【大塚角満のゲームを語る】第70回 E3 2021を振り返って

ゲームイベントの転換期かも

 長引くコロナ禍の影響で、今年も世界最大級のゲーム見本市“E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)”はオンラインでの開催となった。

 アメリカでの開催なので、日本においては真夜中もしくは早朝というもっともキツい時間での中継となったわけだが、事前に、「あのゲームが発表されるらしい!」、「もしかしたら、新ハードも!?」なんてウワサがまことしやかに流れていたこともあって、かなり多くのゲームファンがリアルタイムで視聴していたと思う。

 かく言う俺もそのひとり。

 今回はコロコロオンラインでも、「デカいニュースが発表されたら速報記事を出しましょう!」と計画していたので、6月14日~16日の期間は、完全に昼夜逆転の生活になっていた。

 ……いや、昼は昼で通常業務があったので、単純な睡眠不足に陥らされただけなんだけど^^;

 そんな2021年のE3を振り返ってみると、アレコレと予想していた大発表はほぼなく、若干、肩透かしを食らった感は否めないと思う。まあ予想していたのはこっちの勝手なので、文句を言うのも筋違いではあるんだけどさ。

 とはいえこの傾向はE3に限った話ではなく、各ゲームメーカーが独自のネット番組を放送するようになってから著しく顕著になって、大規模イベントを前身に持つオンライン番組は転換期に差し掛かったんだと思う。ゲームメーカーの人に話を聞いても、いろんな情報が飛び交う総合的なゲームイベントでニュースを発信しても埋もれてしまう可能性が高いので、本当に伝えたいことはピンポイントにファンに届く自社の番組で行う……なんて考えが主流になりつつあるしね。

 コロナ禍以前の、ロサンゼルスのコンベンションセンターで行われていたE3がなぜあれだけ盛り上がっていたのかと言えば、世界中のゲームメーカーと関係者、そしてゲームメディアが一堂に会して実施されるという、世界最大の“ゲームのお祭り”という雰囲気によるところも大きかったんだと思う。

 無数のニュースが飛び交う中だと小さな発表やソフトは埋もれてしまう……という状況は同じながら、リアルイベントだと実際に体験できることが多いし、近くにいるクリエイターやメーカーの方に気軽に取材することも可能なので、作られる記事のクオリティーも熱量もぜんぜん違ったものになる。たとえ目立つ発表ではなかったとしても、そんな記事から興味を持つ人が出てきて、口コミで広がって……という理想的な拡散をするタイトルも少なくなかった。でも、オンラインの番組を見るだけだとなかなか詳しく掘り下げることもできないので、切に切に、

 「来年こそ、E3のリアルイベントが復活しているといいなぁ……!」

 と願ってやまないのであります。

 さて、そんな中でもいくつか、

 「こ、これは!!!!」

 と驚かされた発表があったのもまた事実。

 まずは、俺のライフワークのひとつであるBlizzard EntertainmentのアクションRPG『ディアブロ』シリーズにおいて、不朽の名作『II』のリマスター版『ディアブロ II リザレクテッド』の発売日が電撃発表されたこと!!

 ↓こちらの画像にある通り……!

 『ディアブロ II リザレクテッド』は、日本では2021年9月24日に発売!! そして、6月14日よりXbox Series X|S、Xbox One、プレイステーション5、プレイステーション4での予約も始まり、予約すると8月に実施予定のオープンベータテストへの先行アクセス権も入手できるとのこと!!(※Nintendo Switch版の予約は今回は行われず、オープンベータテストも非対応)

 俺は長らくNintendo Switch版の『ディアブロ III』のプレイ日記を個人サイトで書いてきたけど、この『ディアブロ II リザレクテッド』(もしくはモバイル版の『ディアブロ イモータル』)が発売された暁には、このコロコロオンライン上で日記を綴っていきたいと考えている。それを考えると、8月のオープンベータテストから始動しないといけないな!!

 そしてもうひとつ、

 「これは、買う!!! 出たら絶対に発売日に購入する!!」

 と、番組を見ながら夜中に叫んでしまったアイテムが↓こちら。

 6月16日のニンテンドーダイレクトでサプライズ発表された“ゲーム&ウォッチ ゼルダの伝説”であります!!!w

 『ゼルダの伝説』、『リンクの冒険』、ゲームボーイ版の『夢をみる島』、『VERMIN』といった多数のゲームや、その画面を利用した時計機能などさまざまなコンテンツが収録されているこの商品……!!

 11月12日に5480円(税込)で発売されるとのことなので、忘れずに予約しようと思ったね。こういう、子どもなオトナを絶妙にくすぐる商品を作ることにかけては、任天堂の右に出る者はいないわ……w

 俺が最後にリアルイベントのE3取材に出向いたのは、2017年のことだ。

 今年の静かなオンラインイベントを体験したあとだと、余計に4年前の会場の熱気が思い出されてならない。

 来年こそ、熱狂渦巻くコンベンションセンターで世界中のゲームファンと喜びを分かち合いたいなぁ……と心より願いつつ、筆を置こうと思います。

大塚(おおつか) 角満(かどまん)
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。