ドブフクロウのMtGブレイキングアカデミー vol.113 ~ズルして《星界の大蛇、コーマ》を出してみよう~

By ドブフクロウ

みなさんこんにちは。MtGライターのドブフクロウです。

先週末にはいよいよ紙のカードでも『モダンホライゾン2』が発売されました。私のTwitterのタイムライン上でも、カードショップに赴いてパックを剥いている方が多かったように思います。特に大当たりは再録された対抗色フェッチランドと、先々週もお伝えした『モダンホライゾン2』のトップレアである《ウルザの物語》でしょうか。みなさんの中にもパックを購入された方がいらっしゃるかもしれませんね。

さて、早いもので『モダンホライゾン2』が発売したかと思えば、来月にはスタンダードセットの『フォーゴトン・レルム探訪』のリリースが控えています。Wizards of the Coast社のIPであるダンジョン&ドラゴンズとコラボしたセットで、TRPG好きにはたまらないセットとなりそうです。

現時点ではまだ新カードの情報もそこまで出ていませんが、注目のカードが公開されたら本記事でも取り上げていきたいと思います!さて、それでは今週もスタンダードの最新のデッキリストを見ていきましょう!

第3回Sekappy COLOSSEUM 決勝大会

先週末にはSekappy COLOSSEUM、通称「セカコロ」の決勝大会が開催されていました。セカコロについては本連載でも何度か取り扱ってきましたが、社員全員がTCGプレイヤーという変わったIT企業、株式会社Sekappyが主催する賞金制の大規模オンライントーナメントです。

実況にはブルナー実久さんと石川 朋彦さん、解説には原根 健太選手と市川 ユウキ選手と、マジックの公式生放送でもおなじみの実況・解説陣が出演しています。配信アーカイブは見どころ盛りだくさんなので、ご興味がおありの方はぜひチェックしてみてください。

さて、そんなセカコロで見事に優勝を収めたのは、少し変わった「ティムールアドベンチャー」でした。どのようなリストなのかさっそく見ていきましょう!

ティムールアドベンチャー(使用者:宮部 浩一選手)
枚数 カード名(メインボード)
4 《ケトリアのトライオーム》
4 《河川滑りの小道》
4 《樹皮路の小道》
4 《岩山被りの小道》
3 《寓話の小道》
2 《森》
2 《山》
2 《島》
2 《神託者の広間》
4 《エッジウォールの亭主》
4 《恋煩いの野獣》
4 《厚かましい借り手》
4 《砕骨の巨人》
3 《ラノワールの幻想家》
2 《星界の大蛇、コーマ》
3 《銅纏いののけ者、ルーカ》
3 《アールンドの天啓》
1 《歌狂いの裏切り》
3 《襲来の予測》
1 《棘平原の危険》
1 《プリズマリの命令》
枚数 カード名(サイドボード)
3 《レッドキャップの乱闘》
3 《神秘の論争》
2 《運命の神、クローティス》
2 《壊れた翼》
2 《弱者粉砕》
2 《アゴナスの雄牛》
1 《獲物貫き、オボシュ》

『エルドレインの王権』以降、赤緑系のデッキといえばアドベンチャーデッキでした。ナヤクラリオンも《エッジウォールの亭主》と各種「出来事」カードのパッケージが入っていますし、グルールアグロのようなデッキもまた然り。もちろん赤緑に青を足したカラーリングである、ティムールデッキもまた「アドベンチャー」要素が入っています。

▲《エッジウォールの亭主》
▲《砕骨の巨人》

さて、今回ご紹介するデッキもまた上述の通り「出来事」パッケージが採用されていますが、このリストにはそれだけではない、一撃必殺のコンボも採用されています。それが《銅纏いののけ者、ルーカ》+《星界の大蛇、コーマ》のパッケージです。

このリストをよく見ると、《エッジウォールの亭主》と《星界の大蛇、コーマ》を除く全てのクリーチャーが3マナのクリーチャーで固められています。定番である《恋煩いの野獣》や《砕骨の巨人》はもちろん、《厚かましい借り手》と《ラノワールの幻想家》を含め、4種16枚の3マナクリーチャーが採用されており、続く4~6マナ域のクリーチャーは不在、7マナ域に《コーマ》が採用されているのみです。すなわち、《銅纏いののけ者、ルーカ》のマイナス能力で自身の3マナのクリーチャーを生贄に捧げたとき、必ず《コーマ》を出すことができるというわけです。

▲《銅纏いののけ者、ルーカ》
▲《星界の大蛇、コーマ》

《コーマ》は間違いなく現行環境における最強のフィニッシャーであり、海蛇を生け贄に捧げることで破壊不能を得る能力と、各アップキープに海蛇トークンを出す2つの能力から除去耐性もあるため、除去をするのも困難です。そうした最強のフィニッシャーを4~5ターン目に着地させることも可能であるというのがこのデッキの強みです。通常のビートダウンやアドバンテージ戦略に加えて《コーマ》の恐怖もあるため、対戦相手からしてみれば異なる2軸の脅威と戦わねばならず、かといって長期戦に持ち込まれてしまえば《コーマ》素出しもありえます。

また、デッキのクリーチャーのマナ・コストが全て奇数なので、《獲物貫き、オボシュ》を相棒に指定することもできます。マナフラッドしてしまったときなどでもまったくすることがないという状況は生まれにくく、デッキ全体が強固なシナジーで結びついており、非常に強力なデッキと言えます。

これまで《ルーカ》を採用したティムール・アドベンチャーは決してメジャーな形とは言えませんでしたが、今大会で活躍したことで今後増える可能性もあります。『ストリクスヘイヴン:魔法学院』環境も少し落ち着いてきましたが、新しいデッキを回してみたい!というみなさんは、ぜひこちらのデッキを回してみてはいかがでしょうか?

ライター:ドブフクロウ
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。 MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。

 

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