まったらすぐにヤグラに乗って上で近づいたやつをひたすら倒すみたいなスタイルでやっていました。周りの友達からは「そんな戦い方して」ってすごい不評だったんですけど、「自分は絶対にやられない。来た相手を倒す」という仕事だけに専念して、前線上げとかそういうのはもう一切味方に任せていました。
あとばる:いや、正しいと思いますよ。結局、やられないってのが一番難しいですからね。仕事をしつつ倒されないということができるようになれば勝てますね。
麻生:S+帯だと前で敵を倒しても、ここで乗っていたら進んでいたはずのヤグラが動いていないとかのオンパレードなので、「これはもう俺が全部乗る」と心に決めて。絶対にヤグラから離れないという意識でS+帯のヤグラはやりました。
あとばる:「ここでヤグラを進めていたらカウントが取れているのにな」という視点があることが、やっぱりXへのつながりって感じはしますね。そこがわからない人ってのがすごく多いんですよね。勝ちへの嗅覚というか。
麻生:せっかく人数有利なのに3人も4人も前に上がって、ヤグラが真ん中にあったら全然意味がないですもんね。
あとばる:Xでもそれがわかっていない人がいますからね。
麻生:そういう人、もっと上のレベル帯でもいるんですか?
あとばる:いますね。
麻生:そうなんですね。やっぱり自分が乗るのが、ガチマッチに関しては安定するんですかね。
あとばる:そうですね。チャンスはやっぱり自分で作っていくってのが一番安定ですね。
――本当にしっかり研究した上でXになっていったんですね。
麻生:そうですね。あと、本当に勝率を上げてXになることだけが目的で、キャラコンとかテクニック以外でできることとして、苦手なステージは絶対に選ばないとかはやっていました。わかばシューターだったら、わかば向きじゃないステージのときは入らないようにして。
ゆっくりどのステージにも慣れていこうと思うんだったらいろんなステージを経験して経験値を上げればいいんでしょうけど、とにかくXになりたいと思ったからアロワナモールとかタチウオパーキングのときは絶対に入らないようにしていて。
――そこまで徹底してたんですか。
麻生:あと、基本的かもしれないですけど、3連敗したら止めるとかそういうメンタル面のルールを作るとかもやっていましたね。なんだったら、瞑想してからプレイするとかもやったり(笑)。負けて躍起になったりせず、常に落ち着いた精神状態を保つことを志してやっていました。
あとばる:けっこうトップ帯の人たちも同じようなことをやってたりしますからね。
麻生:そうなんですか⁉ だから、自分的に悔しいのはあと20年、目の動体視力が若ければ絶対伸び代があるのになって思っていて(笑)。
麻生:いまXパワーが最高2280くらいで、2300に行くのが目標なんですけど、この辺で明らかに伸び悩みを感じていて。その理由が、「今の対面、何があかんかったんやろうか」と思ったときの動画を撮ってあとで見てみると、明らかに向こうとこちらの対面が始まる前の状況判断の気づきの量が違うなとか、こっちが把握している情報量が少なくて一瞬だけ出遅れたのが撃ち負けた原因かなとか。
あくまで自分の分析ですけど、こういうコンマの差が積み重なって強い弱いにつながってるなと思って。果たして、自分がこの先もっと上に行くことってできるのかなって感じたんですけど、どうなんですかね?
あとばる:いや、まったくもってその通りとしか言いようがない。すごいなと思いながら聞いていました。うちのチームメイトに2438学園という30歳のプレイヤーがいるんですけど、彼も「俺もあと10年若ければトップに行っているんだけどな」とかってよく言っているので、やっぱり如実に感じるんだと思いますね。
『スプラトゥーン』ってゲームのスピードが速いので、動体視力とか反射神経がかなり必要になってくる。実際、いま非公式の大会なんかで毎回上位に入ってくるような人たちって、15歳とか16歳とかの反射神経バリバリの年代で、かつしっかり考えているプレイヤーだったりするんですよ。
麻生:やっぱり、同じくらいの理解度だとしたらそこの差って出てきますよね。
あとばる:正直、露骨に出てきますね。やっぱり頭で考えるというよりは、経験値から反射で引き出すというのが一番『スプラトゥーン』では正解に近いかなとは思います。
麻生:なるほど。反射的に動くくらい脳と体に染み込ませるということですよね。
あとばる:そうですね。なので、いかに反復でやっているかが大事だとは思います。
麻生:そうなると、練習量でまだもうちょっとは補えるんですかね。
あとばる:そうですね。たぶん、そこまで考えながらやれているなら、おそらく2500くらいはいけると僕は思うんですけど。
麻生:まじすか! 自分いま42歳なんですけど。
あとばる:いけると思いますよ。2500より上はけっこうエイムの暴力みたいな世界ではあるので、かなり対面力が求められたりするんですけど、2500くらいまでならたぶん立ち回りだけで上がっていけると思います。
知り合いにふーみそんっていう、エイムがめちゃめちゃ下手なプレイヤーがいるんですよ。A帯に撃ち負けるみたいな。でも彼がすごい理論派で、ほぼエイムなしで2700まで行っているので。
麻生:ええっ、そうなんですか!? でも確かに、最近わかばシューターでエリアを2700行っている人の動画を見たんですけど、キャラコン自体特別すごくないなという感じだったんですよね。なので、わかばシューターなら状況把握とかで実は行けるのかな、とも思ったり。
あとばる:わかばシューターはどちらかというとそういうブキなので、そこに特化すれば十分いけると思います。スプラッシュボムをうまく投げて敵を倒すのも、反射神経というよりは予測と経験という感じではあるので。
麻生:なるほど。もうちょっと頑張ってみます!
・ガチマッチで勝つには、全部自分でやるくらいの意識を持つことが必要!
・仕事をしつつ、倒されないことができるようになれば自然と勝てるようになる!
・考える前に反射的に動けるくらい脳と体に染み込ませることが大事!
次回もふたりの対談をお届けするぞ。お楽しみに!